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週末の土曜日。
怪異探求倶楽部の一同は、浦添家の前へとやって来ていた。
今回の目的は、朝陽が夜な夜な悩まされていると言う、正体不明の女性の声が、心霊現象なのか否か、それを調べる事。
そのため、信愛たちは現場である朝陽の自宅を訪れたのだった。
信愛は家を見上げながら尋ねる。
「ここが浦添くんの家ね?」
朝陽は少し緊張した様子で頷いた。
「は、はい・・・」
茜は信愛の横顔を覗き込む。
「何か感じる?」
さくらも興味津々に続ける。
「霊居ま〜す!来てま〜す!みたいな?」
信愛は静かに目を閉じ、周囲の気配へ意識を集中させた。
「うー・・・ん」
しばらくして目を開けると、小さく首を横に振る。
「今のところは何も感じないかなぁ・・・」
焔垂は腕を組みながら息をついた。
「そうか・・・」
信愛は玄関へ視線を向ける。
「とりあえず入ろうか」
その瞬間、朝陽が慌てて声を上げた。
「あ、待ってください!」
信愛が不思議そうに振り返る。
「ん?どうかした?」
朝陽は言いづらそうに俯き、少し間を置いてから口を開いた。
「あの、心霊現象は母には黙ってるんです
心配かけたくなくて・・・」
信愛は優しく頷く。
「あ、なるほどね」
朝陽は申し訳なさそうに続けた。
「今日も、先輩たちを家に招く事も
勉強を教えてもらう為って
親には伝えてるんで・・その・・・」
事情を察した茜が笑顔で言った。
「分かった!話を合わせろって事ね?」
朝陽は深く頭を下げる。
「はい・・すいません・・・ワガママで」
さくらは柔らかな笑みを浮かべた。
「謝らないでいいよ、心配かけたくないって
朝陽くんの気持ち、すごく分かるからさ」
朝陽は少し表情を和らげる。
「あ、ありがとうございます」
焔垂が玄関へ向かって歩き出した。
「とりあえず入ろう」
朝陽は意を決したように玄関を開ける。
「た、ただいま・・・」
すぐに家の奥から優しい女性の声が返ってきた。
「おかえり朝陽」
姿を現した母親は、見慣れない顔ぶれに目を丸くする。
「えっと、そちらの方が?」
朝陽は少しぎこちなく笑った。
「あ、う、うん・・・勉強教えてくれる先輩」
信愛は丁寧に頭を下げる。
「お邪魔します」
母親は安心したように微笑んだ。
「わざわざ息子の為にありがとうね」
信愛も恐縮しながら笑顔を返す。
「あ、いえ、とんでもないです」
「ゆっくりしてってちょうだいね?」
「ありがとうございます」
母親が部屋へ戻ると、一同は二階へ続く階段を上り始めた。
信愛は小声で朝陽へ話しかける。
「浦添くんのお母さんって、なんか感じ良い人だね」
朝陽は誇らしげに頷いた。
「そうなんです。母はいつも僕の事を
第一に考えてくれてて・・
だから尚更、心配かけたくないんですよ」
その言葉に茜は真剣な表情になる。
「朝陽くんの為にも、なんとかしなきゃだね」
信愛も力強く頷いた。
「うん! そうだね」
朝陽に案内され、一同は二階の部屋へと足を踏み入れた。
部屋を見回したさくらが口を開く。
「ここが朝陽くんの部屋ね?」
朝陽はどこか落ち着かない様子で頷く。
「は、はい・・・」
焔垂は信愛へ視線を向けた。
「白縫さん?」
そして静かに問いかける。
「どう? 何か感じるか?」
信愛は返事をせず、ゆっくりと部屋の中を歩き始めた。
壁、机、本棚、窓辺。
一つひとつを確かめるように視線を巡らせる。
神妙な面持ちのまま、部屋全体の空気を探るように目を閉じた。
やがて小さく呟く。
「霊が居たんなら、部屋には残穢が
少しくらいは残ってる筈なんだけどな・・・」
茜が首を傾げた。
「なに?ざんえって?」
信愛は説明を続ける。
「未練を残して亡くなった霊の気配みたいなもの」
さくらは納得したように頷く。
「残り香的な?」
焔垂は思わず吹き出した。
「なんだよその表現」
しかし信愛は小さく笑う。
「まあ、でもニュアンスは合ってる」
茜は得意げに胸を張る。
「ほら合ってんじゃん、バーカ」
焔垂は苦笑しながら肩をすくめた。
「まじでか・・・合ってんのかよ」
さくらは再び信愛へ目を向ける。
「それ・・感じないの?」
信愛は静かに首を横へ振った。
「うん・・感じない・・かな・・・」
その言葉に、朝陽の顔が曇る。
「そ、そんな・・・」
彼は思わず身を乗り出した。
「で、でも本当に聞こえるんです!
夜な夜な女性の声が!本当なんですっ!」
必死に訴える朝陽へ、信愛は優しく微笑んだ。
「待って浦添くん、別に私たちは
浦添くんの事を疑ってないから」
さくらも穏やかに続ける。
「そうだよ!安心して」
朝陽は張り詰めていた表情を少しだけ緩めた。
「あ、よかった・・・」
その様子を見ながらも、信愛の胸には拭えない違和感が残っていた。
朝陽が聞いた女性の声が本当なら、なぜ霊の残穢を感じないのか。
千歳の時同様に、自身の霊気が霊圧を拒否しているからなのだろうか。
しかし千歳の時には、今まで感じた事がない違和感があったが、この部屋ではそれを一切感じない。
本当に霊の仕業なのだろうか。
信愛考え込んでいると、朝陽がおずおずと声を掛けてきた。
「し、白縫先輩? どうかしましたか?
ずっと黙ってますけど?」
信愛は我に返り、慌てて笑顔を作る。
「あ、いや、その、考え事してただけ」
「そ、そうですか・・・」
朝陽は安心したように頷いた。
しかし信愛は再び心の中で考えを巡らせる。
朝陽の為にも解明したいが、どうやって調べたらいいのだろうかと信愛は思い悩んでいた。
その時だった。
階下から優しい女性の声が響く。
「朝陽ー!」
母親が朝陽を呼んでいる。
朝陽はハッとした表情になると、一同へ頭を下げた。
「あ、呼ばれたんですいませんけど
ちょっと行ってきます」
そう言うや否や、慌てた様子で部屋を飛び出し、階段を駆け降りていった。
コメント
1件
お疲れさまです!今回は朝陽くんの家に潜入捜査(?)って感じで、母親に内緒で動いてるのが胸キュンでしたね。信愛先輩が霊の残穢を感じないってところ、不気味な伏線っぽくてゾワっと来ました。朝陽くんの「本当なんです!」って必死さも伝わってきて、早く真相を暴いてあげてほしい!次回が待ち遠しいっす🔥
#普通
野々さくら
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ありあ
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