『消えた歌、響く声』

けれど──ミィコは、一人じゃなかった。

配信が冷え込む中、沈黙していた“ファミリー”たちが、ゆっくりと、しかし確かに動き始めていた。

きぃちゃん、カクカクさん、ナナシくん、ヨミ姐。長く彼女を見守ってきた仲間たちが、それぞれのやり方で“戦い”に立ち上がる。

次の配信。

コメント欄に、見慣れたアイコンが現れた。

「ミィコちゃん、今日も癒される～！ 大好きだよっ！」

きぃちゃんの元気なコメントが画面いっぱいに弾ける。その一言が、張り詰めていた空気に小さな穴を開けた。

まるで凍った湖に、春の風が差し込むように。

続いてカクカクさんが、SNSで静かに投稿する。

「ミィコへのネガティブな噂、根拠なし。彼女の配信は一貫して誠実。冷静に考えよう。」

理屈で動くフォロワーたちが反応を示し始める。

「確かに」

「ソースある？」

といった声が交錯し、拡散されていく。

ナナシくんは自身の配信中、陽気に拳を突き上げた。

「ミィコちゃん！ 俺たちめっちゃ応援してるからな！ テンション爆上げしていこうぜー！！」

明るく、前向きなエネルギーが空気を温めていく。コメント欄がじわじわと動き出し、かつての“熱”が戻りつつあった。

ヨミ姐は配信には出なかったが、裏でしっかりと仲間たちに呼びかけていた。

「今こそ支える時だよ。子どもたちを、放っておけないでしょ？」

そんな言葉に背中を押されたリスナーたちが、水面下で再び動き始める。

──絆は、まだ生きている。

優しいコメントが少しずつ増えていく。

「ミィコちゃん、がんばって！」

「私は信じてるよ！」

暗闇の中に、希望の光がちらちらと灯っていた。

そして、その光は静かに──しかし確実に、反撃の狼煙となっていた。

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