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朝、流石に起きるのが辛くて少し遅刻して学校に登校した。…成瀬と顔を合わせたとき、上手く笑えるだろうか。
第一体育館ではバレーボールのトーナメントが行われている。…こんなに人が沢山いるんだから今日は成瀬に遭わないかもしれない。ベンチの一角に静かに腰を下ろして、ぼんやりと試合を眺めているとあーしの予想とは裏腹に“その声”は降ってきた。
「ー西田!」
振り返れば成瀬と目が合うと分かっている。だから、あーしは前を向いたまま“いつもの調子”で応える。
「おう、成瀬。ごめんよー昨日は勝手に帰っちゃって。嫌な思いもさせちゃったよね。まぁ、あーしはこの通り?平気のヘーちゃらなんよ。でも、あーしは慣れてても成瀬は嫌だと思うから…あれだったら、距離取ってもらっても構わんよ?成瀬はー」
「西田」
気づけば、成瀬は目の前にしゃがんでいた。…なんでアンタが泣きそうになってんの。
「こっち来て」
成瀬はあーしの手を軽く引っ張って体育館の外まで無言で歩き出した。踊り場の隅まであーしを連れ出して、成瀬は再び立ち止まる。
「西田のバカ!」
急に罵倒されるとは。
「…………………ごめんなさい」
「え?」
「……西田の気持ちに気付けなくてごめんなさい。西田のことを本当は何も知らなかった…知ろうともしなかった。だから、何て声かけるべきかも分からなかったんだ。…でも後になって、もう二度と西田の顔を見られなかったらどうしようってすごく後悔した。私ッ……西田が大好きだからっ!大切な友達だからっ!…それなのに『距離取ってもらっても構わない』とか、……ッ西田の大馬鹿ヤロー!!そんなの願い下げだよ!!!!!!ずっと一緒に居たいっつうの!!!!!!……『平気』な訳ないじゃん。一番傷付いてるのは西田以外有り得ない。これ以上我慢しないでよっ……うっ…ぐすんッ……うわーーーん」
「…………………あんたねぇ。ほら、…………泣かないの。ブサイクになるぞ〜?」
あーしは、まるで素直な子供のように、心の底から、泣いてくれる成瀬をこの上なく大切に抱きしめた。
あーしは成瀬を見縊っていたようだ。……なんでもかんでも諦めて我慢すれば良いってもんじゃないな。だって、もう二度と成瀬という友達を手放すことは無いから。
油断したら涙が伝染してしまいそうだ。………ふ。顔をぐしゃぐしゃにしてなお可愛いとは、いじらしいやつめ。あーしはぎこちなく笑いながら成瀬の前髪を優しく掻き上げた。