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途中、すれ違う通行人たちの視線が、ちらちらとこちらに向けられているのを肌で感じる。
それもそのはず、傍から見たらおそらく……
俺たちは歳の離れたカップルではなく、仲の良い「年の離れた兄弟」にでも見えるんだろう。
カチッとした俺の服装と、純一のゆるい私服の対比が、余計にそう思わせるのかもしれない。
だが、世界が俺たちをどう見ようと構わない。
純一のこの柔らかい手の温もりを知っているのも、隣を歩けるのも
恋人である俺だけの特権なのだから。
◆◇◆◇
少しして、目当てのケーキ店に到着した。
自動ドアが開き、店内に一歩足を踏み入れた途端──
「あっ、ちょ!」
純一は店内に入るなり、それまで繋いでいた俺の手をすうっと離して
色鮮やかなケーキがずらりと陳列されたショーウィンドウの前へと猛ダッシュしてしまった。
完全に目が釘付けになっている。
ここ最近は仕事の疲れもあって、こうしたお出かけが全くできていなかったからだろうか。
随分とご機嫌な様子で、子供のように嬉しそうな声を上げた。
「純一、そんなに急がなくたって……」
ケーキは逃げないよ、と言いかけて、俺はその言葉を飲み込んだ。
「わぁ、色々あって迷うぅ……っ! いちごのタルトがいいなぁ……っ、あっ、でもチョコもすっごく美味しそうだなぁ…」
そんな小言なんてどうでもよくなるくらい
純一の、ショーケースの中をキラキラとした純粋な目で覗き込む横顔が
ただ只管に愛らしかったからだ。
あっちに目移りし、こっちに頭を悩ませながら
小さな声でブツブツと楽しそうに呟く姿が可愛くて仕方がない。
「りひとさん、りひとさんはどれにするぅ?」
ふと振り返り、満面の笑みで問いかけてくる。
「ん~そうだな……純一のオススメのケーキにしようかな」
「えぇ?! ぼくが選んじゃってもいいのぉ?」
「うん。純一の方が、こういう可愛いお店とかスイーツに詳しいでしょ?俺、純一が楽しそうに選ぶところとか、そのこだわりを見るのも好きなんだよね」
純一は一瞬、予想外だったというように丸い目をパチくりとさせたが
すぐに胸がいっぱいになったように嬉しそうに微笑んだ。
そして数秒間
真剣な表情でショーケースとにらめっこをすると、再びキラキラとした表情をこちらに向けた。
「じゃあ……いちごのタルトと、チョコケーキ!りひとさんと一緒に、半分ずつ交換して食べたい!」
「いいね、じゃあその2つにしよう。飲み物は何にする?」
「んーと……紅茶!ミルクティーがいいなぁ。りひとさんは?」
「俺はいつものコーヒーでいいかな」
店員に注文を済ませ、奥の落ち着いたサロンの席へと移動する。