テラーノベル
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「……若井」
『んー?』
スマホ越しの声は、いつも通りだった。
安心する声。
涼ちゃんは薄く目を閉じる。
呼吸をするたび胸が重い。
でも、それを悟られないように小さく笑った。
「……ごめん」
『なにが?』
「……こっちから電話したのに」
少し息を挟む。
「……もう、疲れちゃった」
『あー、眠い?』
若井は軽く返す。
涼ちゃんは少しだけ黙って、
「……うん」
小さく答えた。
本当は違う。
でも、もう説明する力もなかった。
「……ごめんね」
『謝りすぎ』
若井が苦笑する声。
『いいからちゃんと休め』
「……」
『最近ずっと無理してたんだろ』
優しい声。
それが胸に刺さる。
『今日はもう何も考えないで寝ろ』
「……うん」
『また明日な』
当たり前みたいに言う。
明日もある前提で。
「……」
涼ちゃんは少しだけ息を止めた。
“明日”
その言葉が、やけに遠く感じる。
「……うん」
やっと返した声は、
少しだけ震えていた。
でも若井は気づかない。
『じゃ、おやすみ』
「……おやすみ」
通話が切れる。
静かな部屋。
スマホの画面がゆっくり暗くなる。
「……」
涼ちゃんはそのまま天井を見つめた。
耳にはまだ若井の声が残ってる。
“また明日な”
「……」
小さく笑おうとした。
でも上手く笑えなかった。
怖かった。
本当はもっと話していたかった。
元貴の声も聞きたかった。
もっと、
もっと普通の日を続けたかった。
「……」
目の端から、静かに涙が流れた。
次回5000
ちょっとみなさん、程よい差にしましょうよ。♡の数が1話ごとに差がありすぎます🤣
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