テラーノベル
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「なあ、俺はどれくらい寝てた?」「半日と少し」
半日だと今は夜中か?雪山からどれくらい離れた?
リオの不安に気づいたのか、デックが「心配しなくても雪山からそんなに離れてないよ」と言う。
リオは小さく息を吐く。
「本当に?」
「本当に。早くリオの治癒をしたかったから、雪山からここが近くてよかったよ」
「そっか。ところでここはデックの部屋?」
「そうだ。片付いてるだろ?広くて落ち着かねぇけどな」
「昔から整理するの、好きだったもんな。ロンもいるなら広い方がいいじゃん」
「まあな。リオは?あの男…狼領主だっけ?アシュレイが言ってた。その領主の所にいんの?」
「そうだよ」
「いつから?」
「半年前から。デックはどうしてた?七年前、何があった?」
「うーん…あんまり話したくないんだよな。追々話すよ」
「わかった。俺も無理には聞かない。それで助けてくれたことは、本当に感謝してるんだけどさ、早く俺を帰してほしい。ギデオンが心配なんだ」
「ええっ、なんで!せっかく会えたのにそんなこと言うなよっ」
デックが大きな声を出すと、ロンが翼を広げた。デックが怒ったと思ったのか、リオを|威嚇《いかく》してくる。
対してアンがリオの前に出てきて、四肢を踏ん張り低く唸る。
リオは、今にも飛びかかりそうなアンの背中を撫でてなだめる。
「アン、大丈夫だよ。落ち着いて」
「ロンも落ち着け。怒ってないから」
デックに額を撫でられ、ロンが翼を閉じる。
アンはロンを睨んだまま、その場に伏せた。
デックが腕を上げると、ロンが鳥籠に戻る。そしてアンの視線を全く気にしない素振りで、窓の外を向く。
アンの逆立った毛が落ち着いたのを確認して、リオはデックを見る。
「俺もデックに会えたことは嬉しい。もし何もなく平和な時だったら、ゆっくりと過ごしたい。だけど今は、そうじゃない。魔獣は倒したけど、いつまた違う魔獣が出てくるかわからない。それにギデオン達の体調も心配なんだ」
「あいつらは、リオが治癒の魔法を使ったんだから、大丈夫だろ。それに魔獣が出るからって何だ?そんなの、騎士の仕事だろ?」
「そうだけど…。よくわかんないけど、最近、強い魔獣がよく出没するんだよ。腕の立つ騎士達でも手を焼くような。だから、俺が役に立つなら手伝いたい」
「…狼領主は、リオの力のこと、知ってんの?知ってて囲ってんの?」
デックが怒気を含んだ声で聞く。
リオは不思議に思いながら答えた。
「知らないよ。話してないし。ギデオンは、まだ成人していない俺が、一人で旅をしていることを知って、雇ってくれただけだよ」
「ふーん。その犬はいつから一緒にいんの?」
「アンだ。ギデオンと出会ってすぐくらいに、怪我をして倒れていたのを助けたんだ。それからはずっと一緒だ。すごく賢くてかわいいんだぜ」
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