「それで、水戸さんのお姉さんってどこに居るんですかね?」
「多分家だと思うけど…」
待って、私の家ってどこだっけ?
いくら思い出そうとしても思い出せない。
なんでだろう。
「じゃあ行きましょっか!案内してください」
「それが…思い出せないんだよね…」
「…やっぱり幽霊って徐々に忘れてっちゃうんですか?」
「多分ね」
「じゃあ色々早くしないとですね」
「そうだね」
その時、
うーんという声と共に1人に男性が通り過ぎる。
「どうかしたんですか?」
そう陸久が問いかけると
「少し前から首から背中にかけて痛いんだよね…」
と答えた。
陸久は何も言わず、ただ沈黙が訪れる。
「どうしたの?」
と聞くと
「この人、女の子を肩車してます」
と呟いた。
私も確認すると、
そこには黒いモヤがかった何かが
肩車されているように男性の首に座っていた。
「おじさん、娘さんって肩車好きだったんですか?」
急に何を言い出したと思ったら
ストレートに聞く陸久。
そんなこと言ったらまた変なやつだと思われる気が…。
「ああそうだよ、でも俺の娘は2年前、亡くなったんだ」
「てかなんで知ってるんだ?」
「まぁいいか」
男性は不思議に思っているようだった。
そりゃあそうだよね。
でも普通に考えて、
他人がプライベートのことを知ってるって怖くない?
「そうなんですか…」
「でも大丈夫ですよ!娘さん、きっと今もそばにいると思います」
「そうか…ならいいんだが..」
そう言って男性はそそくさと去っていった。
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