菊は帰り道、何者かに後をつけられている気がしてならなかった。振り返るのも怖く、そのまま身を縮こまらせて歩いている次第だ。
仕方ないですね……少し苦ですが、、……。と思い、菊は今出せる力で、文字通り必死に走った。もう追ってきているのかも分からないほど。
家の外観が見える。
そして、鍵を走りながら取り出し、素早く開閉した。
「はぁぁっ、はぁぁっ、もうっ、なぜぇっ、わたくしぃっ、をっ、、」
玄関で思わずへたり込む。こんなに走ったのは本当にいつぶりだろうか。
そのまま疲れ果ててしまい、その後の記憶はなかった。ただ、へろへろしながら布団に入った覚えは無くはない。
「んぅ……………ん?」
翌日。自分の上に何か重いものが乗っていることに気がつき、目が覚め、そして凝視した。
最初は数個だと思っていたが、よく見たら違う。複数いる。
「にゃ………」
上にいたのは、猫だった。
菊はそれだけでなく、他にも違和感を覚えていた。
猫の匹数。毛並みの色。…………
「……………っは!!!!」
ま、まさか、………。と、それらの本当の存在に気づき始めた時に、
「にゃ〜〜!」
「にゃ………」
「にゃーーー」
「にゅ…」
「にゃー」
「にゃは!」
猫の大合唱が起きた。猫は好きだが、流石に6匹はうるさい。
「と、とりあえず起き上がりますか……
みなさん、どいていただけますか、?」
返事はない。どく気配もなし。
むしろ明るい茶色の毛並みの猫がとてつもなくすりすりを始めた。
眉毛が多め?の金色の毛並みの猫はペロペロを始める。
上記の猫を筆頭に、どんどん猫たちがペロペロしだす。服がめくれ上がって…………。
「ひゃっ、!///…ど、どこを舐めているのですか、!?///あ、貴方、アーサーさんですよね…!?//」
問いかけに無視し、上半身の菊の敏感な部分を知っているかのようにそこのみを舐め続けていた。猫の表情は分からないが、何となく楽しそうな感じがした。
アルフレッドに似た猫は顔を、アーサーに似た猫は【【菊の敏感な上半身部分】】を、王耀と似た猫は腹を、イヴァンに似た猫とルートヴィッヒに似た猫は両足(片っぽずつ)を、フランシスに似た猫は【【菊の敏感な下半身部分】】を。
どんどんエスカレートしていく猫たちのスキンシップに、思わず何度も喘ぎが出る。
「んっ…///や、やめっ////ぅっんっ、////ひぁっ////」
もう誰でもいいから誰かに助けを……と思った菊は、息が上がりながらてきとうに通話ボタンを押した。
「っ、////た、助けてぇっ、//くだっ、さいぃっ///」
バンッッ!!
「大丈夫かよコノヤロー!!!!」
部屋の扉が開き、声がして誰かが来てくれたことに気づく。顔は覆われているため見えないが、声の主は分かった。
「ロヴィーノさ、ん、っ///た、たす、っ…けぇてぇ…///」
「…………」
何故か返事も動く気配もしない。え、見ぬふりされてしまいましたかね……、と思っていたら、
「………………………………菊……!」
動いてくれているようで、猫たちを引き剥がそうとしている。だが、どの猫も離されないようにがっちり菊の様々な部分にくっついたままだ。
頑張ってください、今助けてくださるのはあなたしかいないのです…!!!
と、精一杯心の中で応援した。
猫たちは、無事に外に放り出された。
「はぁぁー…助かりましたロヴィーノさん……」
「………」
本当に何故なのか、あれからまた返事がない。
「………?あの、ロヴィーノさん…………?」
「────て───か…?」
「え、…今なんと?」
「テメーのせいでもう、が、我慢ならねぇんだ…!う、上書きしてもいいかよ、コノヤロー…」
「………………ぇ」
予想外のワードに菊は固まる。
後日、腰を痛めた菊は猫の正体であろう面々に
「な、何してくれたのですか…!?///元をたどればあなた達のせいなのですよ…!?!?////」
と、問い詰めたが、
「何のことあるか……、?」
「What……??」
「んー?」
「え、何のことかさっぱりなんだが……」
「うーん……?俺、菊になんかしたっけ……?」
「す、すまなかった…………??」
全員この反応であった。
あの猫たちは一体誰の入れ知恵なのか、誰も知る由もない。
コメント
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腐腐腐…おっと失礼。