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※この物語はフィクションです。

実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。


〈File84:泥の花〉

身体を支配する焦燥感と緊張感を引きちぎるように、懸命に脚を運ぶ。

大きく横に広がって歩く集団のただ中を敢えて引き裂き、声を張り上げる。

一斉に視線をさらうことには成功したが、その中に目当ての顔は見つからない。

「カグヤ、どこだ!?」

階段を上がり、人の集まる場所へ行き、また階段を上がり、同じことを繰り返す。

その辺の学生を捕まえて探し人の特徴を伝えるが、首を横に振られるばかりだった。

それでもいちいち肩を落としてはいられない。

肩から下げたトートバッグをかけ直し、彼女と別れたラウンジへ一旦戻ることにした。

「……クソ、こんなことになるなんて」

思わず、悪態が口をついて出た。

ああ見えて冷静な人だから、滅多なことはしないとわかってはいる。

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君の背骨に棲みたい

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