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2 - 第2話 チョコレートボックス

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2025年07月19日

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私の実家では、ジュエリーボックスの事をチョコレートボックスと言うのだ。 

 なぜチョコレートボックスと言うのかは分らないし、自分もそれが当たり前だと思っていたから疑問に思ったこともないのだ。

 

 それが最近、相方がアクセサリーとかにハマっていて、海外の通信販売などで集めており、家にたくさんのアクセサリーが棚に溢れ、そろそろ収納するボックスが必要だという話になった時だ。

 

 「ならお洒落なチョコレートボックスが必要だね」と自分は言ったのだ。

 

 その時の相方は首をかしげ、「チョコレートボックス?」と言って笑っていたのだ。

 

 そう、それは実家だけでしか通用せず、他の家庭では通じないのだと言うこと がわかったのだ。

 

 久々に文京区の実家に帰った時に母その事を聞いたが、「さぁ、私も知らないけど、おばあちゃんがそう呼んでたから私もそうよんでるだけよ」と母は言った。

 

 私の実家は父に母、父方の祖父と祖母、それに姉と私という家族構成で現代の東京都内ではなかなか珍しい奇妙な光景だ。

 

 母に聞いても、何も情報も得られなかったから、離れに住む祖母の居室に訪れる事にしたのだ。

 

 祖母と祖父の居室は、父と母や姉と自分の住まいを含め、向かい側の離れにあった。


祖母は相変わらずキリっとした目つきで、国会中継を見ながらソファーに腰を掛けて、紅茶を飲んでいた。

 

 私は祖母に「新年あけましておめでとう、今年もよろしくお願いします」と挨拶し、祖母の向かい側のソファーに腰を掛けると、祖母はローテブルにティーカップを置き、「おめでとうぉ、今年もよろしく」とおっとりした口調で言った。

 

 私はさっそく例の件を祖母に聞いてみた。

 

 祖母はしばらく考え込み、口を開いて「そうそう、義母がそう読んでいたのよ」と祖母は笑いながら言った。

 

 義母というのは、私の曽祖母で、父方の祖父の母だ。

 

 曽祖母は私が3歳頃に他界しており、物心ついた頃には、すでに仏壇に写真が飾ってあるという印象しかない。

 

 もう亡くなった人には聞けないしな、、、と、諦めかけた頃に、奥の部屋にいた祖父が入ってきて、ぼそりと「あれは俺の祖母がそう呼んでいたんだよ、、、」と言った。

 

 まさかチョコレートボックスというのは、そんな昔から呼ばれていたとは思いもしなかったし、その呼び方が、現代まで受け継がれている事に驚いた。

 

 昔、祖父が聞いた話だと、高祖母は私の家の一人娘として大切に育てられ、高祖父を婿養子として迎えたらしい。

 

 高祖母は当時としてはめずらしく、洋服を着ており、私が見たことがある写真では、イブニングトレスを着て、欧州系の外国人と写っているのを、押し入れの古いアルバムに貼ってあったのを覚えている。

 

 ただ、その高祖母というのは、当時流行ったスペイン風邪に感染し、大正十二年、フランスのパリで、37歳で亡くなったそうだ。

 

 その話を聞いてから、私はチョコレートボックスという呼び方に、大変特別感を覚えたが、肝心なその呼び方の理由はわからずじまいだ。

 

 でも細かいことはいいのだ。

 

 自分が気に入った、我が家だけの特別な呼び方だし、周りに変だと言われても、そう呼ぶだろう。

 

 あの後、自宅に帰宅し、相方と気に入ったデザインのチョコレートボックスをさっそく購入した。

とあるゲイのたわごと。

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