テラーノベル
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どさり、と目の前に倒れたのは、血だらけのトラゾーさんだ。
「っ、みんな、しゃがんで!!」
珍しくも大声を出したクロノアさんは立ち上がり、両手で銃を構え、何発も撃った。
焦りからか手の震えが止まらないのだろう。何度撃っても当たらないようだったが、どうやら最後の最後に相手には当たったらしい。
……まあ、本物の銃ではないけれど。それでも、相手のことを気絶はさせられた。
「しにがみくん、大丈夫?!」
ふとぺいんとさんが僕に呼びかけ、こちらに寄り添ってくれる。
「僕は大丈夫です! でも、トラゾーさんが……」
目の前に倒れるトラゾーさんは、どこか違う人のように思えた。
下腹部を抑えてうずくまる姿、筋骨隆々の広い背中が小さく見えること、いつもの能天気な笑顔が消え去っていること……。
──────僕はこのトラゾーさんを、知らない。
「トラゾー、大丈夫か?! 止血するから、動くなよ!」
ぺいんとさんがトラゾーさんに聞こえるように呼びかける。
───まただ。
その言葉が脳裏に響いた。
「なんで……?」
僕は、守れなかったのだ。
仲間の血飛沫を浴びるだけで、すぐさま処置しようなんて頭の回転にもならず、反省会しようなんて誘いさえもできなかった。
「なんで僕なんかを庇ったんですか?!」
───なんであなたは、そんなにできるんですか。
「……嫌い」
「え、」
肩で息をしながらも、僕の問いかけにトラゾーさんは答えた。
ただ、予想もしなかった答えで、望みもしなかった答えで。
「───嫌いだからですよ。俺が、しにがみさんのことを……。嫌いだから、押しのけたんす……そんなこともわかりませんか?」
は、と息の音を漏らして笑った彼は、心底苦しい顔をして処置が終わるのを待っていた。
───嫌い、なんて。
そんな言葉は、トラゾーさんからなかなか聞けない。聞いたこともない。
だからこそわかる。
(───嘘だ)
この人はきっと、わかっていたんだ。僕が撃たれることを、瞬時に理解したんだ。
だって、撃たれた時───笑ってたじゃないか。
……………
そのあとは、帰ってトラゾーさんに完璧な処置を施した。どうやら治りは早いようで、下腹部付近は動かせないけれど、腕はぶんぶん回していた。
そんな状況をぺいんとさんから聞き、僕は心底ほっとした。
「……何で、守ったんだろう。きっと、誰が撃たれたって変わらないのに」
トラゾーさんと、トラゾーさんの処置を施しているクロノアさんを待っているときに、僕はそう言葉をこぼした。
暖かなお茶を持ちながら、隣に座るぺいんとさんは僕の顔を少し覗き込んで、少し考えた。
「───嫌いだからだよ」
またその言葉。
トラゾーさんの返事と変わらない答えに、僕はつい顔を上げていた。
「もともと好きな奴は、絡んでるうちにわかってる風になってる。でもな───」
哀しそうな笑みで続けるぺいんとさんを、僕は止められなかった。
止められる資格がなかった。
「もともと嫌いな奴は、頑張ってそいつの良いところを探すの。探して探して探し抜いて、よく分かってるからそいつのそんなところが好きで、たまに妬ましくて嫌いになるの」
納得のいく説明だと、腑に落ちる説明だと、僕は自然に首を縦に振っていた。
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パグモチ
1,611
♡玲香レイ໒꒱.+
732
#とかね?( 笑 )