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車は静まり返った葬儀会場に停車した。
入口には白地に黒文字で、
「故 早瀬夏海儀」と標榜されていた。
…お気づきだろうが、
今日は早瀬夏海さんの葬儀だ。
彼女はかつてゴーシックスコーポレーションで会計コンサルタントとして
勤務していた人物。
まぁ、それは表向きの顔でしかないのだが。
私たちがこの葬儀場にやって来た理由も、
彼女に別れを告げるためなどではない。
とある″件,,について、探りを入れるためだった。
海江田「助手席やったからあんま見えへんかったけど…〇〇ちゃんの喪服姿ええなぁ」
車を降りると
海江田さんが嫌な笑みを浮かべては、
ジロジロと私の頭からつま先まで目を通していた。
私の隣に立っている冬橋は助けに入る様子もなく
無言のままそっぽをむいていた。
『ありがとうございます。』
『それより早く並んで頂けますか』
…このやらしい視線を向けられ、いい気分がしないが
私は冷静を装い、喪服の内ポケットから小型マイクを取り出し
彼に手渡した。
海江田「はいはい、あとでじっくり見させてな」
海江田さんわざと私の手に触れるように小型マイクを受け取って、
参列者の列へと向かった。
『…あぁ、気持ちが悪い。』
『冬橋もそっぽばかり向いていないで助けなさいよね』
横目で冬橋を見ると
冬橋はこちらを見向きもせず後ろを振り返る
冬橋「俺は仕事でしか手助けはしないと決めてる。」
『…生意気』
冬橋「無駄口を叩いてないで早くついてこい」
待つこともなく前進しだす冬橋。
私は少し早歩き彼の背を追いかけた。