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KILLAには、それからも何度か取材をする機会が訪れた。
彼らは、会う度に売れていくような感じで、確実にメジャーなアーティストへの階段を駆け上っていた。
4人のメンバーの中で一番人気があるのは、やっぱりヴォーカルのカイで、
あまりしゃべらないようなキャラも手伝ってか、クールでカリスマ性のある存在にもなっていた。
そんな彼の見えない面を引き出してみたいと、取材ごとに質問やアプローチの仕方をいろいろと変えて、仕掛けてみてはいたけれど、
その度に人を寄せ付けない態度であっけなく交わされて、私はいつもにべもなく玉砕をしていた。
その日も、KILLAへの取材を終えた後のこと──。
今日も今日とて、相変わらずカイからは何も真新しいことを引き出せなかったことに落ち込みながら、私はボーッとキラが所属する音楽事務所からの帰り道を辿っていた。
そうしてふとこの後の予定はどうなっていただろうと思い、スケジュール管理用のアプリを立ち上げ、歩きながらチェックしていた私は、
前をよく見てはいなかったせいで、不意に脇道から現れた人と、いきなりドンッとぶつかってしまった──。