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めちゃめちゃ興奮しました‼️ 物語が最高すぎます👍 ふっかナイス👍早くメンバーみんな来ないかな🥹 続き楽しみにしてます😊‼️
続き待ってます!
辰哉Side
屋上のドアを開けると、月光に照らされた黒い背中が複数見えた。
💜「……来たよ」
「……お待ちしておりました。深澤様」
振り向きながら嫌な笑みを浮かべる一人の男。そいつが振り向いたのを合図に、周りにいる奴らも俺の方を向いた。
「約束通り来ていただけて幸いです。では……何をするかは、もうお分かりで?」
💜「……俺のこと、舐めんじゃねぇぞ?」
「……ハハハッ!舐めるだなんてそんな……。だからこちらも、いつもより人を多くしている次第で」
💜「チッ……」
睨みをきかせながら手袋をつける。
💜「あべは?あべちゃんはどこにいんだよ」
「阿部様なら……こちらに」
暗闇から姿を表したあべちゃん。生きていることに安心したけれど、その安心はすぐ恐怖へと変わった。
戦いの時には緑色に輝くあべちゃんの目が、禍々しいほど真っ黒な輝きを放っていたのだ。
💜「えっ、あべ、ちゃん……?!」
💜(まずい、フリーズから洗脳を受けてる……!)
あべちゃんに近づこうとすると、周りにいる奴らが俺に向かって攻撃を繰り出して来た。
俺は慌てて避ける。
「そう簡単には会わせませんよ……行け」
フリーズの低い声を合図に、奴らは一斉に攻撃を仕掛けてきた。俺はそれを避け反撃をしつつ、必死にあべちゃんに呼びかけた。
💜「あべちゃん、あべちゃん……!しっかりしろ、お前はそっち側に行くな……!」
「呼びかけても無駄ですよ。阿部様はもう、こちら側なのですから……」
俺はただひたすら、あべちゃんの名前を呼び続けながら戦った。
どんなに闇に染まったとしても、俺の……俺たちメンバーの、声が届くと信じて。
どれくらい時間が経ったのだろう。
💜「おい、あべ!あべ……!」
どれだけ呼びかけても、あべちゃんが反応することはなかった。
「はぁ……懲りないですね。無駄だと言っているではありませんか」
ため息混じりに言うフリーズを、俺はキッと睨みつける。
💜「無駄なんかじゃない……!あべちゃんならきっと、俺に気づいてくれる……!」
だって、あべは俺の同期だから……!大切な大切なメンバーだから……!
💜「はぁ!!」
力を込めてサイコキネシスを放ち、弱い敵たちを一掃する。屋上には、俺とフリーズ、洗脳されたあべちゃんの3人だけが残った。
「それでは……もうこうするしかありませんね。阿部様」
パチン
フリーズがあべちゃんに声をかけ、指を鳴らした瞬間。ずっと動きを止めていたあべちゃんがゆっくりと動き出した。かと思えば……
💜「……!?」
俺に鋭い視線を向け、素早く攻撃を繰り出してきた。
💜「そんな……あべちゃん、俺だよ……!!」
💚「……」
勢いよく飛びかかってきて、1体1の接近戦になる。あべちゃんの強さは知っていたけれど、フリーズの術式もあいまってか、いつもとは全く違う力だった。
俺が反撃する隙もないほど、次々と繰り出される攻撃。俺は、自分の身を守ることで精一杯だった。それでもずっと、俺はあべに呼びかける。
💜「あべ!あべ……!そっちはダメだって、戻ってきてよ……!!」
💚「……」
💜「あべぇ……!!」
俺の目から、涙が零れてくる。本当に、俺の声はあべに届いていないのか……?
俺たちメンバーの言葉が届くことは、もう無いのか……?
絶望の淵にいる俺の様子を見て、満足そうに微笑むフリーズ。
「いいですねぇ……仲間同士の戦いほど、醜く素晴らしいものはありません……!」
💜「チッ……」
フリーズの言葉に気を取られたその一瞬の隙に、あべは攻撃の種類を変えた。対応が遅れた俺は、その攻撃に当たってしまった。
💜「ぐあっ……!」
屋上の床を少し転がるも、俺は攻撃ダメージに耐える。だが、一気にたくさん動いた反動で、横になってしまった体を起こすことが出来なかった。
「おや……もう終わりですか?」
起き上がろうとするも、腕に力が入らない。少しずつ、あべちゃんが俺に近づいてくる。このままだと、俺は闇に染まったあべちゃんに……
嫌な想像が脳裏をよぎる。
でも俺は、さっきまでとの小さな違いに気がついた。
💜「あべちゃんの、目が……」
あべちゃんの黒く光る目の奥に、緑の光が少し見えていた。
💜(もしかして、あべちゃんの意識が戻ってきた……?)
僅かな希望を胸に、俺はなんとか立ち上がって再び声をかける。
💜「あべちゃん……俺だよ、ふっか!深澤、辰哉……!」
今ならきっと、俺の声がしっかり届くはず……。すると、
💚「……ふっ、か?」
あべちゃんが、俺の名前を呼んだ。
(続く)