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この世界は、破滅を迎えかけていた。
異形の生物『スペースビースト』の進行がはじまり、文明は崩壊した。
ビーストを撃退するために、世界の首都「塔都」に魔術師達が集まり、別世界から強き者たちを呼び寄せた。 だが……強くはあっても、とても英雄とは呼べない者も呼び寄せてしまった……。
利根編
砂漠地帯。
そこは、とても人が住める場所ではないことで有名であり、野生生物もあまりいない場所だった。
そこに、一人の少女が倒れていた。
熱い。
まず感じたのは、頬を刺すような乾いた熱気だった。
「……むう。ここは、どこじゃ……?」
少女……利根はゆっくりと上体を起こした。
風はざらつき、遠くまで砂地が広がる。見渡す限り、建物一つない荒野だ。
ついさっきまで、確かに別の場所にいた。
それなのに、気づけば知らぬ大地に寝かされている――状況は理解不能だった。
「夢にしては、砂がやけに本物っぽいのう……」
立ち上がった瞬間。
――ピコン。
「うおっ!? なんじゃこの板は!」
空中に、光で作られた半透明のパネルが突如として現れた。
利根は慌てて後ずさるが、パネルは追いかけるように彼女の前へついてくる。
そこには文字が浮かんでいた。
『来訪者 利根
種族 艦娘
性別 女性』
彼女の種族と性別。そして、来訪者という文字。
「なんじゃ……来訪者?」
すると、パネルの画面が切り替わる。
『ようこそ、来訪者様。
あなたの仲間が、この荒野にあと二人います。
接触してください』
「……仲間、じゃと?」
利根は眉をひそめた。
自分と同じように突然ここへ連れてこられた者が、他にも二人いるということか。
しかも“仲間”と断言してくるあたり、どうも無視できそうにない。
「ふむ。状況はよくわからんが、吾輩一人で突っ立っていても始まらんのう」
彼女は腰のスリットが深いスカートの裾を軽く整え、砂の上を見回した。
風が巻き起こり、荒野の向こうで砂煙が揺らめく。
「この荒野に吾輩と同じような者が二人……ならば探すしかあるまい!」
活発な性格の彼女は、考えるよりも先に歩き始めていた。
パネルはその後ろをふわふわとついてくる。
「しかし変な話じゃな。仲間と言われても、どんな奴か教えてくれぬのか?
……まあ、会えばわかるじゃろ!」
そう言って胸を張る利根。
太陽は高く、荒野の影は短い。
遠い地平のどこかで、二人が利根の到来を待っている――のかもしれない。
そして利根自身も知らなかった。
“その二人”がどんな人物なのかも、
自分がなぜここに召喚されたのかも、
やがて世界の命運が自分たちに絡んでいくことも。
だが今は、ただ――。
「仲間たちよ、待っとれ! 吾輩が迎えに行くぞい!」
荒野に彼女の声が響き、砂風がその言葉を運んでいった。