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「職場体験直後ってことで今回は遊びの様子を含めた救助訓練レースだ」
5人1組でスタートし、誰が一番速くオールマイトの元へ行けるか、というタイムアタック形式。
もちろん私も参加だし、波を使えば簡単だ。
「ありがとう愛嶋少女。君が1番だ。でも、移動で個性を使いすぎると、後々の救助に響いてくるから気をつけないといけないね」
間違いない。全体的に使える水の量は増えてるけど、それでも節約していかなきゃいけないのは本当のことだ。
そして時は流れ…..期末テストまで1週間を切った頃。みんなが筆記だ演習だと言っている間私は…..。
「どうした。個性消されたら何も出来ないじゃ生き残れん」
「は、はいっ…..」
「こういう隙を見逃すな心操」
「はい、」
相澤先生の元、心操くんと特訓に励んでいた。相澤先生のお時間がない時は2人で特訓。心操くんは捕縛布を使えるようになること、私は個性の細かい使い方。お互い共通の課題はフィジカルの能力アップ。A組のみんなには伝えない。出来ることを増やす、秘密の特訓。
家に帰れば筆記試験の対策。赤点になると補習って相澤先生は仰ってたけどそれは困る。切島くんが鼓舞してくれたように頑張らなければ。
そして、演習試験。当日。
整列する私たちの前にいるのは先生方合計10名。
「これからは対人戦闘・活動を見据えた より実践に近い教えを重視するのさ!というわけで….諸君らにはこれから基本二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績 親密度 …..諸々を踏まえて独断で組ませて貰ったから発表していくぞ」
私のペアはお茶子ちゃんと青山くん。相手は13号先生。特別ルールとして、生徒3人の場合は、誰か1人でも戦闘不能になった時点で負け判定。
つまり、誰か1人を囮にして2人がゴールしたとして。その囮が戦闘不能になったら3人とも負け。
私たちはハンドカフスを手に。先生たちは手足に超圧縮の重りを付けて、戦闘を視野に入れる作戦に出てきた。
それでも13号先生は個性が協力で、私の個性や青山くんの個性がどんどん吸われてしまう。
必死に両手で柵を掴むのが私たちの現状。これでは触れることも、そもそも手を離すことも不可能…..
「ねぇ」
こんな時に青山くんがお茶子ちゃんに話しかける。
「ちょっと待って 今、」
「今、緑谷出久なら って考えたろ。君、彼のこと好きなの?」
どうやら図星のようで、お茶子ちゃんが両手を離してしまった。
『あっ』
「えっ」
13号先生の個性は “ ブラックホール ” なんでも吸い込んでしまう。吐き出しはできない。まさかお茶子ちゃんが手を離すなんて思ってなかったみたいで、キュポンと指先を閉じた。
至近距離にいるお茶子ちゃん。個性を使えば吸い込もうとしてくる。なら、使わなければいい。
心操くんとの、特訓の成果が出る時!!
13号先生にハンドカフスを装着して、
『条件達成!!』
予鈴が鳴ってHR。赤点が期末テストで赤点だった切島くん・砂藤くん・三奈ちゃん・上鳴くん・瀬呂くん含め、全員が林間合宿に行けることが決定した。林間合宿には行くけど、同時進行で補習らしい。
「まぁ 何はともあれ。全員で行けて良かったね」
尾白くんの言葉と、A組みんなで買い物に行くという葉隠ちゃんの提案で、多くの人が木椰区ショッピングモールに来た。
そうして夏休み。
林間合宿初日。バスでワイワイするみんなを見つめながら、手帳に似顔絵を描く。
そして1時間後。
バスが止まって、降ろされたのは….展望台?
『煌めく眼でロックオン!キュートにキャットにスティンガー!ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」
「今回お世話になるプロヒーロー・プッシーキャッツのみなさんだ」
あぁ、知ってるかも。確かm
「連名事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年で12年にもなる….」
「心は18!!」
「へぶ」
緑谷くんが全部説明してくれたからいいか….。
「あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
「遠っ!!」
ん?なのになんでこんなところで下ろしたんだ?……..まさか、
木の柵に手をついて覗き込んだ。一面山。人の気配は無い。…..ということは、
地響きのような音が鳴って振り返る間もなく、土石が背中を押す。個性を使う間もなく地面に落とされてしまった。….薄々気づいてはいたが、容赦ないな雄英高…..!!
目の前に現れた、甲田くんの個性が効かない獣。おそらく生き物じゃなくて、作られた物。みんなの個性で作られた敵を倒しては進み、倒しては進み……。
施設前に着いたのは夕方。
「部屋に荷物運んだら食堂にて夕食。その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さァ早くしろ」
用意して頂いたご飯はどれも美味しくて。
特に男の子たちの食べっぷりはすごい。ご飯が消えて行くようだ。
ご飯のあとのお風呂。
気持ちいいけど発育を気にしてる私としては….う….公開処刑…..。
覗こうとした峰田くんを、洸太くんが撃退してくれる。男子風呂方面に落ちたようだけど、ぶつける音がしなかったし大丈夫だろう……。
「やっぱり峰田ちゃんサイテーね」
「ありがとう 洸太くん!」
「これに懲りるといいんですけれど….」
ヤオモモが心配そうにしている。
「大丈夫だよ。次来たら熱湯かけてやるからさ」
みんなは安心してお湯に浸かっていて欲しい。
翌日。合宿二日目。
しおりにあった通り、集合時間はA.M5:30
いつも縛っている髪のゴムは手首に。
「今日から君らの個性を伸ばす。死ぬほどキツイがくれぐれも….死なないように….」
許容上限のある発動型の私は、爆豪くんがつけてる湯の水が途切れないように出し続けながら、その他の場所に3倍の威力で放出。….うっ…..そろそろ来たかも….脱水症状…..。
そして夜。
「さァ昨日言ったわね “ 世話を焼くのは今日だけ “って!」
全員でカレーを作ることに。料理は普段簡単なものはするし、これくらいはまぁ….。
「おい愛嶋。何水道使ってんだ。個性使え」
ですよねわかってました冗談です。
三日目 昼。続・個性を伸ばす訓練!!
「麗日!青山!お前ら 赤点こそ逃れたがギリギリだったぞ。30点がラインだとして35点くらいだ。そして愛嶋ァ!!」
「はい!!」
相澤先生は気を使ってくださったのか、みんなに話す時より声を落としてくださった。
「お前あの戦いはなんだ。補習組に仲間入りさせてやってもいいんだぞ。個性が効かない時点で諦めるな。俺が普段心操に何を教えてると思ってる」
「申し訳ありません!!」
気ィ使ってるわけじゃなかった!!純粋にお小言だ!!だけど本当にご最も!!
「今日からお前が風呂の湯張る係にしたっていいんだぞ。B組の分まで」
「はっ?!」
あの湯の広さを×4だと?!そそそそそれはどういう、
「どうした?プルスウルトラだろ?」
「はっ…..はいぃぃ……」
そして肝試しの時間。
くじで緑谷くんとペアになった。
私怖いの苦手なんだよな。特に大きい音がダメ。個性を使っていいんなら、脅かして来たやつに自衛って言って濁流浴びせて….だ、ダメだこの思考良くない….。
ドギマギしながら順番を待っていると、
「何この 焦げ臭いの….」
「黒煙…..」
違和感を覚えた。そして目の前で気絶させられたピクシーボブ。
「なんで….万全を期したはずじゃあ…..何でヴィランがいるんだよォ!!!」
マンダレイの個性・テレパスで、頭に声が流れてくる。
《ヴィラン二名襲来!!ほかにも複数いる可能性アリ!動ける者は直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せず撤退を!!」
緑顔のヴィランと長髪のサングラスをかけたヴィラン。目の前の2人のことだ。
「やばい…..!皆言って!!良い?!決して戦闘はしないこと!委員長引率!」
「承知致しました!行こう!!」
緑谷くんが飛び出して行ってしまった。緑谷くんが気になって手を伸ばす。けど、
「愛嶋くん。今は指示通り動くことが優先だ。我々に戦闘の許可は降りていない!」
「………….」
「行くぞ!」
走る飯田くんたちの背中を追いかけて、それで…..目を開けたら、色つきメガネをかけたように水色になって、声が響いた。
「彼らなら 俺のマジックで貰っちゃったよ。こいつぁそちら側にいるべき人材じゃねぇ。もっと輝ける舞台へ 俺たちが連れて行くよ」
手を伸ばせば届く距離に常闇くんと爆豪くんがいる。だけど、伸ばそうとした手は動かない。
「常闇くん!爆豪くん!」
話そうとした声も出せず、ただ見つめることしかできない。個性を使えるか試みたが、もし使えてしまったら、自分が息ができなくなる。
目の前にいるんだ。目の前にいるのに!
急に視界が暗くなったと思ったら明るくなって。どうなってるんだ?私が知らない間に、2人に何があった?!
開放された空気。
次に目に飛び込んで来たのは、こちらに手を伸ばす障子くん。よく分からないけど、障子くんのもう片方の腕は爆豪くんに向いている。
私も必死で手を伸ばした。けど、
「っだよ今のレーザー….俺のショウが台無しだ。っと、君はダメ」
襟をぐいと掴まれて、頭からモヤに引き釣り込まれる。
「問題 なし」
林間合宿の場所とは違う。
こじんまりとした部屋に、8人。隣に座ってるのは爆豪くん。
「早速だが…..ヒーロー志望の爆豪勝己くん。愛嶋ゆうさん。俺の仲間にならないか?」
顔に手を付けた、ヒーローには見えない人がよく喋る。
「寝言は寝て死ね」
爆豪くんのハッキリとした言葉。爆豪くんの堂々とした姿に、いつも安心させられる。だから、私も。
「お断りします」
彼らを見て、状況を確認する。
まず、手の人。よく喋る。けど、この8人の中で唯一腰掛けている。そう思うと、この人がリーダーなのだろうか。
次。奥にいる黒いモヤの人。あぁ、USJでも会った人だ。つまりこの人たちは、USJで私たちを襲った人たち…..!!
次に、爆豪くんの右側にいる、セーラー服の女の子。白い髪で、ずっとこっちを見てくる。
次。黒と灰色の、変わったスーツの人。仁王立ちで、じっとこっちを見ている。多分、睨んでる。
その奥の黒髪ロングの….あぁ!林間合宿でピクシーボブを襲った!!やっぱり林間合宿の場所から、このよく分からない部屋に来たんだ!
その横延長線上の壁にもたれてるるシルクハット…..は….知らない顔だな?いや、顔は見えないんだけど。
で、その横!緑顔!お前は林間合宿にいた!知ってる!こいつが無事ってことは、マンダレイ達に何かあったんじゃ….、
そして何より、この、隣のこの人。さっきから超見てくる。怖い。顔ツギハギだし、絶対病院行った方がいいですよ….。
この状態を見て、何となくわかった。
誘拐されたんだ。
足でまといにならないようにと思ったのに、このザマ。
リーダーっぽい人が、わざとらしくテレビを見やすいようにしてくれた。そこに流れたのは、見たくなかった現実。
『では、先程行われた 雄英高校謝罪会見の一部をご覧ください』
スーツ姿の根津校長にブラドキング先生。そして、相澤先生。
『この度 我々の不備からヒーロー科1年生28名に被害が及んでしまった事 ヒーロー育成の場でありながら 敵意への防衛を怠り社会に不安を与えた事 謹んでお詫び申し上げます まことに申し訳ございませんでした』
『NHAです 雄英高校は今年に入って4回生徒とヴィランが接触していますが今回 生徒に被害が出るまで 各ご家庭にはどのような説明をされていたのか 又具体的にどのような対策を行ってきたのかお聞かせくださいください』
は?
『周辺地域の警備強化 校内の防犯システム再検討 ” 強い姿勢 “ で生徒の安全を保証する…..と説明しておりました』
壊してやるこんなTV。
個性の水使って高火力でぶっかけて二度と放送できなくしてやる。…..なんて、出来ないけど。拘束されているせいで、私も爆豪くんも思うように身体が動かせない。
「不思議なもんだよな。なぜヒーローが責められる? ” お前らは完璧でいろ” って?
俺たちの問は、ヒーローとは 正義とは何か。この社会が本当に正しいのか 1人1人に考えてもらう!俺たちは勝つつもりだ。君も 勝つのは 好きだろ」
完璧でいろ…..。正義とは、なにか….?
この社会が 本当に 正しい のか?
正しい?社会?
私は、大事な人が安心できて。笑ってくれて。それがある社会が好きなんだ。それがあるのは、今の…..社会…..?
「なぁ。愛嶋ゆうさん」
目玉が痛くなるほどの速さで、反射的にリーダーを見た。
「俺たちは前からこっちに来て欲しかったんだぜ?その個性を、納得出来る世界のために使おう。そうは思わないか?」
……..。
「荼毘 2人の拘束外せ」
「は?暴れるぞこいつ」
「いいんだよ。対等に扱わなきゃな。スカウトだもの。それに、この状況で暴れて勝てるかどうか分からない生徒じゃないだろ?雄英生」
確かに….相手は8人。こっちは2人。個性も能力もわかってないのに、我々の諸々はバレている。完全に不利だ。
ツギハギの….荼毘さんは外したくないみたいで、何故か黒と灰色のスーツの….トゥワイスさんが、私たちの手錠をカチャカチャといじる。
「強引な手段だったのは謝るよ。……….けどな、我々は悪事と呼ばれる行為にいそしむ ただの暴徒じゃねぇのを わかってくれ。君らを攫ったのは偶々じゃねぇ。
ここにいる者事情は違えど、 人に ルールに ヒーローに縛られ….苦しんだ 君らならそれをー…..」
ボン!!とリーダーの胸元に向かって爆破した爆豪くん。
いやいやいや!!どう見ても不利だよね?!どうにかして脱出するつもりだけど、そんな堂々と!!
「要は “ 嫌がらせしたいから仲間になってください ” だろ?!無駄だよ。俺はオールマイトが勝つ姿に憧れた。誰がなんて言ってこようが そこァもう曲がらねぇ」
爆豪くん…!な、なんか….すごく、
「かっこいい!」
「おいクソチビてめぇ!!状況わかっとんかダボが!!」
『我々も手を拱いているワケではありません。現在 警察と共に調査を進めております。我が校の生徒は 必ず取り戻します』
「ハッ 言ってくれるな雄英も先生も。そういうこったクソカス連合!!」
人質に私たちをとってるってことは、まだ利用価値があると見られている。交渉に来たのも、
” 元雄英の生徒が、君たちの教えのせいでヒーローの敵になっちまったぞ?終わりだなぁ ヒーロー社会 “ ってしたいだけだ。
そんなストーリーの主人公にはならない。なりたくない。
これはもう、私VS彼らの戦いではなく、
ヒーロー VS ヴィラン の戦いになったんだ。
「言っとくが 俺ァまだ戦闘許可解けてねェぞ」
戦闘許可?なんの話?
いいや。とりあえず、” 自分の身を守る “ ための個性の許可は認められているはずだ。何かあっても正当防衛で許してくれるだろう。
「黒霧 コンプレス また眠らせてしまっておけ」
「ここまで人の話聞かねーとは….逆に感心するぜ」
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!!」
あの2人は、多分戦闘要員じゃないな。それに今、リーダーっぽい人が ” 先生 “ って言ったな…..。ここで増援を呼ばれると苦しい。何とかして……
「どーもォ ピザーラ神野店ですー」
は?
と思ったら、壁が壊れて、プロヒーロー達が一斉に!
シンリンカムイにグラントリノにオールマイト!!エッジショットまで!
「怖かったろうに….よく耐えた!ごめんな….もう大丈夫だ 少年 少女!」
……あ。
もう 大丈夫 なのか 。
…..あ。
「少女!」
オールマイトの頼もしい左手が、私の身体を支えてくれた。
気づけば力が抜けていて、目から涙が出た。怖かった。怖かったのかもしれない。またあんなことになったらと思うと、怖かったのかもしれない。
「やはり君は青二才だ 死柄木!敵連合よ。君らは舐めすぎた。少年少女の魂を。警察の弛まぬ捜査を。我々の 怒りを!!おいたが過ぎたな ここで終わりだ死柄木弔!!」
私は開放されたと思った。我々は追い詰めたと思った。しかし、次の瞬間。
黒いドロドロしたものが勢いよく私を包んでいく。掴めない。苦しい。
オールマイトの手が 離れて行く。
「ぅおぇっ?!、かはっ、ぅっ……」
うぅぅわ苦しいし臭いし、なんだったんだ….今のと比べたら私の個性で気管が防がれるなんて可愛いものだ、
「悪いね 爆豪くん 愛嶋くん」
誰、
「全ては 君のために ある」
…..圧倒的 強者。
私には 太刀打ちできない。
そんな 空気を感じる。
「常に考えるんだ 弔 君はまだまだ成長できる」
「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトを食い止めてくれてる間に!
コマ 持ってよ!!」
「めんっ…..ドクセー…..。
おいクソチビ!こいつら、さっきと違って俺らを気絶させてでも連れ戻すつもりだ!わかってんなァ!!」
「うん!」