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勇気とは恐れないことではなく、恐れても歩み続 けることだ。マーク・トウェイン
君は軍隊についてどう思う?憧れの対象?それとも憎悪の対象?それは近親者が軍隊に所属しているから?あるいは大切な人を軍人に奪われた?ところで君自身は軍隊にいた経歴がある?
色々な人にこの質問をしてきたけどかなり意見は人によって異なる。軍人に対する愛や敬意を語りだす人もいるし、明らかな軽蔑や憎悪の表情をする人も。そして俺は戦艦の一番上の展望フロアで、窓の外をぼんやりと眺めながらそんなことを考えているところだ。
「クルーズ士官、ミルズ艦長がお呼びです。B8デックへの移動をお願いします」
「ありがとう。他は揃っているのか?」
「自分が艦長にお会いしたときはそうではなかったですが…」
「わかった。今から行く。君はシフトの終わりか?」
「はい。」
「ゆっくり休んでくれ。」
そう言って俺はB8デックへ向かって足を進める。
「アルフレッド。来たな。」俺を出迎えたのはこの戦艦『タークス』の艦長である、ミルズ艦長。艦長クラスでは珍しい叩き上げだが、問題解決能力の高さや高い人望もありここまで登りつめた人物だ。
「他のメンバーはまだですか?」俺はそう尋ねる。どうやら俺が一番乗りだったらしい。
「今向かっているらしい。で、最近はどうだ?」ミルズ艦長はいつも通り細やかな世話を焼こうとする。ひょっとすると俺のことを息子、あるいは親戚の子どもみたいに思っているのかも。そのようなものとは無縁だったから、ミルズ艦長の振る舞いは少し嬉しく感じられるな。
「ここでの生活のことなら快適ですよ。意外と広くて最新の設備を構えていますから。」俺はそう返す。実際『タークス』は最も新しく建造された戦艦の1つで、小規模なスイミングプールも併設されている。仮にこの船が引退したとしたらクルーズ船としての転用もできそうだ。
「君の同僚はどうかい?」ミルズ艦長はどうやらこの船の快適性ではなく、俺が同僚とうまくやっているかに興味があったらしい。
「俺にとって彼らは同僚というよりは、むしろ同級生、あるいは手のかかる部下みたいな感覚です。つまり良くも悪くも彼らはいつも通りで、俺もそうです。さてとようやく来たようですよ。俺がいち早く来るという予測は的中しましたね。」