テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第17話 3年目のはじまり
6月16日。
私にとって特別な日だった。
初めて隼也くんに会った日から、ちょうど2年。
もちろん、この2年間ずっと会い続けていたわけじゃない。
長い空白の時間もあった。
それでも、あの日出会えたから今がある。
そう思える大切な記念日だった。
私は前日のうちにストーリーを作っていた。
2周年を迎えた気持ち。
感謝の気持ち。
ちゃんと伝えたかった。
日付が変わった瞬間に投稿しよう。
そう思っていた。
だけど――
気付いたら寝ていた。
目が覚めた時には朝になっていた。
慌てて時計を見る。
投稿できてない。
少しだけ落ち込んだ。
結局、投稿したのは朝の9時頃だった。
投稿したあとも気になって仕方がなかった。
見てくれるかな。
大丈夫かな。
忙しいのかな。
きっといつか見てくれる。
頭では分かっていた。
それでも通知を何度も確認してしまう。
仕事中も。
休憩中も。
少しだけ気になっていた。
そして午後。
ついに既読がついた。
さらに、いいねまで付いていた。
それだけなのに本当に嬉しかった。
ちゃんと届いた。
そんな気がした。
その頃の私は、次のイベントへ向けてパネル作りも進めていた。
「初めましてしてから2年が経ちました」
そんな言葉を入れたパネル。
どうしたら見やすいかな。
どうしたら喜んでもらえるかな。
そんなことを考えながら作っていた。
次に会ったら何を話そう。
どんな反応をしてくれるかな。
そんなことを考えている時間も楽しかった。
仕事で嫌なことがあった日もある。
疲れて帰る日もある。
それでも推しのことを考えている時間だけは不思議と元気になれた。
嫌なことを忘れられた。
改めて思う。
推しの力はすごい。
会えるだけじゃない。
会える日を楽しみに待つ時間も、私に元気をくれているのだと思う。
そして私は、次のイベントの日を心待ちにしていた。
その日が、忘れられない一日になることをまだ知らなかった。
-
読んでいただきありがとうございます!
初めましてから2年。
改めて振り返ると、本当にたくさんの思い出ができていました。
そして3年目も、たくさんの思い出を作っていけたらいいなと思います。
840
狸宮はじめ
309
次回は、雨の中で迎えたイベントのお話です。
第18話もお楽しみに!
コメント
1件
ああ、このエピソード、すごく胸に沁みました……。2周年という節目の日、日付が変わった瞬間に投稿できなくて少し落ち込むところとか、既読といいねがついただけでこんなに嬉しいっていう感覚、すごく分かります。推しを想う時間が日常の活力になるっていうのも、本当にその通りだなって。パネルに込めた「初めましてしてから2年」という言葉にも、じんわりきました。次回の雨のイベント、何が待ってるのか気になりますね。