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そんな訳で自製の塩辛と、げそのワサビマヨネーズ和えをタッパーに入れ、念のためタオルで何重にも巻いてザックに入れる。
あとは自分用の食器と箸とスプーンを入れ、水とか雨具とかを入れればOKだ。
ちなみに雨具や食器は、先生から借りっぱなしのもの。
先生お勧めクラスの雨具は二万円近くするので、なかなか手が出ない。
『軽い雪山でも使うことを考えると、最低でもゴアの3レイヤーあたりのものが欲しいですね』
とのことで調べた結果だ。
食器はまあ、そのうち安いのがあったら買うかもしれない。
ちなみに今借りて使っているのは、アルミ製の四角い二個入りのもの。
ザックに入れやすいので便利だ。
寮の事務室前にはもう彩香さん、美洋さん、未亜さんの三人が来ていた。
亜里砂さんと川俣先輩はまだのようだ。
「今朝も女子寮がインド汚染されたので、例の物を作ったとは思うのですよ」
未亜さん情報によると、先輩はやっぱりビリヤニを作った模様。
「何を作ったかは当然、現場まで秘密だよ」
彩香さんがそんなことを言う。
「そうだね。その方が楽しいし」
そこに、何やら変形したザックを背負った亜里砂さんが登場した。
「今日もメンテナンスして、お肌つやつや状態で持ち込んだのだ!」
「メンテナンスって。確かに亜里砂さんは色白だけれどさ」
「ふふふふふ、私ではなく、食材なのだ」
何だろう。
「それに、そのザック、初めて見るけれど買ったの?」
それなりに使い込まれているので、新品ではないと思う。
でも大きいし、背負う部分のシステムを見る限りは、かなりいいザックだ。
「父のお下がりなのだ。五〇リットルサイズとなかなか大きいのだ。今日の荷物は非常に重いけれど、おかげで何とか背負えるのだ」
確かに、絶対に中に大物を入れている。
ザックの形が変だ。
そして先輩も登場。
先輩は、いつもの大きめのデイパックに、ぎっしりという感じだ。
さらに手提げも持っている。
「毎回だけれども悠、これを持って行ってくれ。私のザックでは限界だ」
「わかりました」
ということで、先輩の荷物、多分ヨーグルトと野菜を僕のザックに追加。
そして学校前の林道へと歩き始める。
「この持ち込みパーティ、どの季節でも出来ないことはないけれどさ。やるならやっぱり冬だよな。ナマモノも持ち込めるからさ、外が寒いおかげで」
なるほど、確かにそうだな。
僕のメニューなんて、夏だと傷みそうだし。
「この川も悪くないですけれど。この前の丹沢の滝のあったところ、あそこの渓谷の水、凄く綺麗でしたね」
美洋さんが川を見て、この前の山小屋山行を思い出したようだ。
「あれはまた行きたいな。出来れば、また山小屋泊まりでさ」
「でも平日でないと、ああやって山小屋を占拠できないかな」
「もうすぐ雪も降るしさ。そうすると必要装備も変わるぞ」
そんなことを言いながら、川沿いの林道を歩いて行く。
いくつか山に行った後では、ここの林道が平坦で歩きやすいのがよくわかる。
それに丹沢ほどではないけれど、この川もなかなかいい感じだ。
あの渓谷の豪快な水しぶきや水量と比べると、はるかに小さくて水量も少ない。
でも、これはこれで静かな良さがある。
そんな感じで林道終点まで歩き、その後、川沿いから一気にトラロープ付きの急斜面を登って、少し歩いて。
ほぼ一時間で、双子山の広い山頂に到着した。