テラーノベル
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すると部室に流れていた重い空気を払うように、信愛がふっと笑みを浮かべた。
「でも意外だった、茜が入部するなんて」
さくらも腕を組みながら大きく頷いた。
「ほんとそれ!」
興味津々といった様子で茜を見る。
「どういう風の吹き回し?」
茜は照れくさそうに頬をかきながら笑った。
「いやぁさ、UMAとか都市伝説って」
目を輝かせる。
「調べてみたら奥が深くてさ
もっと調べてみたいって思ったんだよね」
その答えを聞いた信愛は、意味ありげな笑みを浮かべる。
「本当にそれだけが理由?」
茜は一瞬固まり、目をぱちくりさせた。
「え? な、何よ! そのニヤニヤは?」
信愛はその反応がおかしくてたまらないというように笑う。
「八乙女くんの力になってあげたかったんじゃないの?」
その瞬間、さくらが吹き出した。
「いやそれでしかないっしょ(笑)」
茜の顔がみるみる赤く染まる。
「べ、別にそんなんじゃ無いし」
慌てて首を振る。
「は?何言っちゃってんの?は?
意味わかんないし!は?」
信愛は肩を震わせながら笑った。
「いや、焦りすぎ(笑)」
一方、当の焔垂だけは話についていけず、不思議そうに首を傾げる。
「俺が何だって?」
さくらは呆れたように苦笑した。
「ううん、別に」
小さく焔垂を指差す。
「こっちの話」
焔垂は納得したような、していないような表情で頷く。
「そっか・・・」
その鈍感ぶりに、茜は心の中で盛大にため息をついた。
(この鈍感オカルトオタク!気づけバカ!)
◇ ◇ ◇
部室で皆が楽しげに談笑している中、男子生徒はポスターに書かれていた場所を頼りに、北側校舎二階の廊下を歩いていた。
「えっと・・・」
左右を見渡しながら、小さく呟く。
「この辺かな?」
部室を探して歩き続けるが、それらしい看板は見当たらない。
「探求倶楽部・・探求倶楽部・・・」
廊下に視線を巡らせながら、もう一度確認するように呟く。
そしてしばらく歩いた、その時だった。
「見当たらないな・・やっぱ誰かのいたず──」
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
男子の視界に、一枚の部室看板が飛び込んでくる。
そこには大きく『怪異探求倶楽部』と書かれていた。
男子の表情が一気に明るくなる。
「あ!あった!ここだ!」
思わず足を止め、看板を見上げる。
しばし無言で部室の扉を見つめると、小さく深呼吸した。
胸の鼓動が少しずつ速くなる。
だが、ここまで来て引き返すつもりはない。
男子は拳を軽く握りしめ、自分に言い聞かせるように呟いた。
「よし!」
◇ ◇ ◇
部室には和やかな空気が流れる中、不意に『コンコン』と静かな部屋に、控えめなノックの音が響き渡る。
信愛が首を傾げる。
「ん? 誰だろ?」
すると焔垂が、扉の向こうへ声を掛けた。
「開いてますよー」
その言葉に応えるように、引き戸がゆっくりと横へ滑る。
隙間から現れたのは、一人の男子生徒だった。
どこか緊張した面持ちで部屋を見回し、小さく頭を下げる。
「あの・・・すいません」
信愛は穏やかな笑みを浮かべる。
「はい? どうかしましたか?」
信愛の問いかけに男子生徒はおずおずと口を開いた。
「もう剥がされてるんですけど
ここのポスターを見て」
その一言に、茜が勢いよく身を乗り出す。
「え? まさか部員?」
焔垂も目を輝かせた。
「まじでか!?」
しかし男子生徒は慌てて首を横に振る。
「あ、いや、そうじゃなくて」
少し言いづらそうに言葉を選びながら続ける。
「募集中って書いてる下の方に
心霊現象にお悩みの方って書いてあって」
その言葉に、信愛が小さく目を見開く。
「え!?」
焔垂も何かを察したように呟く。
「それって──」
さくらが静かにその先を繋いだ。
「つまり──」
茜がはっとしたように声を上げる。
「依頼にしに来たってコト!?」
男子生徒は少し戸惑いながらも、小さく頷いた。
「ま、まあ、はい・・・」
その瞬間、茜は頭を抱えるようにため息をつく。
「まじでか!?」
そして隣にいる信愛へ視線を向けた。
「ホラ! 茜が余計な事ポスターに書くから」
茜は肩をすくめ、申し訳なさそうに苦笑する。
「ごめん・・・」
すると男子生徒は慌てて手を振った。
「あ、やっぱ無理ですよね」
力なく笑うと、深く頭を下げる。
「すいませんでした」
踵を返しながら、小さく続けた。
「今の話は忘れてください!失礼しました!」
そのまま部室を出ようとした、その時だった。
信愛が思わず声を掛ける。
「あ、ま、待って」
男子生徒は足を止め、ゆっくりと振り返る。
「は、はい?」
信愛は少しだけ表情を引き締める。
「一応話だけでも聞かせてくれないかな?」
予想外の言葉に、男子生徒は目を丸くした。
「い、良いんですか?」
信愛は優しく頷く。
「一応・・・除霊とかも出来なくは無いから」
その言葉に、男子生徒の表情が一変する。
「本当ですか!?」
「とりあえず座って」
信愛が空いている椅子を指さすと、男子生徒は何度も頷いた。
「は、はい!」
男子生徒は緊張した様子で椅子に腰掛ける。
先ほどまで賑やかだった部室は、いつの間にか静まり返っていた。
全員の視線が、その男子生徒へと集まっていた。
コメント
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みぅです🤍🥀 第68話、読み終わりました! 茜のツンデレっぷりが可愛すぎてニヤニヤしちゃいました…「この鈍感オカルトオタク!気づけバカ!」って内心のツッコミ、めっちゃわかる(笑) 焔垂くんの鈍感さに思わず笑っちゃいました。 そこに新たな依頼者が来る展開…! 信愛さんが「除霊とかも出来なくは無い」って言うところ、カッコよかったです。 次、どんな相談なのか気になります…! ×××さん、今回も楽しかったです! 続き、楽しみにしてますね🌙