第1章「偽りの好意」その5
「あー、やっぱりキレイさっぱり片付いてるねー」
「仕方ないさ。大きな事故だったわけじゃないし、これから発表もある。すぐ使えるようにしないと困るからね」
姫乃と香島の声が、広い空間に反響して消えた。
本来は客で埋まるはずの席には誰もおらず、静けさが支配する空間――小劇場。
ほんの一、二時間前まで彼らが練習していた場所だ。
今そこに、姫乃、香島、そして修介は戻ってきていた。
「落ちたライトって、上手から何番目のライトだったっけ?」
「二番目くらいかな。僕が演技をしていたのがちょうど舞台中央で、そこから数歩上手側に落ちたから」
言いながら、二人はライトが落ちたところへ移動する。修介も後に続いた。
姫乃の言うとおり、すでに舞台上に散らばったライトの破片は片付いている。
頭上にはすでに新しいもの――他のライトと同じ形状のものが吊り下げられていた。
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