『応募していただいた皆さん、ありがとうございます。
 このオーディションは3日間に渡り審査させていただきます。
 そして3日間の審査を経て、話し合いを重ねた上で
 合格者にのみ、お電話させていただきます。』
 
 
 『合格人数は決めていません。
 1人の場合もあるし、それ以上もある。
 もしかしたら、1人も合格しない場合もあります 。
 そのくらい僕たちも本気です。
 皆さんには後悔のないように、
 このオーディションに挑んでいただきたいです。』
 
 
 
 『それでは1ヶ月後に会いましょう』
 
 
 
 
 
 1日目は  自己紹介と軽い面接
 
 2日目は  歌・ダンスの審査
 
 3日目は  EBiDANの前で歌・ダンスの最終審査
 
 
 
 らしい…。
 
 
 
 唯一救われているのは、歌・ダンスどちらかを選べるということ。
 
 もちろん、両方やった方が点数は高くつくが、
 
 
 
 
 
 
 
 歌…歌か…,,
 
 
 
 
 「なーに俯いてんだよ仁人〜」
 
 「いや、やっぱ歌も審査にあるんだなって」
 
 「んなの当たり前だろ。でも歌わないんだろ?」
 
 「今のところはね、」
 
 「だったらダンス極めるしかないじゃん!ダンスで歌も補えるほどに」
 
 
 …。
 
 
 「…永遠、頼める…?」
 
 
 「笑笑そんな不安そうにすんなよ!大丈夫、ぶっ続けで鍛えてやるから!」
 
 
 「…まぁ頑張るよ」
 
 
 
 「とりあえずまだあと1ヶ月はあるから、何とかなるだろ。じゃ、まず軽くストレッチしてから、体幹やって、その後入ろう。」
 
 
 
 「お願い…します…。」
 
 
 
 「おーいー、気合い入れろ!!」
 
 
 
 
 丸まる背中に衝撃が走った
 
 
 
 別にオーディションが不安な訳では無い
 ただ、
 この道に進むということは毅に会うということ
 その覚悟が,,,俺にはまだない
 
 
 
 
 
 「ほら、踊るぞ。仁人基礎は出来るから、踊る曲3曲くらい決めて、それを極めよう」
 
 「わかった」
 
 
 
 
 …
 
 
 
 
 
 「んじゃ、この3曲な?とりあえずこの曲から…っておい!」
 
 
 
 
 今日はやけに気合いが入らなかった
 
 
 
 少しうつむき加減で座る俺の前に
 永遠がしゃがんで言った。
 
 
 
 「なに、ここで諦めんの?
 お前の努力ってそんなもんなのかよ」
 
 
 …,,
 
 
 その言葉を聞いて思い出した
 
 
 "こんなことで諦めんのかよ、お前の努力そんなもんなの…?"
 
 
 昔、毅が俺に言った言葉
 
 
 
 
 
 それを思い出すとなぜか笑いが込み上げた
 
 
 「笑笑笑」
 
 「なに笑ってんだよ笑」
 
 「いや、ちょっと思い出しただけ」
 
 
 
 毅に会うって決めて応募したのに
 今さら会うのをひよって情けない
 
 
 
 お前が歌ってるのを画面で見た時の驚きを
 次は俺がお前に見せる
 俺のダンスで
 
 
 かつてのライバルだったように
 戦友だったように
 
 また同じ土俵に立ってやる
 
 
 
 「…よし、やるぞ永遠」
 
 
 「やっとかよ笑目、、変わったな」
 
 
 「ん?」
 
 
 「昔のお前に。上を目指して燃え上がる昔のお前みたいにさ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やるからには本気でやらないと、
 
 
 あいつに会えないから
 
 
 
コメント
1件
頑張れ吉田さん!