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俺たちは災いの騎士の幹部・ウルアと戦い、ケールが瀕死になったりしたけど勝つことが出来た
この前戦ったラウムとか言うやつとは次元が違った。右手の甲にタトゥーが入ったやつもこれくらい強いんだろうな
今の俺たちで倒せるだろうか??死闘を終えたばかりで体は満身創痍だ。思うように体は動かない
ヴィネの言っていた通り俺たちは左のこめかみにタトゥーが入った男と死闘を繰り広げた。ヴィネが見た夢は正夢になっている
ヴィネが殺される夢を見たのも正夢になるのではないかと不安に駆られる。ヴィネの安否を確認したい
ウルトルさんにも幹部クラスを倒したと伝えたい。倒したを証明するために何を持っていこうか??2つ目のタトゥーが入ってるところを持ってくか。そうなると首をもぐ必要があるな。生首を持ってくことになるけどいいか
「カズヤ……何してるの?」
「ウルトルさんに倒したって証明するために首もいでる」
「離れてやってくれ……」
刺激が強すぎたみたいだ。当たり前か
俺だって首をもぐ作業なんかしたくないけど、首がないと倒したって証明できないからな
少し離れてやろう
ドン引きされる。もうしてるか
「ヴィネの言ってた通りになったわね……ヴィネが心配だわ」
「そうだね。ヴィネのところに直行したい」
「ケールが目覚めてからで良くねぇか?」
「今すぐ行きましょうよ!!」
「右手の甲にタトゥーが入った男と戦うことになるかもしれないだろ。そうなった時にケールがいないのは致命的だ」
いますぐヴィネの安否を確認しに行きたいけどもしかしたら、そこで右手の甲にタトゥーが入った男と戦うことになるかもしれない
そうなった時に1人いないのはロイスの言う通り致命的だ。ここはケールが目を覚ますのを待つしかない
「運んで行けばいいじゃない」
「移動に時間がかかるだろ。ケールはお前みたいに軽くねぇよ」
「それにもうクタクタだ。少しくらい休ませてくれ」
休ませて欲しいというのがロイスの本音だろう。俺も本音を言えば疲れてるから休みたい
ロイスがナリアを説得してケールが目を覚ますまでは休むことになった
「ん……俺、生きてる??」
「やっと起きたか」
「遅いわね。いつまで寝てんのよ」
「生きてるよ。お礼ならカンちゃんに言ってね」
ケールは殴られた箇所をさすって何もなってないことを確認してからカンちゃんにお礼を言った
死んだって思ってたんだな。俺も実際助からないかもしれないって思った
「ケールの目も覚めたことだし、早くヴィネの所へ向かうわよ」
「俺はウルトルさんに報告してくるよ」
「分かった。俺らはヴィネの安全を確認して来る」
「気をつけて」
「ん?ヴィネ??ヴィネに何かあったの?」
俺らは寝ぼけているケールを無視してアグロクの森を出た。ロイスとナリアは状況を掴めていないケールを無理やり連行し病院へ向かった
ケールが使い物になるかは分からないけど、いざという時は役に立つはずだ
「ウルトルさんいますか?」
「奥にいらっしゃると思います。呼んできましょうか?」
「大丈夫です。僕から会いに行きます」
ギルドに向かった俺は奥にいるウルトルさんの部屋に向かった。中に入るとウルトルさんは何やら作業をしているようだったが、俺のためならという手を止めてくれた
「ウルアっていう災いの騎士の幹部を倒しました」
「!?!?
それ本当か!!?」
「はい。これです」
俺は収納魔法でしまっていたウルアの首をウルトルさんに見せた。ウルトルさんは首を持ってきたことに引いていたが、左のこめかみにタトゥーが入っているのを見て納得した
「お前らなら右手の甲にタトゥーが入ってる男も倒せるかもな」
「必ず倒してみせます」
「あんま無茶するなよ。お前らみたいな若い芽がこんなところで摘まれて欲しくない」
「気をつけます」
俺はウルトルさんに急ぎの用事があると言ってギルドを出て病院に向かった。みんながいるから少し安心出来るが……
「ナリア???どうしたの?」
「ヴィネが!!!!」
俺が病院に向かっている途中ナリアが反対から走ってきた。ずっと走ってきたためか呼吸は荒かったが、それを整えようともせずに大きな声で叫んだ
ヴィネに何かあった、と理解出来た。それも悪い知らせだろう
「ヴィネがどうしたの!?」
「あの男にやられた!!!!」
「私たちが病室に行ったらやられてたの!!!!」
「男は!?」
「私たちに気づいて逃げたわ」
1歩遅かった……ヴィネの見た夢が正夢になっているのは偶然なのか???
今はそんなことを考えている場合では無い。急いで病院に行ってヴィネの容態を確認したい。ナリアの言い方ではまだ死んでないかもしれない
「ヴィネ!!!!」
「出来る限りのことはやると言ってた」
俺たちが病院に着くとヴィネが担架に乗せられ、どこかへ運ばれていく最中だった。心臓付近に穴が空いており、血も多く服に付着していた。ヴィネに何度も呼びかけたが応答はなかった
「何とかして助かってくれ……」
「無理」
「心臓を貫かれてる。もう死ぬ」
カンちゃんの言うことに俺たちは反論しなかった。心のどこかで助からないと感じていたのだろう
あの時ケールを置いて行けば良かったという悪魔のような考えが浮かんでくる
「許せない……!!!!」
「早く見つけに行くわよ」
ナリアの言葉の端々から怒ってるのが伝わってくる。ナリアはヴィネのためにとここまでやってきた
こんな形でヴィネと会えなくなるのは俺らも悔しいが、ナリアが1番悔しいはずだ
ヴィネの敵を取りに行くつもりだろう。どの道右手の甲にタトゥーが入った男は倒すつもりだ
「準備をしてからにしよう」
「今ならまだ遠くに行ってないわよ。今すぐに行きましょ」
「だとしても、色々整ってないのに行くのは危険だ」
「カズヤの言う通りだな。今すぐは危険過ぎる」
「それに右手の甲にタトゥーが入ったやつが行くのはあそこくらいしかないだろ」
あそこというのはこの前行った拠点の事だろう。右手の甲にタトゥーが入った男は災いの騎士の幹部のはずだ。目的もなしにヴィネの殺すことはしないはず……となると任務を達成したと報告しに拠点に戻るだろう
「……分かったわよ」
「早く準備をしよう。準備が整ったら病院に集まろう」
「了解」「分かった」「……」
俺たちは右手の甲にタトゥーが入った男との戦いに備えるために1度解散した。俺はギルドに行ってウルトルさんから右手の甲にタトゥーが入った男について話を聞こうと思ったがウルトルさんはいなかった
「よし、揃ったな」
「仇討ちに行こうか」
「えぇ、後悔させるわ」
~ウルトル~
俺は1人でギルドにやってきたカズヤから衝撃的なことを聞いた。災いの騎士の幹部を倒したというのだ。その証明のために生首を持ってきた
カズヤも結構やる時はやつだなと思っていたら、左のこめかみにタトゥーが入っていたのでそういうことかと納得した
災いの騎士にとって幹部がやられるのは痛いはずだ
ここで右手の甲にタトゥーが入った男を倒せればアグロクの森に拠点を構える災いの騎士は壊滅寸前になるはずだ
カズヤたちは右手の甲にタトゥーが入った男を探しているみたいだが、右手の甲にタトゥーが入った男は俺が倒す
テソロのたちの仇は必ず俺が取る。カズヤたちのおかげで仇を討つべき相手が見つかったのだからそこは感謝している
テソロたちは2年前、まだまだ未熟な冒険者だった。それでもまだ若かったため俺がよく面倒を見て可愛がっていた
テソロたちが愚直に前に進む姿を見て、応援せずにはいられなくなっていた
いつしかテソロたちは俺の事を師匠と呼んでくれるようになり師弟関係になっていた
可愛い弟子が急にいなくなったのは突然だった。順調にランクを上げBランクになってからだった
「やった!!Bランクだ」
「テソロだけずるい!!」
「安心しろ。ヴィシェもサクロもBランクだ」
「やったぁ~!!」「よっしゃ!!!」
「3人ともよくやったな」
いつものように任務を終え疲れた顔でギルドに戻ってきた3人はBランクになったと知って笑顔になる
3人が冒険者になりたての頃から面倒を見ていた俺も喜んだ
「Bランクになったってことは災いの騎士の任務を受けられるんですよね?」
「あぁ。どうして災いの騎士なんか倒すんだ??」
災いの騎士を倒すのは簡単では無い。熟年の冒険者でも災いの騎士に負けることが多々ある
それなのにテソロたちはなぜ災いの騎士に立ち向かっていくのか俺には分からなかった
「災いの騎士みたいに悪いことをする奴らを倒したいんです。冒険者はヒーローなんかじゃないのは知ってます。それでも、災いの騎士に怯えてる人もいる、その人たちが少しでも安心して生活出来たらいいなって思うんです」
「ヴィシェとサクロも同じか??」
「私は違うけどぉテソロがそう言うなら着いていくしかないじゃないですかぁ」
「俺もテソロ程は思ってませんけど、悪い奴らは倒したいって思ってます」
テソロとサクロは正義感が強い。冒険者はヒーローでも何でもない。時には一般市民から、税金を逃れたとして冷たい目で見られることもある
それでも、人々が安心して過ごせるようにと災いの騎士に挑む姿勢に俺は心を打たれた
俺はテソロの情熱に満ちた眼差しを見て危険だから辞めた方がいいと言えなかった
「そうか……気をつけろよ」
「はい。分かってます」
「明日もここ?」
「そうだね。明日もここに集合しよう」
~次の日~
「よし、揃ったね」
「災いの騎士退治に行こう」
「頑張るしかないねぇ~」
「頑張れよ」
今思えばギルドを出ていく3人を無理にでも引き留めれば良かった。これ以降3人の成長を見届けることは出来なくなったのだから
「遅いな……」
「もう夕方ですもんね」
テソロたちがギルドを出てからだいぶ時間が立った。テソロたちがギルドにいた時は東にいた太陽も西に傾き半分沈んでいる
テソロたちはサバイバルの技術はないため、日没までには帰ってきていた。いつもならもう帰ってきている時間だ
俺は何かあったのではと不安に駆られる。気づけばギルドを出てアグロクの森に入っていた
「テソロ!!!!」
「ウル…トル…さん」
俺がアグロクの森を歩き始めてすぐにテソロたちは見つかった。だが、3人とも血を流しておりヴィシェとサクロはいくら呼びかけても返事がなかった
「何があったんだ!!!」
「右……手」
「右手??右手がどうした!!!??」
右手という言葉を残してテソロは何も言わなくなった。気づけば横たわったテソロを抱えていた手がテソロの体温を感じなくなっていた
何故テソロたちがこんな目に遭わなければいけないんだ。何故あの時無理にでも辞めた方がいいと止めなかったのか
テソロたちが殺されたという怒りとテソロたちが死んだのは自分のせいでは無いかという後悔が頭の中で複雑に絡みあった
今の俺に出来るのはテソロの敵を討つことだ。まだまだ将来のあった3人を殺したことがどれだけ重いことか思い知らせてやる
俺はアグロクの森を毎日のように入っては災いの騎士を片っ端から倒し拠点を探した
やっとのことで拠点を見つけたが、肝心な敵が分かっていなかったため踏み込みはしなかった
テソロの残した[右手]という言葉とカズヤたちの言っていた右手の甲にタトゥーが入った男。これは同一人物だと思っている。災いの騎士の幹部が1人やられた今右手の甲にタトゥーが入った男も倒すなら今しかない
「テソロ、待ってろよ……」
「必ず敵は討つからな…!!」
俺は準備を整えギルドを出た。アグロクの森に一直線に向かい拳を握りしめ、森の中へと足を踏み入れた