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6 - 第6話明かされる2人の関係

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2024年12月06日

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目を開けると‥俺にキスをする勇斗がそこにいた。


ドンッ!


慌てて突き飛ばし、離れる。


「なっ‥‥なんで!?」



「ったー、マジで不意打ち‥‥ってせっかくのおまじないだったのに、それはないよねー」


「はぁ?おまじないちゃうやん!」


「女は喜んでましたけど‥」


俺、女ちゃうし!と怒り口調で言うと、勇斗はクスッと笑いながら‥


「でも、ちょっと楽になったんじゃない?」


いつもの藍に戻った気がするし‥からかうように頬を人差し指で突かれる。


いつもの調子に戻った勇斗を見ていると、それ以上言うのは馬鹿らしくなり‥少しは、とだけ伝えておく。

事実、あんなにも重かった気持ちが少しだけ楽になった気がしたから‥‥‥‥。





どこに行くの?一緒に行く。

と最後までうるさかった勇斗だったが、行くところがあるからと、何とか説得して帰ってもらった‥‥‥‥。



そしていま、俺は小川さんの家にいる‥‥‥。




「あっ、負けたーー」


「やっぱ智さん、クソ弱えーな」


「いーや、まぐれだって。もう一回」


「あっ、あのう‥」



これはデジャブなのか?前にもあった光景に口を挟む。



小川さんの家に来ると、何故か智さんが二人でゲームをしていた。



「なに?藍?そういえばこんな朝から来るなんて珍しいじゃん?‥あっ、しまった!」



ゲーム画面からは一切顔を逸らさず、小川さんが尋ねる。



「それが‥‥‥‥‥」




「小川さん‥‥‥‥」




「よしっ、イケる!あっ、なに?」




「俺‥‥‥祐希さんに距離を置こうって言われたんす」



「はぁ?」

「えっ!?」



ゲームに夢中になっていた2人は、俺の言葉を聞くなり、コントロールを放り出してこっちを見つめる‥あっ、小川さんが負けた‥‥‥


画面に小川さんが負けたテロップが表示されるのをフッと見ていた俺だったが‥


急に目の前に迫ってきた2人に驚き、ソファーから落ちそうになってしまう。


「なに?なんかあったわけ?」


「あんなに藍が好きだって言ってた祐希が?」


‥‥‥俺はゆっくりと昨日と今朝の話を2人に聞かせた。話しているうちに、またじわりと悲しさが押し寄せて鼻声になった時‥急に小川さんが立ち上がる‥


「えっ、小川どこに行くの?」


「祐希さん家!」


「今から!?」


「祐希さんに会って、藍を泣かせた事を謝らせてくる!何やってんだよって怒鳴ってやる!」


「今行ったって、多分いないんじゃね?」


「それでも!藍を傷つけた事は許さない!」


いつもの飄々とした姿はそこにはなく‥俺の為に怒ってくれている小川さんがいて‥


それだけで俺は泣けてきた‥。



絶対今から乗り込む!という小川さんを智さんと2人で何とか止めることに成功し、一旦落ち着こうと智さんが珈琲を淹れてくれた。



「藍?少し落ち着いた?」


「うん、ありがとう、智さん‥小川さんも‥俺の為に怒ってくれて嬉しかった」


「俺はお前のために怒ったわけじゃねぇけど‥」


「いやいや、藍を泣かせた事は許さないとか言ってたじゃん?」


智さんが茶化すように言うと、うるさいなと言いながらも、その顔が、赤くなっているのを見逃さかった。


そんな2人を見てフフフと思わず笑ってしまう。


「やっぱ藍は笑ってる方がいいよ」


「智さん、甘やかすと藍はすぐダメになるぞー」


「おいっ!って、2人は本当にいつも一緒にいますよね?彼女よりも一緒におるんちゃうん?笑」


笑う俺を逆に2人はキョトンとしながら見つめ‥


「あれ‥藍に言ってなかったっけ?」


「何を?」


「いや‥俺と智さん‥付き合ってるんだけど‥」


「‥‥‥‥‥は?」



衝撃的な告白をさらりと言う小川さんを見つめる‥‥‥




「えっ‥‥‥‥えええーーー!!!」



「ちょっ、おまっ、声うるさい!!」


「あっ、さーせん。って、いつから?」


「いつからってお前が祐希さんと付き合う前からだよ」


‥知らなかった。どうりで小川さん家に毎回遊びに行くたびに、智さんが居たのか‥


「仲いいんだなぐらいしか思ってなかった‥」


「鈍いよな、藍って笑」


「‥って、この事知ってるの誰かいるんすか?」


どうしても気になる。


「祐希は、俺が話したから知ってる。後は話してないから、知らないんじゃね?」


「まぁ、もしかしたら、勘付いてるヤツとかはいるかもしれないけど‥俺等も自分からは別に喋る訳でもないし」


そうだったのか‥。自分と似たような境遇の2人を交互に見つめる。


「‥‥2人は、辛くならないんすか?」


「なんで?」


「いや‥だって、付き合ってるとか好きとか他の人に言えないだろうし‥もしバレたらとか‥」


俺の言葉に、何だ、そんな事?と小川さんはフフンと笑う。


「別に話す必要もないと思ってるけど、バレたらその時はその時だよ。別に恥ずかしい事してる訳じゃないし‥それに、言えないっていうのも2人だけの秘密みたいで俺等は楽しんでるよ、ねー智さん♡」


「考え出すとキリがないからな、なるようにしかならないんじゃね?」


そう言って2人は楽しそうに笑っている‥ああ‥俺もこんな風に言えたらな‥‥‥。

そう考えていたのが顔に出ていたのか‥智さんが優しく言葉をかける‥


「なぁ藍?俺等も最初からこうじゃなかったよ。やっぱり途中で別れる事もあったし、でも、やっぱりお互いが必要だなって気付いて元に戻ってさ‥」


「‥‥‥‥‥うん」



「いま、藍と祐希も距離を置こうって話だけだろ?別れたわけじゃない‥やっぱり色々冷静に考えようとしたら、そういう時間って大切だと思うぜ。祐希なら大丈夫!また藍のところに来てくれるはずだから」


そう言うと俺の頭をワシャワシャと撫でてくれた‥智さんの言葉には不思議と説得力がある。


「だな!もし仮に祐希さんが藍以外と付き合ったら俺がケリ入れてやるから!急所に向かってドーンだ!」


「いや、お前絶対できないって笑。祐希来ると逃げるじゃん!」


2人のやり取りにまた泣けてきそうになって、笑って‥


泣くか笑うかどっちかにしろ!と小川さんに突っ込まれる‥。



ああ‥本当に2人がいて良かった‥‥‥‥。






それから、一ヶ月後‥‥あと3日でクリスマスという日にまた代表メンバーでの食事会があると連絡があった。


行かなくても良くね?という小川さんに、大丈夫と伝えて、参加を決める。

きっと、祐希さんは来るだろう‥。

でも、大丈夫‥自分に言い聞かせて‥当日、目的の場所へと向かう‥‥‥‥‥。




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