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「俺、恵菜が好きって言ったネックレス、すげぇいいと思う。シンプルだけど、さり気なくオシャレ。恵菜は?」
「私も、このデザインに惹かれました」
「じゃあ、このペアネックレスにしようか」
純が、店員に声を掛け、会計でレジへ向かい、恵菜が店の外で待っていると、小さな袋を手に下げた彼が彼女へ歩み寄った。
マットな紙質で高級感のある白いショップ袋は、シンプルなブランドロゴが、小さく記されている。
「せっかくだし、ギフト用にしてもらったよ」
彼が顔を綻ばせ、恵菜に袋の中を見せた。
純白の小さな箱には、サテン生地の明るいネイビーブルーのリボンが掛かっている。
「わぁ…………可愛いっ」
「ヤベェ。すぐ着けたいから、場所を移動しようか」
純が自然と恵菜の指先を絡ませて、恋人繋ぎにすると、二人は赤レンガ倉庫を後にする。
(純さん…………意外と可愛い事を言う人なんだ……)
彼の言葉に、恵菜は自然と笑みが溢れ、筋張った大きな手をギュッと握りしめた。
外はすっかり暗くなり、みなとみらいは、様々な色彩の光を纏い、存在感を放っている。
純に手を引かれてやってきたのは、みなとみらいを一望できる大桟橋。
二人の周辺にも多くのカップルがいて、思い思いの時間を過ごしているよう。
空いているベンチを見つけ、恵菜と純が腰を下ろすと、彼はさっそくジュエリーショップの袋から、綺麗に包装された小箱を取り出した。
「俺が開けてもいい?」
「もちろんです」
「じゃあ、『開封の儀』をするぞ?」
「はい」
純がポツリと言った『開封の儀』に、恵菜は可笑しくなってクスリと笑い、小さく拍手をする。
彼の長い指先が、丁重に小箱のラッピングを剥がしていくと、ネイビーブルーのジュエリーボックスが姿を現した。
純の真剣な表情が、みなとみらいの光に微かに反射し、男の色香を感じた恵菜。
胸の奥が締め付けられ、ドクンと鼓動が大きく打ち鳴らされた。