芸能界を引退して2ヶ月、私の話題で持ち切りだった。
『千紗さんが引退したこの芸能界では様々な悲しみの声が寄せられています。』
引退したことについてどう思っているかインタビューをしている画面に切り替わり、ある人はこういった。
『惜しい人材を事務所は外してしまったんだなと思いました。』
『ずっとファンだったので、聞いた時は泣きじゃくりましたけどそれも千紗ちゃんの新たな道の1歩だなと…』
みんな、ちゃんと私を見てくれてたんだ…
必要以上に私は愛されていたという事実に驚きが隠せなかった。
『次のニュースです。朔間さつきさんが元アイドル竿味千紗さんと結婚したことを発表しました。そして、第一子を妊娠したとの発表もあります!!』
「お!来た?」
嬉しそうにわたしの隣でテレビを見る君が愛おしい。そして、来年にはまた1人増える家庭。物凄く幸せで幸せで不安になる。
「千紗には迷惑をかけるかもしれないけど…これからもよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくねパパ (笑)」
4年後_
「おとうさん!おかあさん!私ね、おおきくなったらせかいじゅうを笑顔にするアイドルになるの!」
どこかで聞いたことある言葉…
「へぇ!お父さんとお母さん、幸が立派なアイドルになるの応援してるわね!」
次は、この子が私の思いを受け継いでくれるんだ。
でも幸はもしかしたら私を超えるスーパーアイドルになってるかもしれないし、もしかしたら違う道に進んでるかもしれない。
でもそれは間違っていない。夢には近道も遠回りする道も無く、みんなたった1本の道で努力して夢を叶えてるんだから。
一通のメールが届く。こんな時代にメールなんて珍しい…誰からだろうと見てみる。
それは5歳の頃の自分から送られてきたメールだった。
「いまのちさへ。
いま、せかいじゅうをえがおにするアイドルになれていますかそれともアイドルみならいですか。それとももうアイドルではなくなっていますか。わたしはきょう、おともだちにアイドルとゆうゆめおばかにされました。くやしかったしかなしかったけど、でも、それをのりこえたいまのちさはとてもきれいなにじをみているとおもいます。まけないで
むかしのちさより。」
幼き時代に書いたものであり誤字もあるが、凄く心に響いた。
窓を見てみると、雨も降っていないのにも関わらずハッキリと虹が出来ていた。
本当に幸せな瞬間は誰かに勝ったり欲しいものを手に入れたりする事じゃない。
自分が描いていた未来を実現出来た事がホントの幸せになるのだろう。誰も間違っていない。
私を支えてくれてた人、関わってくれた人、その他全てにおいてみんなに”幸”あれ_
「今の自分へ、昔の自分から。」
長くご愛読ありがとうございました!
コメント
2件
昔の千紗ちゃんから未来の自分への手紙を見て感動しかない 😭😭 それに、幸ちゃんの名前もしかしたら最後の意味が込められてるからかな、なんて考えてしまった 🙄💭 あっという間に完結しちゃった 🥺 完結おめでとう!!!!!