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クーインの一件から数日後、冒険者学の授業が終わった時のこと。
「アルト君、イゴール君少しいいかな?」
カイン先生に俺とレイブンは呼び止められた。
何かあったのだろうか?
「なんでしょうか?」
「……なんでしょう?」
俺とレイブンはカインさんのところまで行き、要件の確認した。
「あぁ、実は君たちに頼みたいことがあってね」
「頼みですか?」
カインさんの発言にレイブンが反応する。
カインさん直々の頼み事ってなんだろう?
俺とレイブンは黙ってカインさんの次の言葉を待つ。
「あと、二週間ほどでノウブル森林に実戦に行くことはこの前話しただろ?君たち二人には事前に現地調査を依頼したい」
「ほう」
え?なんで俺たち二人なの?
レイブンはカインさんの頼みに納得しているようだけど、俺は納得いかないため、とりあえずわけを聞くことにする。
「あの、なんで俺たちなんですか?事前調査なら普通に冒険者に依頼すればいいじゃないですか?」
「アルト君、そのことについては説明するよ」
カインさんは俺から質問が来ることを予想していたのか、話し始める。
「君たちなら知っていると思うが、最近魔物の数が増加している情報が出回っていてね。ノウブル森林の状況を確認してきて欲しいんだよ。これから戦闘経験未経験の生徒が立ち入りするからね」
なるほど。それは一理ある。
でも、なおさら調査なら冒険者に依頼するべきだろう。
わざわざ俺らが行かなくてもいいはずだ。
正直面倒くさいし。
俺は否定も兼ねて、質問をする。
「それで、なんで俺らなんですか?」
「君たちは冒険者だろう?依頼をするのは当然だろう?」
「確かにそうですが……なら、正規の手続きをしてくださいよ」
「別にいいじゃないか。カイン先生は報酬をだすと言っている事だし。私は引き受けても良いと思うが?」
俺が遠回しに断りを入れるも、レイブンが横槍を入れてくる。
チッ余計なことを。
どうするか、面倒臭いし、調査をしたら一日が潰れる。
なんの対価もなしにやりたくない。
「アルト君、そんなに態度に出さなくてもいいんじゃないか?」
「いや別に出してはいない「丸わかりだぞ」……そうですか」
「はぁ、ならこうしよう」
俺の態度は見え見えだったらしい。
カインさんは俺が首を縦に振らないため提案をしてきた。
「何かあった時、一回だけ便宜を図ろう。もちろんできる範囲でだが……。報酬に加えて教員である私に貸しを作れる。これで君に依頼を受けるメリットは十分あると思うが?」
カインさんはそう提案をした。
……正直これは今後のことを考えればメリットがある。
イベントでどうやってレイブンとサリーを同じグループにするか迷っていた。
この依頼を受ければその悩みが一気に解決するかもしれない。
俺はカインさんの依頼を受けることにした。
「わかりました。……条件忘れないでくださいよ」
「疑り深いな……。わかったよ。イゴール君もそれでいいかな?」
「はい。私は初めからお引き受けするつもりでしたので」
「わかった。依頼は一週間後、授業終了後に頼む。それまでに準備を済ませておいてくれ」
「「はい」」
カインさんはそう言うと、依頼の日程詳細を伝えてきた。
俺とレイブンは了承の意味も兼ねて、返事をする。
そういえばなんで俺らに直接依頼してきたんだろう?
念のため聞いてみようかな?
「あの、カインさん、なんで俺らに直接依頼してきたのって何か理由があるんですか?」
するとカインさんはそれはだなと呟き、理由を話はした。
「それは特に特別な理由はない。冒険者ギルドに依頼を出す時の手続きが面倒くさいからだな。ちょうど教え子にランク上位の生徒が二人もいるんだ。その方が手っ取り早いだろ?」
「「……」」
この人面倒臭がりなんだ。
レイブンも同じことを思ったのか、俺と同じように、呆れた表情をしていた。