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「春の頃に比べると、だいぶ皆、歩くのに慣れたな。ここまで今日は休憩なしで来たし」
「あの塔ノ岳で、だいぶ鍛えられましたね」
「あのハードルのような木の階段は酷かったのだ」
そんな事を話しながら、日当たりが良く、景色もいい広場の端をキープ。
レジャーシートを2枚敷いて、ザックを置いて。
本日の山場、各自の料理の披露だ。
「まずは私だな。いつものチキンビリヤニ。ライタだと今日は寒いので、温かいヨーグルトスープだ」
先輩のメニューは、半分予想通りで半分外れ。
お櫃のような大きさの巨大タッパーに入ったビリヤニ。
あとは僕のザックから出てきた、巨大魔法瓶。
「温かいスープというのは意外でした」
「今は気温が低いからさ。あと、スープは温かいうちに飲みたいから、最後に入れるよ」
ということで次は……
「なら僕が出すか。イカの塩辛。自作だから、そんなに塩辛くないけれど」
イカの身が多く、塩辛というより内臓和えという感じになったタッパーを出す。
「あとはおまけのいかげそ。マヨネーズとワサビを混ぜたもので和えた」
「悠は将来、酒飲みになりそうだな。でも美味そうだ」
確かに飲み屋っぽい感じかな。
言われてみると、そんな気もする。
「私のはサラダです。ポテトサラダに、シェルマカロニを入れています」
彩香さんのはサラダだ。
基本はポテトサラダで、マカロニの他に細く切った人参など、色々野菜が入っている。
見栄えもいいし、美味しそうだ。
「確かにサラダは絶対欲しくなるよな。見栄えもいいし、美味しそうだ」
次は美洋さん。
「私は煮物です。よく里で母が作ってくれたのを、真似して作ってみました」
里芋、鶏肉、人参、こんにゃく、ゴボウ、厚揚げが入った、いかにもという煮物。
「これは美味しそうなのだ」
「切り方とかも含めて、丁寧な家庭料理って感じでいいな、これも」
未亜さんのは、四角いタッパーに、ぎっちり茶色い手羽先が詰まっている。
「私はジャンクに手羽先のコーラ煮なのですよ。ガンガンに煮詰めた、おつまみ仕様なのです」
茶色くてつややかで、いかにも美味しそうだ。
「こういうのもいいよな、いかにもって感じで」
そして亜里砂さんが、にやにやしながらザックから何かを取り出す。
新聞紙で包んだ何かを置いて、さらに木製の怪しげな台をセット。
新聞紙をほどくと、中は巨大な肉だった。
「うわあ、肉だね」
彩香さんが当たり前のことを言ってしまうほど、肉だ。
形は手羽先に似ているが、大きさはニワトリ1羽より3回り以上大きい。
これは、あの台を含め、間違いなく……
「本当は私の名前にちなんで、ハモン・セラーノを用意したかったのだ。でも父の助言と予算の都合で、パレタ・セラーノになったのだ」
「豪快なものを持ち込むなあ」
さしもの川俣先輩も呆れている。
「このお肉って、何なのでしょうか」
「いわゆる生ハムの原木なのですよ。豚の脚1本まるごとハムにした、豪華というか豪勢というか、何というか……」
「うちの父によると、前脚部分だからそんなに高くないそうなのだ。現地で買って送ってもらったのだ。毎日オリーブ油を塗って馴染ませて、いつ出そうか機会をうかがっていたのだ」