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第五十二章 重なる手
午前二時を少し過ぎた頃だった。
ホテルの窓の向こうでは、眠らない街の灯りが宝石のように瞬いている。
昼間は絶えず行き交っていた車の列もまばらになり、遠くを走るヘッドライトだけが静かに夜を横切っていった。
空調の低い駆動音。
時折聞こえるエレベーターの到着を知らせる電子音。
それ以外に聞こえるものは何もない。
まるで世界中が眠ってしまったような静寂だった。
柔らかな間接照明に照らされた室内。
白いシーツは乱れたままベッドの上に広がり、脱ぎ捨てられた衣服が床に落ちている。
時計の秒針だけが淡々と時を刻む中、三人だけの時間はまだ終わる気配を見せていなかった。
窓ガラスに映る夜景が、ゆっくりと揺れる。
その光は、誰にも邪魔されない秘密を守るように静かに瞬いていた。
翔太💙「い……いい?……始めるね?」
蓮の上に跨り、肩にそっと手を添える。
うっとりと下から見上げる蓮の表情が、あり得ないくらい優しくて、急に恥ずかしくなった。
思わず蓮の鎖骨へ顔を埋める。
蓮🖤「おい……さっきまでの勢いはどうした?」
翔太💙「だって……」
自分でも何が恥ずかしいのか分からない。
さっきまでは平気だったはずなのに、蓮の顔を見るたび胸の奥がむず痒くなって、心臓だけが落ち着かなかった。
大きな手が優しく髪を撫でる。
その仕草があまりにも愛おしくて、余計に顔を上げられなくなる。
蓮🖤「翔太」
名前を呼ばれる。
たったそれだけなのに、胸が跳ねた。
窓の外では眠らない街の灯りが静かに瞬いている。
深夜のホテルとは思えないほど、この部屋だけは不思議なくらい温かかった。
翔太💙「……なんか、変」
蓮🖤「何が?」
翔太💙「分かんない」
言葉にできないまま、肩口へ額を押し付ける。
幸せすぎる時って、どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
そんなことを、ぼんやりと思った。
亮平💚「あら、ドキドキしてるみたい♡」
後ろから伸びてきた亮平の腕が、蓮から引き剥がすように俺を連れ去った。
慌てた様子で蓮が俺の手を掴む。
蓮🖤「おい! 少しくらい待てないのかよ」
亮平💚「待てるわけないでしょ♡」
また始まった。
いつもの二人だ。
なのに、どうしてだろう。
胸の奥がきゅっと苦しくなる。
胸いっぱいに広がるこの気持ちを、なんて呼べばいいんだろう。気付けば、ぽろりと涙が頬を伝っていた。
翔太💙「やだ……喧嘩しないで。ふたりとも好きだから、仲良くしてよ」
自分でも何を言ってるのか分からない。
ただ、胸がいっぱいだった。
幸せなのに。
幸せすぎて、泣きたくなるなんて初めてだった。
蓮🖤「だからって泣かなくても……」
翔太💙「だって幸せなんだもん」
亮平💚「あぁ……なんて可愛いの♡」
蓮🖤「……重症だな」
亮平💚「あら、あんたも同じ顔してるわよ♡」
〝どんな顔だよ〟
少し呆れたような言い方なのに、蓮は珍しく頬を赤く染めていた。
そして蓮は、亮平も俺もまとめて大きな腕の中へ閉じ込めちゃった。
……ずるい。
そんなことされたら、また泣きたくなる。
蓮の腕の中で、ふと亮平と目が合った。
同じように頬を赤く染めている。
……あれ。
もしかして照れてる?
そう思ったら急に可笑しくなって、クスッと笑ってしまった。
翔太💙「なんだよ……ふたりとも可愛いね」
🖤💚「は?」
翔太💙「俺のこと大好きなふたりは、とっても可愛い」
お互いの顔を見合わせた二人。
蓮は〝まいったな〟などと言い、ハニカミながら前髪を掻き上げた。亮平は〝カッコいい以外受け付けないぞ〟などと言って、俺の鼻先を人差し指で弾いた。
亮平💚「ふたり同時に、翔太を愛せないのが、意地らしいね」
翔太💙「で……できるよ。俺が……する」
そう言って、そっと亮平の肩へ手を添えた。
驚いたように見上げる亮平に、少しだけ照れくさそうに笑う。
翔太💙「いつも、俺ばっかり愛されてるから」
ゆっくりとベッドの上へ導くように体勢を変えると、亮平は困ったように目を細めた。
亮平💚「無理しなくていいから……ね?翔太?」
……そんな顔で言われたって、説得力ないんだから。
翔太💙「無理なんかしてない」
そっと手を重ねる。
翔太💙「俺だって、ふたりのこと大好きなんだから」
〝しょうた♡〟ぎゅっと力強く握り返した亮平は、手の甲にチュッと唇を寄せた。
翔太💙「だから今日は、俺が頑張る」
亮平💚「じゃあ……翔太の愛、たくさん受け取ろうかしら……根元まで愛して♡」
翔太💙「バカぁ////」
蓮🖤「俺は何を見せられてるんだ……」
必要とされたことが嬉しいのか、屈託なく笑う翔太。その姿を見るたび、改めて思う。
……敵わないな。
きっと隣にいる蓮も同じことを思っているのだろう。珍しく頰を赤らめて……優しい瞳を翔太へ向けている。
翔太💙「ちゃんと俺のこと見てて」
蓮🖤「はいはい」
亮平💚「もちろん♡」
翔太💙「ちゃんとって言ったの!」
少し拗ねたように頬を膨らませる姿に、ふたり揃って吹き出した。
翔太は、安心を求めるように、そっと俺たちへ手を伸ばした。
失いたくない一心で、俺はその手をぎゅっと握った。
あの日、掴めなかった手とは違うのに——なぜか翔太の手が、あの時の蓮の手と重なって見えた。
……嫌なことを思い出したな。
こんな幸せな日に。
気付けば、少し黙り込んでいたらしい。
亮平💚「ごめんごめん♡ もう考え事しないから」
翔太💙「ほんと?」
そう言って照れくさそうに微笑む翔太を見て、思わず口元が緩んだ。
こんなにも無防備に真っ直ぐな想いを前にすると、損得ばかりを計っていた俺の愛が、随分と滑稽に思えてくる。
……そんなことを考えている間にも、翔太は緊張したように指先を握りしめていた。
蓮🖤「じゃあ、ちゃんと見ててやるよ」
亮平💚「ええ♡ 今日は翔太の番だものね」
翔太💙「……うん////」
少し緊張したように息を吐いた翔太が、俺たちを交互に見つめる。その頬は、もうすっかり赤く染まっていた。
高層階のホテルのガラス戸に、翔太の華奢な身体が映り込む。
蓮は、そんな翔太の髪をそっと耳にかけた。
その姿を見守りながら、頬が緩む。
……こんな日が来るなんて思ってもみなかった。
亮平💚「じゃあ……お願いしてもいいかな////」
翔太💙「うん////」
蓮🖤「翔太、後ろ向きな」
コクリと小さく頷いた翔太は、俺の膝の間へ収まるように、恐る恐る身体の向きを変えた。
翔太💙「下手くそでも笑わないでね」
そう言うと、翔太は俺のズボンに手をかけ、布越しに膨らんだ下半身を優しく撫でた。
そんな翔太を見守る蓮と、ふと視線が重なる。
どこかバツが悪そうに、蓮はふいっと視線を逸らすと翔太の後孔に舌を這わした。
翔太💙「んっ……やっ……汚いよ」
蓮🖤「汚いところなんて、ない。お前は亮平に集中してろ」
翔太は、勃ち上がりだした俺の熱茎を、ゆっくりと口に含むと舌先で丁寧に愛していく。時折身体を捩らせると、蓮からの愛撫に声を荒げて応えた。
翔太💙「はあっ……はっ……やらぁれん」
蓮🖤「もっと舌を使って気持ち良くしてやれよ?亮平イかせられなきゃ挿れてやらねえよ?」
翔太💙「やだ……意地悪……ンンンッ//」
亮平💚「しょうた、上手だよ」
徐々に勃ち上がりだした翔太の花茎は臍に付きそうなほど硬くなっていき、頭を撫でると、嬉しそうに目尻を下げた。
肩を窄めて快感から逃れようとシーツを掴む仕草が可愛かった。
蓮🖤「翔太、脚広げて。腰突き上げな」
翔太💙「ンンンッ……あっあん…やっ……同時にしないで//」
嫌だという割には随分と気持ちよさそうだ。
胸の突起を摘めば、示し合わせたかのように蓮が翔太の隘路に指を侵入させた。ガクガクと膝は震え、ベッドに突っ伏すたびに蓮は翔太の腰を掴んで四つん這いにさせると、隘路を甚振った。
翔太💙「れんの……挿れてよ」
蓮 🖤「亮平をイかせてやれよ?翔太だけ気持ち良くなってフェアじゃない」
亮平💚「俺は構わないよ……イキ顔見てるだけでイっちゃいそうなくらいには、気持ちイイから」
〝お前の方が随分と……〟そう言いかけて蓮は、腰を掴むと一気に自身の熱茎を翔太の中に捩じ込んだ。
〝——随分と丸くなった〟
そう言いたいのだろうけど、お互い様だろう。
昔の俺たちは、こんな顔をして誰かを愛せる人間じゃなかった。少なくとも俺は、蓮が翔太に向けるような優しい目を、一度も向けられたことがない……。
それなのに、不思議だ。
翔太だけは別だ。
彼を前にすると、制御できる理性なんて存在しない。どこまでも彼を求め、欲して、堕ちていく。
縋るように伸びてきた翔太の白い腕を、反射的に掴んだ。
額にはうっすらと汗が滲み、ゆっくりと瞬きを繰り返す姿が美しかった。
亮平💚「翔太、綺麗だよ」
翔太💙「ンンンンッ……手握ってぇ」
潤んだ瞳が俺を見下ろした。
伸びてきた小さな手と同時に、翔太が遠ざかる。
腕を取られた翔太は膝で立ち上がると、後ろ手を引かれてさらに激しく腰を打ち付けられた。逃れられない快感に緩く口は開き、甘い吐息が漏れた。
翔太💙「れん……バカ違ぅ。リョウヘイお手手握って//」
亮平💚「はぁ……お手手とか可愛すぎるんだけど。蓮💢激しすぎ」
蓮🖤「んっ……無理っ//止まんない」
〝何を見せられてるんだ——〟
亮平💚「……こっちのセリフだわ」
蓮。
同じ人を愛し合う未来なんて想像できた?
なんだか……くすぐったい。
相手を思いやる恋愛なんて、俺にとっては初めてのことだ。今だって、己の欲望のままに翔太を抱く蓮を、ぶん殴ってやりたいくらいには腹が立つ。
それでも、幸せそうに笑う翔太を前にすれば、何も言えなくなる。そんな自分も、案外嫌いじゃなかった。
翔太💙「リョウヘイ、キスして」
高揚する頰を両手で覆うと、潤んだ瞳から溢れた涙を舌先で舐めとった。うっとりと俺を見上げた翔太はにっこりと微笑む。
亮平💚「翔太可愛い……愛してるよ」
翔太💙「俺も……愛してるよ亮平」
小さく息を吐きながら、快感に身悶えする翔太の唇を覆うようにキスをした。
蓮🖤「盛り上がってんのこっちなんだけど……妬けるねぇ」
翔太💙「んあっ……れん、気持ちいい//……」
自分で言うのもなんだけど、この三人相性いいと思うのよ。二人で築けなかった未来が、翔太に出会って拓けた気がする。
間接照明の光に滴る汗は艶っぽく、髪を掻き上げた蓮は、色気があってカッコいい。昔のまま変わらない。
変わったのは、きっと俺のほうだ。
あの頃は見えなかったものが、今ならちゃんと見える。
きっとあの頃の俺は、年上ということにばかり囚われていた。蓮より大人でいなきゃと、必死に背伸びをしていたんだ。
……でも、本当はただの子供だった。
蓮🖤「亮平?ちゃんとついて来いよ」
下舐めずりをして俺を見下ろした蓮は、額の汗を拭うと〝翔太一緒にイこう〟そう言って後方から翔太を抱き上げると下から突き上げるように奥を目指した。
翔太は痺れるような快感に打ちひしがれ、蓮の腕を咄嗟に掴むと、花茎の先端から先走りが溢れた。
翔太💙「ンンンンッ……やっ亮平ダメっイっちゃう」
先端を舌先で舐めとるように押し付けると、翔太の屹立を掴んで上下に擦った。音を立てて根元まで咥えると、白濁を俺の口内に放った翔太は、そのまま枕元に突っ伏した。
翔太💙「はぁっ……んっ……」
亮平💚「上手にイけたね。偉いね翔太」
翔太💙「次は亮平の番?」
亮平💚「いいの?今日はゆっくり休んだ方が……」
蓮🖤「記念日に抱かないなんてないだろう?亮平こっち来いよ」
亮平💚「えっ?……ちょちょっとやだ離してよ」
俺の熱茎を優しく掴んだ蓮は、ゆっくりと上下に扱き出した。〝翔太ちゃんと亮平のこと愛してあげな〟翔太は、可愛らしく
コクリと頷くと、全身にくまなくキスを降らせた。首筋に舌が這い胸突起に翔太の人差し指が触れ、優しく撫でると舌先で舐めとった。
亮平💚「ンッ……翔太……やだやめて」
蓮🖤「もうこんなになってるけど?」
力の入らなくなった身体ごと蓮の胸に預けた。翔太は熱茎を口に含み、蓮は俺の首筋に舌を這わすと〝亮平舌出せ〟と言って、追われるがままに従った俺は、数年ぶりに蓮の唇に触れた。
亮平💚「バカ……んっ……止まんない」
蓮🖤「相変わらず、キス好きだね」
翔太💙「二人でイチャイチャするなよ。怒ったからな!」
翔太は向き合って俺の上に跨ると、短くフッと息を吐いて、ゆっくりと俺の熱茎を侵入させた。
翔太💙「俺もキスしたい//」
3人の舌が絡み合う。蓮が下から突き上げるように腰を動かすと、俺の中に蓮がいるようで不思議な感覚だった。そのまま伝わった振動は、翔太の中で律動を繰り返す俺の熱茎へと伝わった。紛れもなく三人で繋がったそんな時間だった。
蓮🖤「可愛いな……」
亮平💚「……うん」
翔太を挟んで横になる二人は、なかなか寝付けないでいた。互いにそのことに気付きつつも、声を掛けることができずに翔太のお腹に腕を伸ばす。
亮平💚「あっ」
蓮🖤「ふはっ」
同じタイミングで翔太のお腹の上で重なった手のひら。そっと離れようとする蓮の手を思わず掴んだ。
蓮🖤「なに……どうした?」
亮平💚「今幸せだ……壊したくない」
蓮🖤「それで」
亮平💚「教授戦……俺は、降りるよ。元々、志も何もないからね」
蓮🖤「……そんな事ないだろう。地域医療……」
俺は、翔太のお腹の上で重なったままの蓮の手に、そっと指を絡めた。
それが、俺の答えだった。
蓮は、それ以上何も言わなかった。
コメント
6件
優しい世界、翔太を共有する世界。花凛さんの優しさが溢れてるからこういう展開になるんだね🥹

気付けば2週間以上も、投稿お休みしてたみたい😅普通に風邪引いてました🤧そして、何もないところで足を挫いて、内踝を捻挫😱最悪の2週間を過ごしてました🌀つまりは……お久しぶりです🤣
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