テラーノベル
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楽屋。
パソコンのキーを打つ軽やかな音が、静かな部屋に規則正しく響いている。
画面に向かって集中していると、不意に背後に気配が生まれた。
次の瞬間、意外とガッチリしている腕がそっと肩越しに回された。
その腕の正体は…
海人「〇〇〜!」
『ぎゃっ…』
先程までイヤホンをして音楽を聴いていた海人だった。
飽きて甘えにでも来たのだろうか。
『どうしたん〜、海人』
私は一度パソコンを閉じ、わずかに身体を海人へ向ける。
静かに手を伸ばし、顎の下に指先を添えてやさしく撫でる。
くすぐったそうにわずかに揺れるその仕草に、思わず小さく微笑みがこぼれた。
海人「充電しにきた!」
海人は満面の笑みを浮かべて、私を抱きしめる力を強めては
私の頬へ自身の頬を優しく寄せては頬擦りをする。
『海人はいつまでも甘えん坊やな』
呆れたように笑えば、
奥でこの様子を見ていた廉が口を開く。
廉「そういう〇〇だってなんだかんだ海人に甘いやん。」
『え〜?だって海人見てると駿佑思い出してつい甘やかしちゃうんやもん』
廉「ブラコン。」
『うっさいわ。』
そうちょっとした火花を間に散らして
会話をしていると…
海人「…廉じゃなくて今は俺に集中してよ〜、〇〇。」
突然海人が拗ね気味に思わず惚れてしまいそうになる
一言を溢すので私は、
『ん〜ふふ、じゃあ海人しか見ない』
と、海人の頬をなぞるように撫でた。
ーー私と海人の空間には少し甘い雰囲気が漂う。
海人「…ね、〇〇。ちゅーしていい?」
雰囲気に流され言ったのか海人の顔が近くなる。
廉「…は?」
廉はこの状況を見て
手が緩んでしまったのか持っていたペットボトルを床に落とす。
『そう簡単にちゅーなんて言っちゃ駄目。好きな子としなきゃ…』
海人「俺の好きな子は〇〇だもん。」
ゆっくりと、海人の唇が距離を縮めてくる。
廉「ーー待て!…」
海人「んぐっ…」
唇同士が重なるまであとわずか…
そんなところで廉が割り込んできて海人の口にポッキーを突っ込む。
海人「なにすんのさ廉…!あとちょっとでできそうだったのに…」
口の中に放り込まれたポッキーを取っては
分かりやすくしょんぼりする海人。
廉「承諾なしでやろ…〇〇も少しは抵抗しろや!」
『いや驚いちゃって…』
廉「…はぁ、まぁいいわ…」
「海人。次こんな真似したら引っ叩くで」
海人「嫌!無理!俺だって〇〇とちゅーしたい! 」
廉「ガキか!」
どこから取り出したのか スリッパを持って駄々を捏ねる
海人の頭を叩く
海人「いったぁ…!」
「…だって俺、一回も〇〇とちゅーしたことない…!」
海人「廉は何回もしてるじゃん!ドラマで!」
私と廉は一瞬だけ視線を交わす。
私は小さく苦笑いを漏らし、廉はどこか呆れたような表情でため息をついた。
廉「いいやんドラマでなら…本人たちの意思でしてへん」
にくまん小娘
海人「…それでもいいから俺はしたい。」
いつの間にか海人は床に座り込み、膝を抱いて身体を小さく丸めていた。
自分の殻に閉じこもるように、ただ静かに拗ねている。
『…』
それを見兼ねた私は、静かに席を立った。
彼の傍に、そっと寄り添うように立つ。
『おいで、海人。』
海人「〇〇〜…」
小さく腕を広げると、子供のように無垢な響きで私の名前を呼ぶ。
そのまま吸い寄せられるように、海人は私に抱きついた。
『海人はそんなに私が好き?』
そっと頭を撫でながらそんな質問を投げる。
海人「一緒に死んでくれる?って言われたら頷くぐらいに好き…」
廉「重いわ。」
『そっかそっか…』
『それは仲間として?それとも個人的な好意?』
海人「どっちも…」
『…うん、海人の気持ちはよくわかった』
『私も海人と廉のことは大好きって言っても何回言っても足りないくらい大切な存在。
けどその気持ちは、恋愛じゃなくて家族と同じ感情。』
その言葉に海人は肩をすくめる。
しかし私は続けて口を開く
『…でも、海人が頑張って猛アタックしてくれたら…私の気持ちが変わらないってことも
ないかも?』
すると、海人は希望を映した瞳で、ばっ、と私を見上げた。
海人「ほんと!?」
『ほんと。』
海人「…じゃあ俺、頑張って〇〇に猛アタックするから!」
『ふふ、うん。』
『…がんばってな』
私は海人の頬に手を添え、
かすかに前髪を退けて、おでこに軽く触れるだけのキスを落とした
海人「へ…」
廉「なっ…」
ーーこの時の私は知らない。
海人と廉…
そして、
駿佑「…」
楽屋の扉を数cm開けて、
この状況をこっそり見ていた駿佑が
色々なことを仕出かしてくるとは…
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