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Kira
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ななせ🧊
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「じゃあもう行くから、戸締りよろしくね。何かあったら、連絡して。」
「もうガキじゃないんだから、大丈夫だよ。気をつけて、行ってらっしゃい。」
12月31日の昼、俺は家族を送り出していた。
今日からまる3日。家には俺一人だった。
完全に玄関の扉が閉まったのを確認して、ダッシュで自分の部屋に行く。
そしてベッドの下からビニール袋を引っ張り出して、その中身を机の上に置いた。
それは、ゴムとローションだった。
俺は、その2つを見つめ、机の周りをぐるぐると周り始めた。
勢いのまま買ってしまったけど、大丈夫だろうか。いや、無いよりはあった方がマシだろう。
この前仁人から、「続きしようね」なんて言ってくれたけれど。
その続きは、どこまでなのか。
最後までしていいのか、それとも触り合いっこするくらいなのか。
俺は、最後までしたい。
仁人の中に入れたら、それは凄く嬉しいことだけど、
仁人には、怖い思いも、痛い思いもさせたくない。 仁人のことは、絶対大切にしたい。
欲に溺れて、無理矢理なんて言語道断だ。
それでも、俺は健全な男子高校生なわけで。好きな人と、何もせず一夜を過ごせる自信も無かった。
「あーーー、どうしよ。」
色んな思いが頭の中をぐちゃぐちゃにして、ぽろっと言葉が溢れてしまった。
ずっと動かしていた足を止め、深くため息をついたその時。
仁人の到着を知らせるであろう、チャイムが鳴り響いた。
慌てて机に置いていたそいつらを、ベッド横の引き出しに押し込んだ。
こいつらの、出番があるといいな。
そんな下心を抱えながら、玄関の扉を開けた。
「いらっしゃい、仁人。」
「………おはよ……」
やって来た仁人は、この前のクリスマスデートが寒かったからだろうか。
しっかりと着込んできて、全身モコモコ状態だった。
膨らんだ体のラインが、まるで雪だるまみたいで、無意識に笑みが零れてしまった。
「何、笑ってんの………」
「なんでもない。マフラー、使ってくれてるんだね。」
「まあ…マフラーちょうど持ってなかったから………てか、寒いから早く入れて。」
「ふっ、はいはい。」
仁人の口元を隠していたのは、この前俺があげたお下がりのマフラー。
左手首には、その時一緒にプレゼントしたブレスレットも光っていて。
俺のことを考えてつけてきてくれたのかと思うと、愛おしくてたまらなかった。
リビングに通された仁人は、マフラーを外しながら部屋をきょろきょろと見渡した。
そして、テレビ横に置いてあるゲーム機で視線が止まった。
「あ、ゲームある。」
「……やる?」
俺がコントローラーを差し出すと、仁人は迷わずに受け取った。
テレビの電源をつけて、ゲームを立ち上げる。
俺も仁人も、前のめりになってやる気満々だった。
「ちょ……今の、ズルくない?」
「ズルくないって笑 仁人が、下手なだけだよ。」
カチャカチャと、ボタンを押す音がリビングに響く。
あともうちょっと。もうちょっとでゴールだ。
そう思って、ラストスパートをかける。
横で仁人は、「待って、待って!」と騒いでいるが、お構い無しに俺はそのままゴールした。
俺の方の画面に『WIN』と表示される。
コントローラーを軽く掲げながら、にやっと笑った。
「俺の勝ち、だね。」
「………た、たまたまだし…」
「たまたまでも、勝ちは勝ちでしょ。じゃ、負けた仁人は今から罰ゲームね。」
「え!?そんなの聞いてない!」
「だって、言ってないもーん。」
俺の言葉に仁人は、コントローラーを握ったまま、悔しそうにこっちを睨んできた。
不貞腐れている仁人の頬を、するりと撫でる。
距離を詰めて、顔を近づけた。
「……………仁人。」
「は、えっ……なにっ…罰ゲームって、そういうっ………////」
黙ったままゆっくりと顔を近づけると、仁人は何をされると思ったのか、ぎゅっと目を瞑った。
唇が近づき、仁人の顔に俺の吐息がかかる。
仁人の体が微かに動いたその瞬間、俺はぱっと体を離した。
「冷蔵庫にジュースあるから、取ってきて?」
「……………ふぇ?」
「だから、罰ゲーム。ジュース持ってくる係ね。」
俺がそう言うと、仁人の顔は一気に赤くなった。
「は……はぁ!?////」
大きく目を見開いたかと思えば、ほっぺたをむっと膨らませた。
「ほんっと、信じらんない!!///」
ぷんぷん怒りながら立ち上がって、キッチンへ向かっていく。
わざと強い足取りで戻ってくると、不機嫌そうな顔のままジュースを突き出してきた。
「はい、これでいい?」
「くすっ……ありがとう。」
「笑わないでくれる?ムカつくから。」
「ごーめーん。仁人があまりにも可愛いからさ、つい。」
頭を撫でてあげると、嬉しかったのだろうか。さっきまで不機嫌モードだったのに、急に大人しくなった。
本当に、分かりやすくて、チョロくて。これだから、放っておけないんだ。
少し経ってからまたゲームを再開すると、さっきまでの空気が嘘のように普通に戻った。
二人揃って騒ぎながらゲームして、目の前の画面に夢中になっていた。
何戦も繰り返しているうちに、すっかり夕方になっていた。隣から、ぐぅと小さな音が聞こえた。
「あっ……//」
「お腹すいたね。母さんが鍋の用意してくれてたから、食べちゃおっか。」
「ごめん…ありがとう。」
グツグツと煮えている鍋を、二人でつつく。
いつもの学校での昼食と違って、俺の家で食卓を囲んでいるのが、なんだか不思議な感じだった。
夕飯時にもなれば、テレビはもう年越しムードになっていて。
年末の恒例歌番組が放送されていた。
そこに、可愛らしい衣装を纏ったアイドルグループが出てくる。その子たちを見て、何気なく口を開いた。
「あ、この子達。」
「ん?誰?」
「知らない?今超バズってるの。」
「へー、そうなんだ。」
「まあ人気出る理由も分かるよね。顔も可愛いし、歌も上手いし。」
俺がそう言うと、向かい側で動いていた箸がピタッと止まった。
ふと仁人を見ると、また口を尖らせて捻くれていた。
「なに、どうしたの?」
「別に。」
そう言いながら、不機嫌そうに箸をくわえ、そして小さく呟いた。
「その子達が可愛いなら、ずっと見てれば。」
その言葉に、思わず吹き出してしまった。
「なに、仁人。俺が仁人以外の人のこと可愛いって言ったから、嫉妬してんの?」
「違う。」
からかうように言うと、仁人は即座に否定してきた。
でも、顔はツンツンしたままだ。
「もー、ただ容姿を褒めただけでしょ?俺が一番可愛いって思ってるのは、仁人だけだから。」
笑いながら、鍋からお肉をすくって仁人のお皿に入れてあげる。
すると仁人は、満足気な顔をしてパクパクと食べ始めた。
「機嫌直った?」
「だから、怒ってないって。」
「分かった、分かった。 笑」
そのまま鍋を食べ進め、すっかりお腹いっぱいになった。
二人で皿洗いまで済ませると、かなりいい時間になっていた。
「仁人、俺先にお風呂行ってくるね。適当にくつろいでて。」
「分かった、行ってらっしゃい。」
部屋からスウェットを引っ張り出し、風呂場へ向かう。
服を全部脱いで、いざ体を洗おうとした瞬間、手が止まった。
一応、ちゃんと洗っとくか。
一応、ね。
普段なら適当に済ますシャワーも、念入りに体の隅々まで綺麗にした。
この後、お風呂上がってからどうしようか。別にただ一緒にいるだけでも楽しいから、そういう雰囲気にならなくても良いかもしれない。
多分、俺からいってしまうと、仁人はそのまま流されてしまうだろう。そうなると、自分自身を止められる自信が無かった。
仁人から何もアクションが無ければ、一切手を出さないようにしよう。
そう固く決意して、風呂から上がった。
「仁人、上がったから次入っていいよ。」
「うん、ありがとう。」
「タオル、置いといたから使って。」
「はーい。」
小走りで風呂場へ向かう仁人の背中を見送る。たったそれだけの事なのに、少し緊張してしまった。
ソファに腰掛け、一息つく。
目を閉じれば、シャワーの音が聞こえてきて。その音すらも、色っぽく聞こえた。
意味もなくスマホを弄ってみるけど、全く内容が頭に入ってこない。
諦めて画面を閉じ、胸を抑えた。
心臓が、今にも破裂しそうだった。
それから、どのくらい時間が経ったのか。
一瞬と言えば一瞬だったし。何時間も経ってるようにも感じた。
いつの間にかシャワーの音は止み、暫くすると、パジャマ姿の仁人が戻ってきた。
「ただいま。」
「お…おかえり……」
必死に平然を保とうするが、声が震えてしまった。
そんな俺の気も知れず、何気ない顔で、仁人は俺の隣に腰掛けてきた。
ふわっと、俺と同じシャンプーの香りがして、唾を飲み込んでしまった。
どうしよう。俺から何もしないって決めてたけど、絶対に無理だ。
このままここにいたら、理性が抑えられなくなる。
何とかして、一旦離れないと───
「っ仁人、飲み物取ってくる……ね……」
慌てて立ち上がろうとしたが、動きが止められてしまった。
ゆっくり振り向くと、仁人が俺の手首を掴んで、深く俯いていた。
手首を掴んでいる仁人の指が、震えている。
何も言葉はないし、表情も見えない。
でも、その手が仁人なりの精一杯のお誘いだということは、すぐに分かった。
「仁人、今自分が何しようとしてるか分かってる?」
「わか、ってる………一応、おれだって…っあ……」
少し顔を上げた仁人だったが、何かを言いかけてまた下を向いてしまった。
「俺だって、何?」
「おれ、だって……色々調べて………ここ来る前に…自分の家の風呂で………あの、その……////」
「もしかして…準備してきてくれてたの?」
俺がそう問いかけると、仁人はこくりと頷いた。
「俺、嬉しいよ。仁人が俺とそういう事したいと思ってくれて。」
「俺も男だから……性欲はそりゃあるよ…勇斗に触って欲しいし、触りたいもん。」
俯いていた顔は、もうしっかりと上げられていて。
大きな瞳で、俺の姿を捉えていた。
「仁人………目、閉じて。」
指を絡ませながら、軽いキスを落とす。
ちゅっというリップ音と共に、唇が離れ、そして視線がぶつかって。
まるでそれが合図かのように、俺は仁人をソファに押し倒した。
手をきつく握って、お互いの口内を荒らし合う。
あの、仁人の家でした時よりも激しく、深く、唇を重ねた。
「んっ……ぁ、ふぁ……ん、……」
唇の隙間から仁人の喘ぎ声が漏れ、俺の下半身を熱くさせていく。
もう、理性なんてほぼ無いようなものだった。
まだ経験も浅く、俺らのキスはお世辞にも上手いとは言えなくて。
お互いの口周りは、それぞれの唾液でベタベタに汚れていた。
それでも、頭がおかしくなるくらい気持ちよかった。
一生離れたくない、そう思っていたが流石に息苦しさを感じてきて。
名残惜しくも、ゆっくりと顔を遠ざけた。
まだ呼吸が整っていない仁人の太ももを、するりと撫でる。
そして、そっと耳元で囁いた。
「俺の部屋、行こ。」