テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
[3918年3月13日11時02分/2号]
3号の調子が悪そうなもので、とりあえず廃村らしきものを見つけたということでここで一休みしている。といっても、私達も衛生的なものは気にするから、寝床とかは軽い毛布でも敷いてる。
毛布くらいは持参している。流石に。折りたたみ式だけど。といっても、私は一睡もできてない。3号が寝ている今、一時も気を抜けない。
[通信電波受信]
[承認]
『こちら5号。2号さん、エーテル磁気嵐が別地点で発生中。大規模なエーテル磁気嵐なので気をつけてください。それから、現状報告してください。』
そうか、そういえばエーテル磁気嵐が頻繁に起こるから、起こった時は連絡してもいいんだっけ。
「こちら2号。大規模エーテル磁気嵐には巻き込まれてないが、昨日小規模だがエーテル磁気嵐に巻き込まれ、3号が負傷した。指示求む。」
『了解。定期的なバイタルチェックと、自然回復するまでの時間は3号と離れないように。』
5号は、混乱するの様子もなく平然とした声色で指示をした。とりあえずは現状維持。
『あ、念の為エーテルを打ち込んでください。少量でも平気だと思うので。』
[通信終了]
返事をする前に向こうから切られてしまった。めんどいが、3号にエーテルを打ち込むか。そのほうが回復も早かろうし。
2号はそう思い持っていたエーテルを出そうとして手を止めた。
そういえば、3号と私じゃエーテルの種類が違うんだっけか。同じRCUなのに、やっぱり3号はよく分からないやつだ。
2号は何となく3号の腕に触れる。やっぱり3号はまだ、眠っているようだった。3号のどこら辺に、エーテルなんてあるのだろうかと思ったところでポケットかと思い太ももに触れた瞬間ぱっと目を覚ます。
「あれ、2号…?」
慌てて手を離して何もありませんという顔をしていたが、随分と気が抜けている様子で特に怪訝そうな目では見られなかった。
3号は、寝起きのせいか普段じゃ聞かないような少し低い声だった。寝ぼけているのだろうか、おはようと呟いて目をこすっていた。
「おはよう、体調はどう?」
「可もなく不可もなく。」
つまり普通ということか。無理してないかは心配だけれど、無理してたら挙動でだいたい分かるからいいや。
2号は手持ちの保存食を3号に渡した。3号はありがとうと返し受け取った。
いつも通り味のしないよく分からない非常食。添加物とかいっぱい入ってるかと自覚しながら食べる非常食は何とも複雑な気分。
計測器で頻繁に砂漠地帯の計測をしているが、1箇所だけ地下のエーテル漏出しているような場所があった。地脈の検査もしておきたいから念の為調査するか迷うけれど、今は磁気嵐が収まるまで待機。
[通信電波受信]
[承諾]
『2号さん、エーテル磁気嵐がかなり酷いと観測されます。辺り一帯が頻発して小規模な磁気嵐が起きるかもしれません。特に、3号はエーテルの影響を受けやすいので気をつけろと。』
「わかってますよ〜。あと、調査によれば1箇所エーテルが漏出してる所があるんですよね。念の為、調査へ向かいたいのですが、そちらで何か観測され次第こちらに情報を提供してくれるとありがたい。」
5号は、了解と返事をした。こう見えて5号はかなりの人たちと通信をしては報告を聞いているそうだ。かなり忙しいはずなのに要求にわざわざ答えてくれる謙虚さは5号の良いところだ。
『あ、そういえば134号さんが、2号さんに要件があるそうです。通信繋げます。』
え、いや何であいつが私に要件なんか。確かに調査を担当していたのは134号が。いやだなー、ダル絡みとかしてこないといいけど…。
『あ、2号聞こえてる?』
聞こえてると素っ気なく答える。ほんと、この人いつも何を考えてるかわからないから要件は一体何なのか怖い。
『エーテル漏出してる所あるでしょ?そのエーテル漏出位置に、神殿のような構造物があるの。この件2号知ってる?』
「いいや知らない。」
13号も分かってるはず。私は、あえて伝えられて無いのだから。あいつらがそんな情報を私に渡すはずがないなんて134号も思って繋げに来たでしょ。
『やっぱりか。ま、そこの調査で分かったのは、エーテルの漏出反応がある場所には人型の生物と構造物以外何もなかったってこと。』
「それってどういう…」
普通エーテル漏出位置と人口構造物と重なるなんてことあるか?ましてや人なんかが?
『つまりは、異星人にエーテルを扱えるような力があってもおかしくないってこと。』
「そう。まぁ、気をつける。」
それしか言えない。それ以上の対策はできない。君たちREUが調査から帰還した理由がわかった。恐らく、これはRCUである、失敗作の私を囮として調査しついるんだろう。
『───大丈夫?声ピリついてるよ。やっぱり憎いの?』
「憎いってなにが。」
この人はやっぱり苦手だ。私が今どう思ってるのかも明らかに見透かされてる。平気で人の心を弄んだり、平気で私のことを、理解しようとする。
『───が。憎いんだろう?』
私の中でぼやけて聞こえたその声は、逸らしたいその言葉は聞こえずともはっきりとわかっている。
『そんなに詮索するつもりもない。けど、感情を出しすぎると目ぇつけられちゃうからね〜。ま、僕はわかりやすい2号が好きだけどね〜。』
「冗談きついよ。」
[通信終了]
3号はまたぼやけた顔をしている。やっぱり疲れているのだろうか、それともこれが通常運転か。
「あ、2号通信終わったのか。とりあえず、そのエーテル漏出位置にでも向かうか?」
「うん、そうしよう。」
[3918年3月13日3時25分/3号]
しばらく砂漠を歩いているが、エーテル漏出位置からはかなり離れているらしく長らく歩いている。2号をみるにかなりくたびれているらしい。
それもそうだ。出発してから約3時間経っている。ただでさえ、物資が少ない砂漠地帯を侮っていた。
なんせ出発した地点は第31区であり向こう側は、目的地は第21区というかなり離れた場所だ。道によっては何日もかかろうが最短ルートでもこれだけの時間がかかってしまうくらい広大な砂漠地帯だ。
そういえば、2号はこの間お母さんという言葉を発していた。
「2号って昔は何してたんだ?」
ただ、何となく聞いてしまった。いきなりの質問に、2号は困惑の顔を浮かべていた。
「急だね。」
「ごめん」
「いいよ」
2号と3号は砂漠の歩きにくい砂の上を歩きながら2号がゆっくりと口を開く。
「昔の事は、ただお母さんとお父さんがいて、3人でご飯を食べて、3人で歌って遊んで、その時の記憶はあんまり覚えてないけど、幸せな記憶だったよ。」
2号の口角が少し上がっている。家族というものは歌って遊んだり一緒に食卓を囲むものなのだろうか。それが、普通の家族なのだろうか。
「3号はないの?家族との思い出 」
「…僕が知ってるのは、あの暗い部屋とお母さんが色んな人を部屋に連れ混んでることくらい。」
2号はそっかとだけ答えてそれ以上は答えなかった。ただ近くによって頭をぽんと撫でてきた。小っ恥ずかしいから2号の腕は振り払ったけど。
「3号って結構照れ屋だね。」
2号がそんな顔するから、死んだ時に僕がどれだけ苦しむかもわからないような顔で。なんで、また情が移るようなこと聞いちゃったんだろう。
「照れ屋は撤回して。」
「やーだね。それと、1番大事なのは君の気持ちだからね。」
また子供みたいな笑顔でくしゃくしゃに笑う。そういう所だ。そういうとこ。
『1番大事なのは君の気持ちだからね!!』
頭の中に流れてきた。頭から流れ込んできた言葉に聞き覚えなどなかった。思い出そうとし頭が大きく振動するような頭痛が起きた。
前を先導して歩く2号の背中を見つめることしかできない。
[3918年3月13日5時41分/3号]
21区にようやく着いたがここにはエーテル漏出反応や神殿はあるが廃墟らしい廃墟でも、新築って訳でもないような異様な雰囲気。
[通信電波受信]
[承諾]
『3号さん!その神殿を衛星から観測してみましたが、そこからみるに異星人が一人いると思います。ですが、普通の異星人では…。』
「まって、それってどういう───」
『だって…、この神殿がエーテル漏出源なのではなくって──── 』
[通信途絶]
この神殿がエーテル発生源ではないのにも関わらずここにはエーテル漏出反応がある。機器の誤作動でない限りそれはありえないこと。
「2号、慎重に入った方がいい。ここは何か変だ、気をつけて入るぞ。」
「わかった。」
2号と3号は抜刀した。だが、2号は腰にかけている少し小さな剣しか抜刀していなかった。背中にかけている剣は抜刀しなかった。
2人は神殿の中に入る。神殿は、まるで大きな教会のようだった。いいや、教会そのものだった。教会には椅子もなになくただ大きな十字架に吊るされている男性の像だけがあった。
その像の前に、1人の少女がたっていた。少女はその白金の短いおかっぱの髪、優しい顔とは裏腹に冷たいような深紅の瞳をしていた。
黒のカチューシャや丈の短いジャケットやロングブーツを着てこの場にいるはざのないような子供のような背丈と体格だった。
「教会の皆が新型の人型兵器の話で怯えてるの。もしかして、君たちが新型兵器なの?」
優しい話し方のはずなのにその声に優しさが感じられることは無かった。
相手は、異星人であり化け物だ。人の形だからって躊躇ってたらだめだ。
すると2号がその得体のしれない少女に斬りかかった。その得体のしれない少女は剣を避けることなく食らった。肩に深々とした傷が出来たのにも関わらず痛まない彼女に不気味さを覚えたのか2号は咄嗟に後ろへ下がり3号の元へ行く。
「あーらら、服が血で汚れちゃったよ。服も破けちゃったし、これじゃあタカミに怒られちゃうよ。」
軽々と身体を再生させ痛みなどないかのように笑顔で笑いかける。不死身という線はある。奴らはいつも規格外で災害に違わぬバケモノだ。
「まぁまぁ、剣を下ろしてお2人さん?私を斬っても無駄なことは分かったでしょ?せっかくだし、私とお話しませんか?」
「任務外の事はしない。話すという労力をかける必要性がないからその誘いは断る。」
「まぁっ!男の子ってなんでこうもつれないんでしょーかー。私にお姉さんとしての色気がないからか。」
何を無駄口叩いてやがるんだこいつは。というより、やっぱりここはエーテルが漏出してるけどそれも地下からと言うよりはその得体のしれない異星人から漏出しているよう。
「あら、今あなた何で私がこんな見つかりやすいか疑問に思ってるでしょー?」
「見透かされてる…か。」
「3号、どうする?ここは撤退した方がいい。まずは本部に情報を────」
「撤退なんてさせないよ〜?私の話聞いて欲しいんだよー?お姉さん情報聞き出さなくていいのー?」
どうするべきかこれは。この得体がしれない奴をどう対処してどう対応するかが難所だ。相手の能力を知らぬ間は下手な動きは避けた方がいい。
そう考えたのか2号も少し構えを緩める。
「あ!私の名前言ってなかったわね!私はイシスよ。よろしくね〜!2号さん3号さーん!」
2号は不快そうにスカートを引っ張り太ももを隠す素振りをしそれと同時に3号も首を隠すかのように手で覆う。番号の書かれた場所を隠す素振りだろう。
「そんな場所に番号晒してるからだよ〜?2人とも見える位置に番号あるから可哀想だよねぇ〜。」
イシスと名乗る少女は嫌味に笑う。やな奴だ。というより、言ってる意図が分からない。
「やっぱり〜、私みたいなチビより〜2号ちゃんみたいないい体型の綺麗なお姉さんって最高にそそられるよねぇ〜?」
まるでこっちに同調を求めているような口ぶりだ。やかましいったらありゃしない。
「お世辞はいらない。3号、やっぱりこいつの話すことに価値なんてないよ。」
「そうだが、相手の能力が分からないうちは下手に動くのはやめ────」
「そんなつまんない話しないでよ〜?でも、3号きゅんの言う通り!今下手な動きしたら〜」
イシスはこちらに近づきながら低い声で殺すからと放つ。やっぱりこいつらはバケモノだ。
イシスは抵抗をしない3号の剣を指で撫でる。2号が邪険な顔でイシスを見つめる。そんな顔も凌駕せずににこりと笑うイシス。
そんな彼女の異常さを見てもやっぱり異星人は理解できないことを再確認した。
「ねぇ?この剣で君は何人の人を苦しめて、何人の人を殺したのかなぁ?」
イシスの発したその言葉で3号はイシスに対する態度はゴミを見ているような目になった。2号が嫌になったのかイシスにまた斬りかかろうとしていたが3号が2号の腕を掴んで止めた。
「今は、下手な真似をしたらだめだ。こいつは異星人でありただの処刑対象だ。」
「だけどこいつらは…。」
イシスは嬉しそうに笑って楽しんでいる様子だった。けれど、油断している隙に行動不能にすることくらいは出来るが、再生速度にも寄る。
だが、意志を奪えば良いのではないか。一時的にでもいい。退避する時間でも稼げればいい。
「ねぇ、君今何を企んでるの…?」
「あんたは 、人の心を読んでるのかってくらい見透かしてくるな。」
「確定、少し表情が強ばってたうえに声のトーンが少し上がってるよ。」
楽しそうにまたこいつは近づいてくる。気持ち悪いったらありゃしない。2号も、ずっと嫌そうな顔でイシスを見つめていた。
2号が衝動的に動けば余計刺激する。なら、自分が今やるしかないってことか。最悪だ。
「あんたのことについてよく分かってない。」
「えぇー?3号きゅん私に興味あるの〜?積極的ィ〜!!」
どこまでもムカつく奴だ。やっぱり2号はずっと怒りを堪えようとしているのだろう。息が荒い。
「2号!落ち着け、息が荒い。」
「でもだって!!」
「きゃー!!3号きゅんったら2号ちゃんのこの見すぎでしょー!!やっぱりその綺麗な肌とその体型に見とれちゃってるよっ!男の子でしょさすがに!」
クソガキがこいつは何を言ってるんだ。異星人の分際でこっちのことばっかり見透かしやがって。
「私が第1救世主なんだって〜!」
『お前らの罪は!!!救世主様が必ず裁くッッッ!!この化け物がッッッッッ!!!!!!』
あの異星人が言ってた”救世主様”ってのは、どうやらこのポンコツクソッタレ野郎なのだろう。どこが救世主なんだかよくわからない。
「私は怪我を治すから〜、その力乱用してたら知らない間に聖女様って言われるようになっちゃったの〜!!面白いよねぇ〜!!!」
「そうか。」
3号は不意にグラりと地面に膝をついた。その時イシス一瞬躊躇ったのだろう。次の瞬間倒れ込んでいたのはイシスだった。
イシスの隙を突いて3号はイシスの前頭葉を破壊していたのだ。突き刺さった剣を抜いて混乱する2号を俵担ぎしてその場から撤退した。
「姉さん、起きた?」
目を覚ませば目の前にはリシスの姿があった。自分と同じ顔、前髪で隠れた右目が特徴だった。
あたしも左目が隠れてるんだけど。そんなことはどうでもいい、そういえば私前頭葉刺されて動けなくなってたというより意識が消失してたんだ。
弱点が分からないから相手の意志を喪わせるなんて思わなかったなぁ。イェルじゃないから私じゃ簡単に人を操ることは出来ない。もちろん物理じゃなくて心理的に。
「あなたは本当に馬鹿ですね。」
この人を見下したような声、間違いなくイェルだ。リシスみたいに心配した顔をしてくれたら少しは可愛げがあったのになぁ。
リシスの能力のおかげで助かった。リシスがいなけりゃ危うく死ぬところだったかもしれない。