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「何が起こったんだ!?」
両親が私の方へ駆けつけ、その惨状を見て愕然とする。
「來雨…!アンタ、一体何をしたのよ!」
私は母親の言葉を無視し、マタールナを全て両手で抱えてキッチンへと走る。
アルミニウムでできているフライパンにマタールナを勢いよく入れることで、物を自在に操れる性質を利用して、マタールナとフライパンを浮かばせて私に着いてくるようにする。
ついでにあった非常食の缶詰などの食料も自在に操作できるようにしておく。
「待ちなさいよ!來雨!」
「正直に何か話せ!」
(炭酸水素ナトリウムは何処だ…重曹が家にあったはず…!)
両親から逃げつつ洗面所に向かい、重曹をマタールナに触れさせる。
自分とマタールナとフライパンと重曹と食料を窒素に見えるように幻惑を発動した。
「き、消えた!?」
私はマンションから外へ出て、昔草薙家の娘と会った公園へと走る。
公園に着いたところで走るのをやめ、ベンチに腰を降ろした。
両親は今頃、押し入れの扉と部屋の床が壊れたことと私が急に消えたことを警察に通報しているのだろう。
私がマタールナを所有していることがバレるのも時間の問題だ。
私の行方を警察等の組織に判明されないようにしなくては。
解除するよう命令するか睡眠をしない限りは、重曹などを自在に操る効果&それと私を窒素として認識させる効果は解除されない。
私が寝ると効果が切れて、他人に私の姿が見えてしまうことが厄介だ。
(寝床はどこにすればいい…?)
営業時間ではないときに大型商業施設の屋内で寝ることを最初に思いつく。
しかし、もし24時間作動している監視カメラがあれば睡眠で効果が切れたときに姿を映されるだろう。
監視カメラ自体にも幻惑の効果が効くことは1年前の実験でわかったから、起きている間は警戒する必要はない。
「まずは行ってみてから、そこで寝るか判断するか…」
誰にも認識されないことは不便な点もあることを、駅前の大型商業施設へ足を運ばせているときに身をもって知った。
普段から向かい側から来る人や自転車には自分から避けているときが多い私だが、道を歩く人が多いと割とぶつかりやすい。
しかも大型商業施設へ行く途中には、車がかなり通るくせに信号機のない横断歩道があるのだ。
こういうのは車が多く通っていく中、横断歩道の前で歩行者が渡る機会を待っていて、歩行者が立っていることに気づいた車が止まってくれることで渡れるような感じだ。
大型商業施設に行くには、この横断歩道を渡らないで回り道をしていると横断歩道を使ったときよりも2倍以上の時間がかかってしまう。
私は他にこの横断歩道を渡りたい人が来るまで待って、横断歩道を渡る人と一緒に歩くことで何とかなった。
そして大型商業施設へ着き、監視カメラもなく営業終了後に誰も来なさそうな場所を探す。
(必ず監視カメラが置いてない場所は、トイレの個室の中かな〜)
だが、営業が終わった後でも従業員が利用するだろう。
この施設にあるトイレがどこにいくつあるのかを調べてみた。
トイレは必ず各階に設置してあり、出入口·休憩スペース·フードコート·イベントスペース·アミューズメント施設の付近に存在する。
出入口に近いトイレは、従業員の出入りも集中しそうな場所で出勤前や退勤後に使われそうだ。
休憩スペースは来客用だが、もし従業員の仮眠と休憩のための場所と共用しているのであればその付近のトイレも使われるだろう。
フードコート付近のトイレは厨房からのアクセスが良く、飲食店の従業員の掃除や閉店作業で遅くまで近くにいるのかもしれない。
イベントは開店直後や閉店近くに行われることは少なく、常設スタッフも少なさそうなためイベントスペース付近のトイレが使われる頻度は低そうだ。
アミューズメント施設は営業時間が他よりも長く閉店作業も時間がかかりそうなため、その近くのトイレの使用も比較的多いだろう。
(そうなると…イベントスペース付近のトイレの個室で寝るのが良いかな。)