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この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
⚠学パロ、死ネタ注意
あべさく
阿部→「」
佐久間→『』
渡辺→【】
宮舘→《》
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阿部side
「…ねぇ、今年も綺麗だよ、佐久間、」
卒業式が終わって、俺は学校の側にある小さな公園の、大きな桜の木の下に一人で立っていた。約3年前のあの日に、この場所で出会ったこの桜と同じ髪色の彼をふと思い出す。今は亡き、太陽のような笑顔を見せる彼のことを。
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昔から勉強は好きだったから、高校から良いところに行って、良い大学に入って良い会社に就職するのが俺の漠然とした未来予想図だった。でも公立の高校の受験日、俺は熱を出してしまって意識も朦朧とする中で解いた結果は酷いもんで、結局私立の良くも悪くも普通な高校に入学することとなった。
まあ行かないだろうけど私立なら知り合いが居ないところに行きたい、と言うだけで選んだこの高校はとにかく人が多かった。そして自由だった。教室を見渡せば気の弱そうな線の細いやつも居れば、ごりマッチョのヤンキーみたいなのも居るし、メイクがド派手なギャルたちや金髪ピアスの”如何にも”なやつらも居た。俺の隣の席に至っては入学式なのに来てなかった、どういうつもりだよ。こんなやつらとは俺は違うと思っていたし、仲良くもならないと思っていた。
それなのに、ふと窓の外を見ると目に入ったふわふわのピンク髪に目が釘付けになってしまって。校門を出てすぐのところにある桜の木を一人で眺めていたふわふわなその子の名前を知ったのは次の日のことだった。
何やら階段から廊下にかけて、3、4人?くらいの足音がバタバタと聞こえてきている。うるさいなぁ、馬鹿しか居ないのかな
『やっべぇ遅れる!!!』
【佐久間教室ここだっけ?!俺もう1個あっち!】
《俺なんかもう1階上だよふざけんな笑笑》
『やばすぎんだろ、翔太は間に合うとして涼太やべえじゃん笑』
【涼太お疲れ~い、どうなったか昼飯食うときにでも教えろよ笑】
《ぜっったい間に合わせる…》
そんな会話が聞こえてきてバン!!と扉が開いた。そこに立っていたのは息を切らしたふわふわのピンク頭の子。あ、昨日桜見てた子だって、一瞬でわかった。え?でもこの子昨日教室で見てない…
『えー…っと?俺っちの席どこだっ…ここだ!!』
俺の隣の席だった。昨日入学式休んでたのコイツかよ
『んにゃ!俺の隣なんかやさしそーなイケメンじゃン、俺佐久間大介!よろしく~』
「佐久間、くん…」
無邪気な笑顔で、良く通る声で初対面の俺にも気さくに話しかけてきてくれた。桜みたいな色合いと名前。俺とは属性があまりにも違う、共通点なんか全く無さそうな雰囲気。でも俺は直感で仲良くなれそうだと思った。この子はきっと、いい人なんだろうと
『およよ?きんちょーしてる?あ、名前!聞いていい?』
「あ、えっと、阿部…」
『阿部くん?』
「うん、阿部亮平って言います」
『阿部くん…阿部くん。おっし覚えた!よろしく!!』
これが俺と彼との出会いだった
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2年生にあがって、文理で分かれるかと思ったら共に理系クラスに行く事になった。佐久間は勉強自体がそんなに得意じゃないから友達…俺が居る方を選んでくれたらしい
『理系にした!阿部ちゃんこっちっしょ?』
実態調査みたいなプリントを配られてすぐに俺の目の前で理系の方を選んでたのを今でも覚えている。この頃には”阿部くん”から”阿部ちゃん”に呼び方が変わってて、俺も”佐久間くん”じゃなくて”佐久間”と呼ぶようになっていた。何をするにも阿部ちゃん阿部ちゃん、ってよく懐いてくれてて。犬みたいで可愛かった
俺が彼に好意を抱いていることに気が付いたのも、これくらいの時期だったと思う
【佐久間の好みのタイプ?えー…なんだろ、アニメキャラのあれしか知らねえわ…】
「だよねぇ…いやーむず」
【え佐久間のこと好きなの?】
「うーん…まあそうかも?」
【へぇ意外、でもいーじゃん、アイツ良いやつだしめっちゃ阿部ちゃんのこと好きだし】
「それは友達として、でしょ?」
【今はそうかもだけどアタックすればいけるかもしんねーじゃん?】
あの廊下を走っていた馬鹿3人の佐久間以外、すなわち渡辺と宮舘とも交流があって特に渡辺…翔太とはよく連絡を取っていたしよく互いの悩みを打ち明けたりしていた
「翔太は居ないの?そういう人」
【んー俺は居るとしたら1コ下かなぁ】
「まさかの年下?!笑」
【そ、すげえ居心地良いやつがいんの】
「どんな人?」
【うーん…ザリガニ、?】
「ざ、ザリガニ、?」
【そ、ザリガニ】
「人間じゃないの?」
【あ、いやザリガニ釣りが好きって言う180くらい身長あるでかいやつなんだけど】
「ふんふん」
【サッカー部の…あ、あれあれ】
翔太が指した窓の外を見ると確かに高身長のスタイルよさげなイケメンがボールを追っかけ回していた。ばっちりシュートを決めてガッツポーズしてる
「めっちゃ喜んでる可愛い笑笑」
【だろ?笑 惚れんなよー、俺のだから。あ、そういや涼太もなんか恋してるらしい】
「えー意外かも」
【頭いい人だってさ】
「アバウトすぎない?笑」
こんな会話を何度もしたし、翔太からそのザリガニサッカー部と付き合ったと言う報告を受けたときは俺も嬉しかった。それと同時に、羨ましいとも思った。結局その年も、想いを伝えられないまま1年が過ぎ去ってしまった
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『…最近、誰かに見られてる気がすんだよね、』
佐久間がそんな相談をしてきたのは3年の終わりごろ…12月頃の事だった。今までに見たことがないくらい不安げな表情を浮かべて、常に周りを気にしている。心配になって声をかけてみるとどうやら家から盗聴器が見つかったり、帰り道を一人で歩いていると後ろから足音が聞こえてきたりするらしかった。俺で良いなら一緒に帰ろうか?と聞くととても安堵したような表情になって、いいの?と聞き返してきた。もちろん、と頷いたときに戻ったいつもの笑顔は少し強ばっていたものの可愛らしかった
一緒に帰った次の日、佐久間の親から連絡がきた。”うちの息子を知らないか”と。でもちゃんと家まで送り届けたし、送ったときにちゃんと親御さんとも会ったからそれを伝えると”確かに、そうねぇ…ごめんねありがとう”とだけ返答があって電話が切れた。数日後には、捜索願も出たみたいだった
それから1ヶ月後、佐久間は死んだ。
この事件はまだ行方不明ってことになってるし、真相はまだ明らかになっていないし公にもなっていない。佐久間がもう先に逝ってしまったことは、俺を含めた数人しか知らない
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あの事件から1ヶ月と少し、この桜を見るといつも彼のことを思い出す。腕につけたピンクと赤茶のミサンガに触れると背後から足音が聞こえてきた
《…お疲れさま、》
振り替えるとそこにいたのは舘様だった
「舘様ここ来るの珍しくない?」
《まあね、阿部がいるの見えたから来ちゃった》
「あ、俺に会いに来たってこと?笑」
《そう、今日でもう暫く会えなくなっちゃうかもだから言いたいこと全部言ってお別れしようと思って》
「なになに、そんないっぱいあるの?笑」
《俺が言いたいのは2つだけどね、聞いてくれる?》
「もちろん」
端から見たら青春の1ページに見えていたのだろうか。彼が口を開いて伝えられた”告白”に俺は動揺を隠せなかった
コメント
7件
今、気づきましたが・・まさかとは思いますが、さっくんの家に盗聴器しかけたり後をつけていたのって・・舘様だったりして😱😱😱親しくないと家の中に入れないだろうし💦💦 さっくんの、死に関わっていたりして・・😱😱😱😱
どうなるの😭😭
さっくん・・・😭😭😭😭 まさかですけど・・舘様の好きな人って、阿部ちゃんだったりして・・😅❤️