テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「この曲……俺が作ったんだ…ミクルのことを思って……」
「カイトが……? 私のことを……?」
「うん…」と、カイトが首を縦に頷く。
「……初めて書いた、俺の曲……。初めての曲は、どうしてもミクルに贈りたくて……」
嬉しくて、でもなんて言ったらいいかわからなくて、何も言えずにいると、
「……だから、ミクに一番に聴いてほしかったんだ」
言いながらカイトがギュッと私に抱きついてきた。
「……ミクが気に入ってくれて、よかった……」
そうしてその濡れたように潤む瞳で、私の顔をじっと見上げて、
「ミク……ミクルのことが、一番好きだ……」
甘ったるい声音でそう口にすると、
「この曲を歌うことで俺は、テレビからもラジオからも、たくさんのメディアから、おまえに想いを届けるから……。……だから、聴いていて……いつも、俺の歌を……」
唇を柔らかに重ねてきた。
「……カイト、ありがとう…」
腕の中の彼を強く抱き締めて、
「うれしい、すごく……」
私からも精一杯の気持ちを伝えると、
「ミクがうれしいなら、俺もうれしい……」
カイトは、まるで無邪気な子供のように私の胸に頬を擦り寄せて、
けれど、かと思うと、
「……おまえからも、キスして……?」
上目遣いで艶っぽく誘いかけるように、紅く色づいた唇を迫らせた。