テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「これは、ひょっとしたら客が来るかもしれないのです」
未亜さんの勘を信じて、クッキーの方は量産体制に入る。
ミックスナッツは、煎った直後でないとあまり美味しくないので、その場その場で。
更に。
「このドングリ、自分で煎ってみてもいいんですか」
との事で。
「はい、どうぞ」
フライパンを渡し、料理用ガスバーナーに火をつける。
更に煎ったものを出すための紙皿も渡して。
クッキーは薄いので、ホットプレートでもそこそこの時間で焼き上がる。
出来たものをやはり紙皿に入れて、来た順に2個ずつ渡して。
そしてポスターに記載した最初の出来上がり時間の9時10分には、予想外に客が多くなった。
それでも20人程度ではあるけれど。
出来上がり順に、炒りたてナッツやクッキーを渡して。
いい感じに客が流れていって、9時30分過ぎに客の入りが少し落ち着くまで。
焼いたり、煎ったり、茶を用意したり、結構忙しい。
しかも、食べた客が、ドングリやクルミを煎って割って食べる、なんてのに挑戦しているし。
既に机の半分以上は、体験客がガスバーナーで煎っていたり割って食べていたりする状況だ。
有り難い事に、パネルを読んでくれている人もいる。
「これは10時10分の回も、全員体制の方がいいかな」
「そんな感じがするのです。なら最初は亜里砂と彩香、10時ころまで休憩で、ささっと近くを見てくるのです」
昨日急遽作った野草茶パックも、30パックのうち既に3パック使った。
4パック目は、僕が現在煮出している状態だ。
先輩は先輩で、体験の方に目を光らせている。
何せ体験用に用意した料理用バーナーのガス缶は、合宿や先生個人山行で使ったものの残りもの。
中途半端に使って、野外活動に持っていけないものを主に使っている。
だから気を抜くと、中のガスが空になったりする訳だ。
今のところは、大丈夫そうだけれども。
「うおー、外れた。渋っぶーい」
僕が用意した外れドングリを食べたらしい声が、後ろから聞こえた。
シイのドングリは基本的に細長で、外れドングリは丸っこい。
だから見分けるのは簡単だと、僕は思うのだけれども。
案外、わざと食べられない方を試していたりして。
「このドングリやクルミの実、見本として持ち帰っていいですか」
「クルミの実は1個だけ、ドングリは片手で一つかみくらいまではいいですよ」
なんてやり取りもあったりして。
客は生徒がほとんどだけれど、たまに先生とか、父兄らしい大人も来る。
うちや彩香さん、亜里砂さんの家は、親は来ないけれど。
「このクッキーは、材料の全部がドングリなんですか」
「砂糖とバター、あと2割ほど小麦粉を使っています。本当は小麦粉無しで全部ドングリでも作れるのですが、ドングリからデンプン粉を作る手間がかかるので」
そんな質問にも答えながら、取り敢えずお茶を出したり。
あと、体験組の出したドングリの殻とかも片付けたり。