テラーノベル
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fcの照くんバースデー動画で話していたいわふか旅行が実現していたらっていう話です。
「……あれ? 照、いない?」
目を覚ますと、隣にあったはずのぬくもりを感じなかった。
コテージの部屋にはまだ朝の気配がうっすら残っていて、カーテン越しの光は柔らかい。
寝癖がついた頭をかいて、部屋を抜け出す。
靴をつっかけて玄関を出ると、潮の匂いが鼻をくすぐった。
朝の海は、夜とはまったく違う表情をしている。
透明で、静かで、どこかあたたかい。
「……いた」
砂浜に降りてすぐの岩場。
そこに、照がいた。
ひとり、波打ち際に座って、海を見つめている。
「おはよ、照」
声をかけて横に腰を下ろすと、照は少し驚いた顔をしてから、ふわりと笑った。
「ふっか……起こしちゃった?」
「隣いなかったら気になって」
「ごめん。なんか……朝の海、見たくなっちゃって」
波の音に耳を澄ませながら、照の横顔を盗み見る。
朝日が昇りきる前の、淡いオレンジ色の光が照の輪郭を照らしていて、まるで夢の中にいるみたいだった。
「……なんかさ」
ふいに照が口を開いた。
「二人っきりって、いいよな。こういう時間、もっとほしいって思っちゃう」
胸がきゅうっと締めつけられた。
「俺も。……もっと、ずっと一緒にいたいって思ってる」
照がゆっくりこっちを見る。
その瞳には、波の反射が揺れていて、やさしさがあふれていた。
「ほんと?」
「ほんと」
小さく笑って、そっと照の手に自分の手を重ねた。
ぬくもりが、心まで伝わってくる。
言葉にしなくてもわかることが、確かにここにある気がした。
「……ねぇ、次時間できたらさ」
照が囁く。
「また来ようよ、ここ。二人で」
「うん」
短く答えて、肩にもたれかかる。
波の音、潮風、照の匂い。
この時間が、ずっと続けばいいと思った。
コメント
1件
夫婦尊い…🤦🏻♀️💛💜