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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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和泉さんちでご飯をご馳走になる日。駅まで和泉さんが迎えに来てくれた。
「今日はどうも、来ていただいてすみません」
「いえ、千歳さんともまたお会いしたかったので! あ、今日のお礼にレモンゼリー持ってきたので、よかったら千歳さんと食べてください」
私は、おしゃれな紙袋に入ったゼリー詰め合わせを和泉さんに見せた。
「あ、ありがとうございます」
和泉さんと家まで向かう間、なんとなく話す。いや、なんとなくに聞こえる話題を私が選んでるだけで、こっちはかなり気合を入れて和泉さんを落とすつもりなのだが。レモンゼリーだって、和泉さんが柑橘系好きだから選んだのだが。
和泉さんは機嫌よく話す。
「千歳、今日気合い入れてごはん作ってるんですよ。ビワもコンポートにしてデザートに出すって」
「あらー、楽しみです!」
私は愛想よく答える。千歳さんはかなり私に友好的なので、私と千歳さんとの関係は心配してないんだけど、問題は和泉さんにとっての千歳さん以上の存在に私がなれるかどうかなのよ。
まあ、千歳さんは女の子ではなく、私は27歳女性なので、それなりにそれなりの手段を取らせてもらおう。
私は和泉さんの腕を取り、自分の体を押し付けた。流石に胸からは行かないが、時期を見て胸からも検討しよう。
「雨も止んだし、歩くのにちょうどいいですね!」
和泉さんは「えっ」と動揺を見せたが「は、はい、この辺よく散歩するんですよ」と無難な返事をした。
「あ、じゃあDiscordとかmisskeyであげてる花の写真とかもこの辺のですか?」
「そ、そうです、あっちの方に変わり種の紫陽花があって」
和泉さん、動揺が抜けてない。えー、女慣れしてないのかなあ? 確かにものすごくイケメンというわけではないし、フリーランスというのはそれだけで不利ではあるけども。性格はすごくいいのになあ。
和泉さんの腕にひっついたまま坂を登り、和泉さんちのアパートに到達する。和泉さんが玄関のドアを開けると、『お帰り!』と人相の悪いマッチョ、すなわち千歳さんが迎えてくれた。
『おっ、もうワシ邪魔なくらい仲良しか!?』
千歳さんは色めき立った。うん、千歳さんは本当に友好的なんだよねえ……。
私はにこやかに答えた。
「邪魔なんて、私が今日お邪魔する側ですよー! あ、これお土産です」
私は和泉さんから離れ、千歳さんにレモンゼリーの紙袋を渡した。
『わー、ありがとう!』
和泉さんは、私が体を離したことでようやく平静を取り戻したらしい。「その、こちらへ。大した部屋じゃないですが」と私を部屋の奥に案内してくれた。
2DKの部屋らしく、そのうちの一部屋を仕事場兼食卓に使っているようだ。部屋の隅っこにパソコンと本山盛りの机があり、少し離れた場所に座卓テーブルがある。あと一部屋は寝室かな?
医療従事者の端くれとして、まだまだ感染症は気になるので、洗面所を借りて手洗いうがいさせてもらう。座卓テーブルに行ったら、千歳さんがコップを持ってきてくれた。
『麦茶どうぞ!』
「あ、ありがとうございます!」
そこそこ歩いてのどが渇いていたので、ありがたくいただく。和泉さんは「持ってくものある?」と千歳さんについて台所に行った。
『今仕上げしてるから、前菜の皿持ってってくれ』
「おいしそうだねえ」
『そりゃ、うまくなるように作ってるからな!』
和泉さんは笑い、千歳さんは胸を張る。和泉さんが千歳さんに向ける笑顔は本当に優しくて、私は、こりゃ千歳さん超えは容易じゃないぞ……と思った。
コメント
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咲さんの恋の奮戦記、コミカルで可愛いですね。和泉さんを落とそうとレモンゼリー持参で大胆に腕に絡むのに、当の和泉さんは千歳さんに向ける笑顔が一番優しいという切なさ。それでも千歳さんの「ワシ邪魔なくらい仲良しか!?」という歓迎っぷりが温かくて、3人の距離感が絶妙でした。番外編なのに本編への愛着がさらに増す1話です。