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遥 ℎ𝑎𝑟𝑢𝑘𝑎
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第四十三章 繋いでおけたら
コンコン――
翔太💙「……失礼します」
低い声で返事が返る。
蓮の部屋へ入った瞬間、翔太は胸ポケットの許可証をぎゅっと握り締めた。さっきまでの鼓動が、まだ全然静まっていない。
蓮 🖤「……顔赤いけど」
開口一番、カルテから目も上げずに言われて、翔太の肩がビクッと跳ねた。
蓮🖤「熱でもあるのか?」
淡々とした声。
でも、ペンを走らせる手だけが、どこか機嫌悪そうで。
翔太💙「な、ないです……」
蓮🖤「ふーん」
一枚、カルテが捲られる。
その紙の音だけで、妙に緊張した。
蓮🖤「廊下、随分賑やかだったけど」
翔太💙「へっ……そっ、そうなんですか?」
蓮🖤「自販機前、盛り上がってたらしいじゃん」
その瞬間、翔太の心臓が止まりそうになる。
“らしい”
その言い方が、逆に怖かった。
蓮🖤「お前が思ってるより、噂が回るのは早い」
静かに翔太の頰を掠め、扉に向かって伸びてきた腕。勢いよく開いたその先にいたのは、聞き耳を立てていたのか、メモ帳片手に扉に頬を寄せている間抜けな顔をした康二だった。
翔太💙「お前いい加減にしろよな」
康二🧡「あかん……怒った顔も可愛えぇなぁ」
蓮は薄く笑うと、康二の額を軽く押して廊下へ追い出した。
康二🧡「いてっ」
ピシャリ、と扉が閉まる。
蓮 🖤「壁際は気を付けろよ。誰が見てるか分からない……なぁ翔太」
翔太💙「っ!!?」
蓮🖤「仕事中なんだから、イチャつくのもほどほどにな」
慌ててナース服の襟口に手を添えた。
無いはずの〝証〟が疼いた気がした――
蓮🖤「……何?」
すぐ近くで声が落ちた。
翔太💙「っ!!」
顔を上げた瞬間、すぐ目の前に蓮がいて、思わず後ずさる。
でも、背中はもう扉だった。
蓮🖤「付いてた?」
低い声。
翔太💙「つ、付いてないし……!」
蓮🖤「ふーん」
蓮の指先が、襟元へそっと触れる。
びくっと肩が跳ねた。
蓮🖤「……そんな顔、アイツにも見せたのか」
翔太💙「な、何が……」
蓮🖤「俺にだけ見せろよ」
翔太💙「っ……!」
その瞬間、
顎を軽く掬われた。
逃げる暇もなく、首筋へ柔らかい熱が落ちる。
翔太💙「……っ、ぁ……!」
チリッと甘い痺れが走った。
蓮はゆっくり唇を離すと、赤くなったそこを親指で軽く撫でる。
蓮🖤「消えたらまた来いよ」
ニヤリと笑う蓮の肩を押して離れると、腰を掴まれ、ぐいっと引き戻される。
翔太💙「っ……!」
耳元へ落ちてきた低い声。
蓮🖤「……誰のせいで、そんな顔してるんだ?」
クス、と喉で笑う。
翔太💙「……どんな顔だよ……///」
自分でも分かるくらい、頬が熱かった。
蓮の指が、その熱を確かめるみたいに頬へ触れる。
蓮🖤「ほら、また赤くなる」
翔太💙「っ……違うから……やだ///」
蓮は小さく笑うと、
翔太の胸ポケットから外泊許可証を抜き取った。
翔太💙「あっ……!」
ペラ、と紙を捲る音。
蓮🖤「……未記入ここだけか」
机へ戻った蓮は、許可証へ視線を落とした。
【帯同看護師】渡辺
【担当医師】目黒
その下、まだ空欄のまま残っている。
緊急連絡先 ――――
蓮🖤「ここは阿部か?」
翔太💙「っ!!?」
顔が一気に熱くなる。
蓮🖤「ふーん」
その反応だけで、全部答え合わせみたいだった。
翔太💙「ち、違……!」
蓮🖤「違わないだろ?」
低い声。
蓮🖤「じゃあ、誰に連絡して欲しいんだ?」
翔太💙「そ、そういう意味じゃ……」
蓮はクスッと喉で笑う。
蓮🖤「顔に出すぎ」
机に向き直った蓮は無言のままペンを走らせる。
カリ、カリ、と静かな音。
翔太💙「……何書いてるの?」
蓮🖤「制限事項」
淡々とした声。
翔太💙「へ?」
蓮🖤「興奮させないこと」
翔太💙「っ!!?」
蓮🖤「心拍上がりすぎだから」
さらっと書き込みながら、口元だけ笑う。
翔太💙「な、何それ……!」
蓮🖤「あと」
そこでペンが止まる。
蓮🖤「壁際禁止」
翔太💙「っ……!!///」
蓮🖤「自販機前も禁止」
翔太💙「誰のこと言ってんだよ!?」
蓮🖤「さぁ?」
意地悪く薄ら笑う蓮。
翔太💙「子供扱いしないで」
蓮🖤「子供じゃないから、余計タチ悪い」
低い声。
視線だけで押さえ込まれて、翔太は何も言い返せなくなる。
蓮🖤「……どっちつかずでフラフラされるの、嫌いなんだよ」
その瞬間だけ、蓮の声から笑いが消えた。
翔太💙「意味わかんない……ほっといてよ」
拗ねたみたいに視線を逸らす翔太を見て、蓮は小さく息を吐いた。それから、外泊許可証を指先でコンコンと叩く。
蓮🖤「じゃあここ、見てみろ」
翔太💙「……?」
机へ近づくと、蓮は許可証の一番下をペン先で示した。
【外泊中責任者】目黒
翔太💙「……あ」
蓮🖤「だって担当、俺なんだろ?」
低い声。
蓮🖤「大事なものはちゃんと見張っとかないとな……オマエどっか行きそうだし」
翔太💙「これ佐久間さんのだから……///」
蓮は数秒黙ったあと、小さく鼻で笑った。
蓮🖤「……そういうとこ」
翔太💙「え?」
蓮🖤「無自覚で人振り回す」
ペン先で、
【外泊中責任者】の欄をトントン叩く。
蓮🖤「じゃあ俺、何に嫉妬してんの」
翔太💙「し、嫉妬?」
蓮🖤「……はぁ」
蓮は大きなため息をつくと椅子へ深く座り直し、ペンを弄びながら翔太を見上げる。
蓮🖤「俺以外の前で、あんな顔すんな」
翔太💙「っ……!」
蓮🖤「それとも、俺に見せつけてんの?」
低い声。
その言葉に、胸の奥がまた熱くなる。
〝嫉妬とか……ダセェな〟そう言ってクスッと笑った蓮は、不機嫌そうな音を立てて許可証へサインを書き込んだ。
カリ、と最後の一画を止めたあと、ペン先で紙を翔太側へ押した。
翔太💙「ありが……」
書類に手を伸ばした瞬間、ぐいっと腕を引かれる。
翔太💙「っ!?」
気付けば、蓮の座る椅子へ半分抱え込まれるみたいに乗せられていた。
翔太💙「ちょ……!」
蓮🖤「動くな」
低い声。
座り心地なんて最悪なはずなのに、背中へ当たる蓮の熱はやけに優しかった。
お腹へ回された手に、そっと自分の指を重ねる。
蓮🖤「……どっか行きそうでムカつく」
蓮にしては珍しく、余裕のない声だった。
翔太💙「れん……?」
蓮🖤「繋いでおけたらいいのにな……」
そんな弱い声、初めて聞いた気がした。
肩口へ触れていた唇が止まる。
ゆっくり振り返った瞬間、後頭部へ手が回された。
翔太💙「っ――」
次の瞬間、塞がれる。
逃げる隙もないくらい熱いキスに、息が詰まった。
蓮の指が、逃がさないみたいに腰を強く抱き寄せる。
蓮🖤「……他の奴のとこ行くな」
掠れた声。そのまま額を押し付けられて、翔太の心臓がまた大きく跳ねた。返事なんて出来るわけない。
ただ、うるさいくらい鳴る心臓だけが、全部見透かされている気がした。
それなのに気付けば、蓮の服をぎゅっと掴んでいた。
翔太💙「……れん」
呼んだ瞬間、また優しく唇が触れる。
心拍は、もう全然静まってくれそうになかった。
コメント
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先生たちー!仕事してくださーい🤣🤣🤣🤣