コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ねぇ奈美。年が明けたらランチしない? 色々話したい事があるんだよね……」
仕事中の恵菜が、周囲を見回しながら、奈美に耳打ちした。
「いいね! 私も恵菜に聞きたい事もあるし。恵菜の連絡先、変わってないよね?」
「うん」
「じゃあ私から連絡してもいい?」
「全然オッケーだよ」
女性二人の会話を聞きながら、純はスマートウォッチで時間を確認すると、奈美が気まずそうに上司をチラッと見やる。
「あ、そろそろ時間だし、会社に戻るね。またね。……あ、良いお年を!」
「うん、良いお年を」
純は恵菜に軽く会釈をすると、奈美は彼女に小さく手を振り、カフェを後にした。
あの美女が奈美と知り合いだと分かり、純はニヤけた顔が今にも零れそうになるのを耐えていると、奈美にジト目を向けられる。
「所長」
「え? あっ……ど……どうかした?」
「もしかして…………恵菜の事、狙っているんじゃないですかぁ?」
訝しげな面持ちから、パッと三日月のように目を細めた。
親友と結婚してから、部下は、くるくると表情を変えるようになり、純は困惑している。
入社したばかりの奈美は、大人しい雰囲気だったと思うのだが。
豪と出会い、性格が明るくなった、という事なのか。
女は男で変わる、というのは、あながち嘘ではないようだ。
「あっ……いや、綺麗な女性だなって…………おっ……思ったけどさ……」
「でも恵菜はダメですよっ!」
「え? だっ…………ダメって?」
焦る純を面白がっているのか、奈美にフフンッと得意げに笑われ、上目遣いに見つめられた。
「…………彼女、人妻ですからっ」