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#1x1x1x1
ゆ
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#見捨てられた
ロボ
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#bl注意
ゆ
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恐妻家ハックロードとブライトアイズの再会によって、一時は妙に家庭的な空気に包まれていたtheBanlands。
だが、それも長くは続かなかった。
砕け散った封印結晶の奥。
ブライトアイズの身体を包む紫色のオーラには、いまだに漆黒の鎖が幾重にも絡みついていた。
それは、最高神Robloxによって刻まれた断罪コード。
彼女が犯した罪ではなく、夫シェドレツキーの犯したTOS違反によって与えられた、理不尽な「BAN」の呪縛だった。
「くっ……! 結界そのものは破壊できた。だが、彼女の存在に刻み込まれたBANコードまでは消えていない……!」
ビルダーマンが巨神のハンマーを構え、鎖を解析する。
だが、いくら神の権能を注ぎ込んでも、漆黒の鎖はびくともしない。
「……私のせいだ」
ブライトアイズを背中に庇うハックロードが、ぽつりと呟いた。
胸元の緑色の肋骨が、不気味な音を立てて軋む。
「私が……妻を失った悲しみと罪悪感に耐えられず……『1x1x1x1』という憎悪の概念と同化した」
「……」
「そして、あらゆる世界のシェドレツキーを殺すために、その力を取り込んだ……」
ハックロードは、自らの胸を掴んだ。
「私の魂には、あまりにも濃い憎悪が染みついている。そのせいでシステムは、私だけではなく……彼女までも『未解決の異物』として認識しているのだ」
ブライトアイズが静かに夫を見る。
「つまり……私を完全に解放するには?」
「……私の中にある『1x1x1x1』を、取り除くしかない」
その言葉が落ちた瞬間。
「……え?」
すぐ隣にいた1x1x1x1の身体が、ビクッと震えた。
「1x……?」
テラモンが振り返る。
だが、1x1x1x1は答えなかった。
前面に緑の「X」が刻まれたドミノ・クラウン。
その奥にある真っ赤な瞳が、動揺に揺れている。
半透明の緑色の身体。
その奥で見える黒い肋骨。
そして、普段なら猛々しく燃え上がっている濃緑色と漆黒の炎が、今は小さく明滅していた。
「……浄化……?」
1x1x1x1の手から、ヴェノムシャンクがカランと地面へ落ちた。
「1x1x1x1の……概念を……消す……?」
その声は、いつもの威勢の良さからはかけ離れていた。
ハックロードの中に存在する「1x1x1x1」。
そして、この世界に存在する「1x1x1x1」。
姿も在り方も違う。
だが、その根にあるものは同じだった。
テラモン。
シェドレツキー。
その存在が抱えた恐怖。
傲慢。
孤独。
そして、世界そのものに向けた憎悪。
それらが形を得て生まれた、ひとつの概念。
もし、その概念そのものを消去するのなら。
「……俺も……消えるのか?」
誰にも聞こえないほど小さな声だった。
1x1x1x1は自分の手を見つめる。
これまで、ずっと自分は「悪意」だと思っていた。
テラモンから生まれた、憎しみの影。
世界を壊すためのバグ。
誰かを傷つけるための毒。
テラモンに嫌われることを恐れ、暴れた。
テラモンに置いていかれるのが怖くて、何度も騒ぎを起こした。
それでも、テラモンのそばにいたかった。
だからこそ。
もし自分が「消えるべき存在」なのだとしたら。
「……ふん」
1x1x1x1は、テラモンからもらった赤いケープの端をぎゅっと握った。
「……別に、いいんじゃねぇか」
誰も見ないように、顔を伏せる。
「俺は……テラモンの悪意だ」
声が震えていた。
「最高神に怯えて、勝手に暴れて……みんなに迷惑かけて……」
握った拳が震える。
「ただの……最悪のバグだ」
「1x……」
「だから……俺なんか消えちまえばいい」
テラモンの表情が変わった。
「俺が消えれば、ブライトアイズは助かるんだろ?」
一歩。
1x1x1x1が後ろへ下がる。
「だったら……それでいい」
もう一歩。
「テラモンも……ちゃんと人間になれ」
さらに一歩。
「俺なんかいなくても……お前には、みんながいるだろ」
そして。
1x1x1x1は赤いケープを外そうとした。
「……このケープも返す」
その瞬間。
「バカはお前だ、1x」
ぎゅっ。
小さな手が、温かな手に包まれた。
「……え?」
1x1x1x1が顔を上げる。
そこには、深く腰を屈めたテラモンがいた。
黒いローブが夜風に揺れている。
神力を失いつつある身体。
それでも、その瞳だけは。
かつて神だった頃と変わらないほど、強かった。
テラモンは1x1x1x1の手を、しっかりと握っていた。
「……離せよ」
「嫌だ」
「俺に触ったら、お前まで巻き込まれるぞ」
「それでもいい」
「俺は消えるかもしれねぇんだぞ!」
「だから何だ?」
テラモンは、まっすぐ1x1x1x1を見る。
「離す理由にはならないだろ」
「……っ」
1x1x1x1の赤い瞳が揺れる。
テラモンはもう片方の手を伸ばし、緑のドミノ・クラウンをそっと撫でた。
「お前は俺の一部だ」
「……」
「俺の恐怖から生まれた」
「……」
「俺の弱さを背負ってくれた」
テラモンは微笑んだ。
「だからこそ、お前を消させるわけにはいかない」
1x1x1x1の目が大きく見開かれる。
「……でも俺は……悪意だぞ」
「昔はな」
「……え?」
「だが、今は違う」
テラモンは、握った手に少しだけ力を込めた。
「お前は俺を守った」
「……」
「俺たちを守った」
「……」
「Banlandsのゾンビたちだって、お前は殺すだけじゃなく、仲間に変えたじゃないか」
1x1x1x1は何も言えない。
テラモンは続けた。
「それが本当に『悪意』だけの存在にできることだと思うか?」
「……俺は……」
「お前はもう、ただの憎しみじゃない」
テラモンの声が、静かに響く。
「不器用で、乱暴で、素直じゃなくて……」
「おい」
「すぐ毒を吐いて」
「おいコラ」
「すぐ拗ねて」
「やめろ」
「でも、誰よりも必死に大切なものを守ろうとする」
「…………」
テラモンは笑った。
「それがお前だ、1x」
1x1x1x1の赤い瞳から。
ぽろっ。
大粒の涙が落ちた。
「……バカ」
「うん」
「……そんなこと言われたら……」
声が震える。
「消えたく……なくなるじゃねぇか……」
「それでいい」
テラモンは1x1x1x1の手を、自分の胸へと導いた。
ドクン。
小さな鼓動が伝わる。
「お前は消えるために生まれたんじゃない」
「……テラモン……」
その瞬間。
1x1x1x1の身体を包んでいた濃緑色の炎が、大きく揺らめいた。
今までの毒々しい炎とは違う。
どこか温かく。
それでいて、強い光だった。
「ハックロードの中にある『憎悪』を浄化する必要はある」
テラモンはハックロードを見る。
「だが、浄化と抹消は同じじゃない」
ハックロードが静かに頷く。
「……その通りだ」
「お前の中にある憎悪を、ただ消すんじゃない」
テラモンは1x1x1x1を見る。
「別の形に変えるんだ」
テラモンの瞳に、確かな光が宿った。
「憎しみを、守る力へ」
「破壊を、再生へ」
「そして――」
テラモンは1x1x1x1の手を握り直した。
「悪意を、愛へ」
「……!」
1x1x1x1の身体が、大きく震えた。
その言葉は。
ずっと欲しかった。
自分が「いていい」と認めてもらえる言葉。
自分が「邪魔な存在ではない」と言ってもらえる言葉。
「……ふん」
1x1x1x1は顔を背ける。
「……バカテラモン」
「ああ」
「……調子いいことばっか言いやがって……」
「そうか?」
「……俺、泣いてんぞ」
「知ってる」
「見るなよ……」
「分かった」
「……絶対見るなよ」
「分かったって」
そう言いながら、テラモンはそっと1x1x1x1の頭を撫でた。
1x1x1x1は抵抗しなかった。
むしろ、赤いケープの中へ顔を隠すようにして、テラモンの胸へ額を押しつけた。
「……俺、まだ……ここにいていいのか……?」
テラモンは即答した。
「ああ」
そして。
「ずっとな」
1x1x1x1の身体から、濃緑色の光が一気に溢れ出した。
それはもう、誰かを呪うための毒ではなかった。
誰かを守るための炎。
誰かを繋ぎ止めるための力。
そして、自分自身の存在を肯定するための光だった。
その光景を見つめていたハックロードは、静かに黒銀の大剣を地面へ突き立てた。
「……異世界の私よ」
ハックロードが膝をつく。
「そして……1x1x1x1よ」
彼は胸元の緑色の肋骨を押さえた。
「頼む」
骸骨マスクの奥の赤い瞳に、初めて憎悪ではなく希望が宿る。
「私の中に巣食う、この呪われた『1x1x1x1』を……お前たちの力で、正しい形へと変えてくれ」
1x1x1x1は涙を拭った。
そして、テラモンの手を握り直す。
「……分かった」
ヴェノムシャンクを拾い上げる。
今度は、震えていなかった。
「俺は……消えねぇ」
赤い瞳が、力強く輝く。
「誰かを殺すためでもねぇ」
濃緑色の炎が、静かに燃え上がる。
「テラモンのそばにいるために……この力を使う」
テラモンが笑った。
「それでこそ、俺の1xだ」
「……へへっ」
その瞬間。
ハックロードの胸元から、凄まじい量の黒いエネルギーが噴き出した。
「グ……ォォォォ……ッ!!」
憎悪。
罪悪感。
絶望。
何兆年にも渡って積み重ねられた負の感情が、ついに表へと溢れ出す。
theBanlands全体が震えた。
ブライトアイズが髪を押さえながら叫ぶ。
「ちょっと! アンタ! 私がせっかく助かったのに、また変なこと始めないでよ!」
「す、すまないブライトアイズ……!」
「終わったら帰ってお風呂!」
「はいっ!!」
1x1x1x1が思わず振り返る。
「……なぁテラモン」
「なんだ?」
「俺たち……今から世界を救おうとしてるんだよな?」
「ああ」
「……なんであいつ、最後まで嫁に怒られてんだ?」
「さあ……」
テラモンは苦笑した。
「それが夫婦というものなんじゃないか?」
「……意味分かんねぇ」
だが。
その口元には、ほんの少しだけ笑みが浮かんでいた。
そして二人は、しっかりと手を繋ぐ。
ハックロードの中に巣食う「憎悪」。
それを消すのではない。
否定するのでもない。
受け入れ、理解し、そして新しい意味へと書き換える。
それこそが――
「1x1x1x1」という存在が、初めて自分自身の手で選ぶ未来だった。
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