テラーノベル
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第三話
私は無言で頷いた。
「本当は、誰も巻き込みたくなかったんですけどね……」
私は口を噛んで拳を握った。
「それは、家族に話したの?」
「……言えませんでした」
「そっか。よし、街には寄らずに、直行する。でも、少ししたら、強い寒波がやってくるだろうから、野営する予定でいいか?」
二人とも直ぐに頷いた。私も遅れて頷いた。
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星が眩く輝いている空の下、パチパチと音を鳴らして火の粉が星に混じっていく。その周りを俺たちが囲んでいた。
ソニアが静かに寝息をたてているのを確認してから口を開いた。
「二人とも。ソニアは、他にも秘密があると思うんだけど、どう思う?」
「確かに、大人びてるし、両親の言っていた『毒を喰わばら皿まで』って、罪に手を染めるなら最後までって意味だったよね。こうなるのもしょうが無いけど、それにしてもだよね」とハルが顔を険しくして言っている。
それに続いてレイが「うん。同じく、あの年頃だと、我儘言って、何も進まないけど、圧に気圧されているのなら、助けないといけないよね。でも、他にも言えない秘密があってもおかしくないよね」と唇を噛んでいる。
そうだよね……でも、何も見当がつかない。
「でもさ、泣くのを我慢してるようにも見えたんだよ」
「そうなの?」「え?」と俺とレイがハモった。
ハルが苦笑しながら「二人とも、鈍いな。ソニアは、きっと誰も敵に見えちゃうんだよ。だから、怖くて、苦しくて、泣きたいんだよ。でも、それを表に出すのは、一番怖い事。そうじゃないかな?」と軽くため息をついた。
そっか……
あんな小さいのに、そこまで頭が周るのは……他にも何かあった……そうしか考えられない。
「じゃあ、隣国に行くのは……きっと二年くらいかかると思う。まぁ、S級が外国に出るのは好ましくないけど、教え込んだらいいんじゃないかな?」とレイが懐かしそうにして目を細めている。
「確かに。だって、これから何をするかも決まってない五歳の女の子を独りになんか出来ないしね」
「僕も賛成。ソニアは、どんな物でも抱え込みそうだしね。んじゃ、決まり。冬の期間は、留まって、夏の間にノロノロ進むって事で」と俺は二人に向かって頷いた。
直ぐに頷き返してくれる。
でも、レイが血が滲むくらいまで唇を噛んでる。
カルナの事か。
「大丈夫。少し抜けてるが、自己管理はちゃんとしてるしね」といってレイの背中をポンポンと叩いた。
「……うん。そうだよね」
ハルも「ほらほら、大丈夫だよ。僕たちは、色々な事のプロじゃん。みっちり教えようよ」と俺の反対側から肩を叩いている。
「うん。それ、楽しそう」
「やる事、ないしね」
山奥の深夜には、この三人の話し声と、冷たい北風が揺らす木の葉の音と、川のせせらぎだけが、聞こえた。
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あれから、一週間が経った。
満月の夜で、風が頬を凍らすように冷たかった。
……皆が優しくて、前より、楽しかった。
今までは、振り回されてたけど……ふふっ。
家の事も聞き出してはこないし、後回しで元気づけてくれたり、守ってくれたり……最初は、どうなるかと思ったけど。
レイさんは、剣を巧みに使いこなして、狙った獲物は残さず捕らえる。無口だけど、人一倍、寄り添ってくれる。すっかり、私のお世話係。
ハルさんは、魔法を使いこなす上に、料理上手。大体の魔法は使えるらしいけど、ちょっとおっちょこちょい。ブロンド髪はいつもサラサラで羨ましい。
オメロさんは、頼れる……お父さんって感じかな。
前世のお父さんは、夜遅くに帰ってきて、あまり覚えているような思い出が無い。
でも、三度目のお父さんなら、やっていける気がする。まだ若い感じがするけど、十二歳が成人のこの世の中は、十二歳に産む人もいるらしいから、ちょっと日本の記憶が邪魔をする。
「ん? 眠れないの?」
そう言ってホットミルク片手にレイさんが隣に座った。
「はい」
レイさんが少し迷いながら「……ソニアは、外国に行って何をしたい?」と尋ねてきた。
外国に行って……
何をって、生きるための、唯一の選択肢で、逃げたくて……
「……考えた事はありません。でも、こんな親も付いて無い気紛れな五歳児が、何が出来るのかも分かりません」
私は星空を見上げてため息を吐いた。
家出をするしか無かったんだよ……でも、家族がいないと、心細いな……
レイさんは私の事を見つめて「……でも、やりたい事が見つかったら教えて。何か、手伝いたい」と微笑んだ。
私もレイさんを見て「ありがとうございます」と微笑んだ。
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植まどか
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コメント
1件
うわぁ〜第4話、めっちゃ沁みたよ!!😭💕 ソニアが「三度目のお父さんならやっていける気がする」って思うとこ、胸がぎゅってなった…。レイさんが「手伝いたい」って言ってくれた時のソニアの小さな笑顔、守りたくなるよね! オメロたちがS級なのにあんなにソニアに寄り添ってて、逆にこっちが甘えたい気持ちになったよ…✨ 続きが待ち遠しすぎる!!🌸