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「…」

私はお風呂を済ませ周りが寝たあとにこっそり抜け出して月を見ようと表へ出た。


「んーんー?」

と誰かに袖を引っ張られる


氷彗「っ!?」

この気配…鬼!?


「禰豆子!あ、…月下さんごめんなさい」

この子は確か…


「紹介遅れてすみません…俺竈門炭治郎といいます。それと俺の妹の禰豆子です」


氷彗「鬼と共同で鬼殺隊に入るのは隊律違反じゃ?」


炭治郎「そうなんですが…お館様に特別許されていて…」


氷彗「そうなんだね」


炭治郎「何してたんですか?こんな時間に」


氷彗「君こそ」


炭治郎「あはは…俺はちょっと禰豆子を少し散歩させようと。陽の光の下を歩けないので…」


氷彗「…私は月を見ていた」


炭治郎「月ですか。今日満月ですかね〜。」


氷彗「月って不思議」


炭治郎「…」


氷彗「毎日毎日違う形で毎日毎日違う色をしている。私達には同じような色に見えるけど実際そうではない。やがて満月になりやがて新月になる。月って不思議で…怖い」


炭治郎「…けど、同じじゃないから地球が回ってるって言うことが実感できる」


氷彗「…!」


炭治郎「こんな世界でも地球が回ってるって思ったら明るいなって思いません?」


氷彗「…確かに」


炭治郎「いつか鬼がいなくなる世界になったらいいですね」


氷彗「…そうだね」


炭治郎「月下さんってなんで鬼殺隊に入ったんですか?」


氷彗「…なんでだろう」


月を見上げて思う。

私が鬼殺隊をやっている意味。

    ・・・・・・・・  

私は特に鬼に親を殺されたわけではなかった。

けど…


氷彗「鬼に苦しめられてる人間を救けたいっていうのはもちろんだけど…人間に苦しめられている人間も救けたいって思ったんだ」


炭治郎「人間に苦しめられている人間…」


氷彗「そう。この世界には「差別」というのが存在する。恵まれなかった家庭に生まれなければ恵まれない生活が宿ってくる。そして恵まれていない人間に出会う」

私が…そうだったから


炭治郎「…」


氷彗「毎日毎日知らない人から「汚い」「近づくな」と蹴られ殴られしてきて耐えられなくなった私は鬼殺隊に入り、そのストレスを鬼にぶつけた。そしたら笑って「救けてくれてありがとう」と言ってくれる人がいた」


氷彗「人を救けるのはこんなにも嬉しいことなのだとその時初めて知った。そして私は強くなって鬼に苦しめられている人や人間にまで苦しめられている人を救けたいって思い始めるようになったの」


炭治郎「そうだったんですね…」


氷彗「ごめん。こんなに長々と」


炭治郎「いえ。大切なお話聞かせてくれてありがとうございました。「氷彗さん」って呼んでもいいですか?」


氷彗「うん、構わない」


炭治郎「ありがとうございます」


禰豆子「んーんー!」


氷彗「…」


炭治郎「禰豆子は「元気だして!」って言ってるんだと思います」


氷彗「…わかるの?鬼の言葉が」


炭治郎「はい。なんとなくですけど笑」


氷彗「……」

私は私だけにしかわからない薄い微笑みを禰豆子ちゃんに向けた。








氷のように冷酷な私

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