テラーノベル
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ちかちか。
僕は月すらも隠されている宵にまばゆい”星”を見た。
あの日ボクは君に天敵ながら全てを奪われてしまった。
守り抜くべき宝石も警察官としてのプライドも、ボクの心も……全て !
君が一等星というのならボクは精々光に惑わされる蟻で、君に手なんて届きやしない。
けど、生き辛いこの世界で人々が微睡む宵の中、君に会った時ボクはようやく世界に見つけられた気がしたんだ。
きっとそれがボクらの始まりだったんだ、と思う。
『……ぃ!』
『ゅ…ぃ……!』
『ゆ~い~……!!』
呼びかけられ、考えていたことがパチリと弾ける。
声が発せられた方を見れば膨れた顔をした同居人の勿が居た。
『んも~……!!何回声かけても反応しないんだからっ!!』
どうやら大層ご立腹のようだ……といっても、話を聞けばすぐ機嫌を直すだろう。
「ん~ごめんごめん。勿、どしたの? 」
『髪が上手く結べないから結んでっ?』
「えぇ~……それくらい自分でやれるでしょ?」
『えぇ~いいじゃん!如の方が手先器用なんだしっ!!』
「はいはい、我儘お姫様の仰せのままに~」
なんて、いつものように他愛もない会話をしてササッと如の髪を結ぶ。
彼女が我儘を言ってくるのはいつもの事なのでもう慣れてしまった。
彼女の髪はサラサラで艶のあるロングストレートで、これで特に髪に気を使っていないというのが少し恨めしい。
……ボクは癖っ毛直すために頑張ってるのに。
『というか、さっきまで何考えてたの?呼びかけても全然反応してなかったけど~……』
「ん?あぁ、ボクと君が出会った時のこと。」
『ふふ、如ってば私の事好きすぎ~!!』
少し雑に返したのに彼女にとってはどうやら嬉しかったようで勿の顔が綻ぶ。花のような笑顔はついボクまでつられて笑ってしまいそうだ。
「はーい。結び終わったよ~」
『ありがと、!!』
勿はそう言ってボクに抱きついてきた。彼女の距離感が近いのは今更だが予想外の事に不覚ながらも少し固まってしまった。
彼女がなにか言い出すだろうと嫌な予感がする……
『ふふん、私に惚れちゃった~?』
「ボクが男だったら惚れてたかもねー」
『棒読みすぎ!!んも~お世辞くらい言ってくれてもいいのに!!』
「んふ、君は世界一可愛いよ、とでも言えばよかった?」
『そうじゃなくて!如のイジワルぅ~……』
実際、 彼女にイジワルをするのは楽しい。
僕のないはずの嗜虐心が擽られる程だ。
「まぁまぁ、今日はお互い折角の晴れ舞台なんだからそうむくれないで。」
『そうだけどぉ~……あ、今日も絶対負けないからね!!』
「ふふ、今日こそ勝ってみせるよ」
気づいたら彼女の顔は凛としていて、そんな彼女の顔に高揚感を覚えたまま僕らはそれぞれの配置へと向かいだした。
力尽きた……
コメント
5件
(圧倒的な語彙力を前にして無言でスタンディングオベーション)
今回も神作だね…!!!! めちゃくちゃ良かったよ!!!! いやー…本当にこの作品、没ですか…? 凄く面白いし良いんだけど… 恐らくこの感じだと 怪盗と警察官の物語ですか?!(?) お互い両片想い感がある… これはマジで両片想いでは…?!(?) 私は出来ればこの作品のリメイクを 希望します!!! でも無理せず自分のペースが一番だから 他の事を疎かにしても 絶対にやって欲しい訳じゃないからね!
没として誰の目にも映らず葬るには余りにも惜しかったので未完成ながらも没供養という形で投稿させていただきました。 もしかしたらリメイクるかもしれません。
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