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カルドは三番艦を街の守備に残すと、
残る二隻を率いてスーラの港へ向かった。
街ではコピットが義勇兵と傭兵をかき集め、
マクゴナルが目利きで選別する。
「使える奴は、船に回せ」
港に残されたのは、敵に捨てられたエドワード号だった。
「そのまま朽ちさせるのは、もったいないしね」
すでに水夫の訓練が始まっていた。
航路の途中――
「せっかくだ、稼がせてもらうか」
東エンドア会社の商船二隻を沈める。
積荷は海へ沈み、煙が風に流れた。
やがて、スーラから艦影が現れる。
大型一隻、中型二隻。
黒い船体が海を割る。
「やっとお出ましかい」
カルドは双眼鏡を下ろし、笑った。
「あの黒船……威圧目的というか、愛嬌がないなあ」
「うちのデッセゼニーを見習ってほしいもんだ」
軽口を叩きながらも、目は獲物を測っている。
「速度を上げろ」
帆が一斉に張られ、船体が前に滑る。
敵の弓兵は構え始める
だが――
「遅い」
真正面からではなく、
斜めに切り込む。
死角に潜り込み――
そのまま、側面へ激突。
衝撃。
木材がきしみ、船体がぶつかり合う。
「行くぞ」
カルドは誰より先に飛び出した。
甲板へ――
敵船へ――
そのまま斬り込む。
戦いは終わった。
甲板にはまだ血の匂いが残っている。
カルドたちは敵船に乗り込み、手早く中を改めていった。
「こりゃ……見てくれだけですね」
ネルソンが吐き捨てる。
「中身は空っぽだ」
「支配するための置物か」
カルドは興味なさそうに呟いた。
巨大戦艦。装飾も立派だ。
だが――使い込まれた跡がない。
「武器は全部運び出せ」
「王さんたちにあげちゃおう」
「いつから親分は慈善家になったんですか」
ネルソンが肩をすくめる。
「ばーか」
カルドは笑った。
「投資だよ」
「ポーカーゲームのベットともいうな」
「もう乗っちまったんだ」
「……この船はどうします?」
甲板を見上げながらネルソンが聞く。
「でかいしな」
カルドは軽く船体を叩いた。
「景気よく燃やすか」
「上陸します?」
「するさ」
少し間を置いて、
「陽動だ」
カルドの口元が歪む。
「派手にいこうじゃねえか」
ナーナー王はトーペーとともに、
千名ほどの兵を率いてジャーンシー近郊に布陣していた。
スーラ港から火の手が上がる――
その合図を待っている。
「王……もう、引き返せませんぞ」
トーペーが低く言う。
「わかっている」
ナーナーは前を見たまま答えた。
しばしの沈黙。
「地獄までついてきてくれるか」
トーペーは小さく笑った。
「彼らはなんと言うのでしたか」
「“がってんしょうち”……でしたかね」
ナーナーもわずかに口元を緩める。
「そうか」
「ならば――今度、直接聞いてみよう」
風が止む。
誰もが、遠くの空を見ていた。
遠く――
水平線の向こうに、
黒い煙が立ち上った。
トーペーが目を細める。
「……来ましたな」
ナーナーは静かに頷いた。
#追放
「行くぞ」
陸戦隊は上陸し、
港の倉庫を中心に火を放っていった。
二隻の船からは火矢が次々と撃ち込まれる。
帆が燃え、
積荷が爆ぜ、
停泊していた船が炎に包まれていく。
港は、あっという間に火の海になった。
「……いいねえ」
カルドはその光景を眺めながら呟いた。
「明日の朝までいようか」
「ついでに証文も焼いちまうか」
「ダメです」
即答だった。
「敵軍が戻ってきたら、ひとたまりもありません」
カルドは舌打ちした。
「ちぇ」
それでも視線は、まだ炎を追っている。
「まあいい」
「火は十分回った」