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…さぁてと…今の時刻はギリ午前だし、時間はたっっぷりとある。いつでもスミレの荷物は開けられるんだけど……。なぜだか罪悪感がある。
あぐらをかいて首をかしげた。
墓を暴くという感じというか、あまり良い気がしない。
……でも中身は、気になる…。
「母さんにも頼まれちゃってるもんなぁ……。」
結局小一時間ほど悩んだ結果、恐る恐る段ボールを開けてみることにした。
放置されてベトベトになったガムテープをカッターで少しずつ切る。
やっと開いたと思って段ボールを開けると、ふわっと、微かにスミレの匂いがする…気がした。
少々雑に詰められているスミレの荷物を少しずつ掘り出していく。
あまり関係なさそうなものもまとめて入れられていてちょっと面白い。が…
…特にこれと言って気になるものはなかった。
まぁ別に面白さとかを求めてるわけじゃないんだけど…。
もっとこう、手紙だとか日記とか、スミレが私たちに残したなにかはないんだろうかと少し期待していた。
けれど、内容物はただただ普通だった。
貸し借りしていた洋服、スミレがおすすめしてくれた小説に、スマホにつけてたストラップ。旅行の写真と、趣味で集めていた雑貨がたくさん。これは知恵の輪かぁ。そう言えばたまにやっていた。
…懐かしいと同時に、少し目頭が熱くなった、気がした。
拭うほどの涙が出てきてしまわないうちに、今日のところは荷物整理を切り上げようと思い、段ボールを持ち上げると、
高い音でガシャリと音が鳴った。
気になって音の出どころを探ってみると、
かなり古めかしいガラケーが出てきた。
「うわ、懐かしい…!」
こんなガラケーを見るのは、7〜8年ぶりくらいだろうか?
しかし、これはなんであるんだろう?
んー。 まぁ、少しくらいなら触ってみてもいいだろうか。
完全な好奇心で、一緒に入っていた充電器にガラケーを繋いだ。
どうやら充電が完了したらしい。赤に点滅していた光が緑色になっている。
さあ、ガラケーは使えるんだろうか…?
パカっとガラケーを開けてみると、画面がつき、かズレたカレンダーと時刻が映された。
とりあえず、メールの履歴や写真ホルダーなども軽くみてみるが、履歴はすかすかで興味が沸くものはなかった。
ガラケーの存在なんてこれっぽっちも知らなかったから、スミレがガラケーでどんなことをしていたのか少し気になったというのもある。スミレにはとても悪いと思うが、好奇心には勝つことはできなかった。
諦め半分で通話履歴をのぞくと、そこにはやけに新しい履歴があった。
スミレが死んでからすぐくらいの頃に、相手側から電話が来ていた。
まぁ、不在着信に終わっているが…。
そんなに連絡を取り合っていた人がいたのか…!なんだか 気になる!
ま、まさか、彼氏がいたのかな?
いやぁ〜意外とありえるから気になる…。
履歴の相手の名前は”カワリバ”と書かれていた。
可愛りば? 変わり葉??
うーん…どうも性別がわからない名前だ。
気になる.…気になりすぎる…!
…。今は休日の真っ昼間。特にイベントなどはない。
もし、相手に電話をかけたとしても、迷惑に…ならないはず…。
しかも、スミレが死んでしまってから電話をかけてきているから、スミレの死自体を知らないということがあるかもしれない。
そうなると、このスミレと連絡を取っていた人は、親しい人の死を知らぬまま過ごすことになる。
それはあまりにもやりきれない。と思う。私の心がモヤモヤしてしまう。
私の自己満になってしまうだろうけど、
私は思い切ってこの”カワリバ”に電話をかけてみることにした。