翌週もその次の週も彼女は踏切に来なかった。
「お兄さん、諦めたら、知り合いじゃないかもしれないし。」
この前声をかけてきた女子学生だ。
「サヨちゃん、絶対知ってる人だよ、思い出せないけどどこかで会ってるはず」
「ならずっと待ってればいいよ」サヨはあきれて去っていった。
もし仮に再度会えたら絶対に声をかけてみよう、彼女の方が覚えているかもしれない。
そう願い続けて、1年が経過した。
「見て見て、このキーホルダー可愛い?」サヨは僕にダラシない格好のクマのキーホルダーを見せた。サヨはいつも元気で明るい。
「可愛いね。。」
「お兄さんなんで、そんなそっけないの。。?」サヨは踏切を渡り、改札をくぐり駅のホームに向かう。
その時、あの女性が駅のホームにいた。踏切が激しくなり出す。
「カンカンカン」
僕はホームいる女性を指差しサヨにアイコンタクトを送る。
サヨは僕に気付き、女性を指差し、この人?と確認する。僕は頭を上下に振る。
サヨは親指を突き上げ、女性と共に電車に乗り込んだ。