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目黒むかつくんですけど💢
朝起きると翔太くんは既に仕事に出かけたようで俺が寝返りを打つ衣擦れの音だけが静かな部屋に響いた。
重い体を起こすと、翔太くんが寝ていた場所が濡れている。どうやら、朝まで泣いていたらしい。
蓮 🖤 『翔太くん、ちょっと俺たち暫く距離をおこう』
少し言い方が悪かったかもしれない。あの後翔太くんは俺に背を向けたまま肩を震わせて泣いていた。
自分の経験上ひとりで向き合った方がいいと思ったんだ。正解なんて人それぞれなのに自分の考えを押し付けてしまったかもしれない。
お互い仕事も忙しい事もあってもう2週間も会えていない。〝おはよう〟〝おやすみ〟だけを伝え合うだけの日々だ。
不安じゃないといったら嘘になるが翔太くんを信じて待つしかないと思っている。
今日は久々のオフで午前中ゆっくりと過ごして午後からは部屋の片付けをしているとインターホンが鳴った。
蓮 🖤 『館さん?』
機嫌悪そうに上がった館さんは間髪入れずに俺に詰め寄った。
涼太❤️ 『蓮お前どういうつもり?お前だから安心して任せたんだけど』
あまりの剣幕に身じろいだ。翔太くんのことだろうとは察するが正直館さんが口を挟む話でもないだろう。
蓮 🖤 『俺と翔太くんの問題だ。館さん関係ないだろ』
涼太❤️『大切な幼馴染が傷ついてるのは見てられない』
暫くの静寂ののち、ソファに座ると二人コーヒーを啜りながら対峙する。
涼太❤️『翔太、今阿部の家にいる』
思いがけない一言に返す言葉が見つからない。何で阿部ちゃんが出てくるんだよ。訳わかんない。
涼太❤️『なんか色々相談に乗ってもらってたらしい。自分でどうしようも出来ない問題に直面して、頼るところがソコだったんだと思う』
昨日仕事で2人に会ったらしい。翔太くんは随分と痩せて元気がなく阿部ちゃんもなかなか翔太くんが食事を摂ってくれないので困っているようだったと。
蓮 🖤 『俺にどうしろと?』
涼太❤️ 『随分と冷たいんだね蓮』
蓮 🖤 『俺はちゃんと翔太くんが1人で乗り越えなきゃいけない事だって思ってる』
周りからの言葉で納得できるような事じゃない。誰にでも相談できることでもないし、正しい答えなんて誰も分からないんだから。
涼太❤️ 『それは偏った考えだろ?翔太は・・・想像だけどさ、お前の彼女って事だろ?蓮と翔太とでは乗り越えるハードル違うんじゃないの?』
翔太くんが最後に発した言葉を思い出していた。
翔太💙 『不安でいっぱいなんだ。俺男なのにどうしちゃったんだろう』
気付いたら泣いていた。どんな気持ちでその言葉を発したのか少し想像すれば分かっただろうに。
翔太くんはずっと男女の狭間で苦しんでいた。事あるごとに〝俺って女の子みたい〟ってその度に不謹慎にも俺は可愛い彼女だって言い続けていた。
翔太くんを孤独に追いやって傷つけた。
涼太❤️ 『分かったならいいよ。迎えに行ってあげて。あんな翔太は俺も阿部も見たくない。蓮お前しか救ってあげられないんだよ?』
蓮 🖤 『覚悟を持って欲しかったんだよ。今からもっと色んな問題にぶつかった時に2人で乗り越えるためにも』
涼太❤️ 『じゃあ今回も2人で乗り越えなきゃね蓮。それに翔太に覚悟はいらない思うよ。常識で動くような奴じゃない。きっと蓮よりもずっと・・・度胸があって強いけど脆いんだ』
蓮 🖤 『どういう意味?』
涼太❤️ 『そのうちに分かるよ。翔太は俺らの想像を超えるくらいに天然でぶっ飛んでるからね』
翔太 side
亮平💚『翔太いい加減にして。少しは食べないと』
翔太💙 『バナナ食べたもん』
嘘をついた。本当は何も食べていない。
そろそろ自分の家に帰ろうかな。毎日食べろって亮平はうるさい。食欲がないんだから仕方がないだろう。
翔太💙 『帰る』
亮平💚『はぁ?何急に?翔太あんた顔色も悪いし体調が悪いんじゃ・・・』
翔太💙 『もう、元気になったから家に帰る。世話になったな亮平』
少ない自分の荷物を紙袋に突っ込んで、亮平にお礼を言って部屋を出る。
後ろで亮平が何か言ってたけど無視した。振り返ったら亮平の胸に飛び込んじゃいそうだから、そうすればもう後戻りできなくなる。唇にギュッと力を込めてマンションを後にした。
家の前まで来ると、煌々と明るく誇らしげに光る街灯を蹴飛ばした。
翔太💙 『元気に光ってんじゃねぇよ』
そこまでが体力の限界だったみたいでふらふらとベンチに倒れ込むように座った。十分な食事が取れていないからか足に力が入らない。
翔太💙 『カッコ悪い・・・お前はいいね新しくしてもらって。俺にもその元気分けてよ』