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さくらぶ
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少し、グロいかもです。
カランカランッ
「おかえり~…え、こーじ!?」
カフェに帰ってきた4人。
最初に深澤が向井の様子を見て驚く。
「何かあったの?」
岩本も心配そうにこちらに近づいてくる。
宮舘がすぐに椅子を用意して、震える向井に椅子と温かいコーヒーを差し出す。
渡辺もその声を聞きつけてこちらに来る。
震える向井の代わりに
「さっき、dominatorの他メンバー4人と遭遇した」
阿部が説明を始める。
「その中の久尾雨ってやつなんだけど…」
「…っ!」
今の向井は久尾雨という名前を聞くだけで震える。
「…」
そんな向井を見て、目黒が静かに右手の拳を握りしめる。だが、向井の肩を支える左手は優しい。
「こーじ。」
深澤が向井の隣に腰を下ろし、少し首をかたむけ、向井と目を合わせる。
「ゆっくりでいいからさ、そいつと何があったのか話せる?無理しなくてもいいけど、多分、ひとりで抱えてるほうが辛いと思うよ。」
そして、いつも以上にゆっくり、優しく声をかける。
「ふっか…さん…。俺…、あん人と…」
震えながら、絞り出すような声で、向井は久尾雨について語り始めた。
(向井視点)
俺が関西にいた頃、久尾雨くんと出会った。
関係性は、肩書きは相棒だったんやけど、実際には相棒なんて言えないほど、実力差はあった。
「君が向井康二?今日からよろしくな!俺は久尾雨や!」
「は、はい!よろしくお願いします!!」
俺が初めて任務に参加した時に一緒になったのが久尾雨くんやった。
「そんな緊張しなくてええよ!タメで話そうや。そんなんこっちが緊張してまうわw」
俺の久尾雨くんへの最初の印象は、一緒にいて頼りになる、優しくて強い人やなって思ってん。
でもな、関西の人達からはあんまりいい印象がなかったんよ。
俺は最初それが不思議やった。
こんなにいい人なのに、なんでみんな苦手思うんやろってな。
その理由がわかったのは、確か、久尾雨くんと相棒になって二年くらい経った頃やったかな?
確か、すごい暑い日やった気がする。
俺と久尾雨くんのその日の任務は急な能力開花で暴走してる少女を止めること。
そういう場合は殺したらあかんってルールがあるやん?
俺はどうやって止めようか迷ってたんやけど、久尾雨くんはいつも通りやったから、きっと大丈夫思って、特に心配もせずに任務へ向かったん。
そん時の俺は久尾雨くんを過信しすぎてた。
「あの子ちゃう?」
俺が先に少女を見つけたん。
自分の能力に自分自身混乱してるように見えた。
(早く久尾雨くん呼ばな!!)
俺は急いで久尾雨くんを呼びに行った。
「本当や。こーじ、でかした!」
久尾雨くんはいつも俺がなにかすると褒めてくれる。
俺はいつもそれが嬉しかった。
でも、今日は少し嫌な予感がしたんよ。
「…久尾雨、くん?」
不安になって名前を呼んでみたけど、久尾雨くんは少女へ近づく足を止めない。
「何するつもりなん…?」
「何って…」
不安な問い掛けに久尾雨くんは笑顔で
「止めろってことは行動不能にしろってことやろ?」
そう、言ったんよ。
「ぇ…」
その瞬間、目の前が赤くなる。
何が起こったのかわからずに、俺はその場で立ち尽くすしかできなかった。
鼓動の音がうるさい。
視界が揺らぐ。
怖い、怖い怖い怖い怖い怖い…!!!
恐怖が広がって、息ができなくなる。
肺が、心臓が、身体がばらばらになりそうな程震える。
そんな俺に構わず、
「任務完了っと。ほな、帰ろか!」
笑顔を崩さずに久尾雨くんが血に染った手を差し出す。
狂ってる。
そう思った。
「い、嫌や…」
絞り出すように、何とか声を出す。
そしたら、久尾雨くんは…!!
「あー。なるほど。そっか、こーじ怖かったかぁ…可哀想に。でも、その小動物みたいに震えてるのかっわいいなぁ…♡」
俺の頬に手を添えて、ぬめっとした感触が伝わって…
久尾雨くんは顔を紅潮させて微笑む。
やっとわかった。
なんでみんな久尾雨くんが苦手なんか。
なんで実力に天地の差がある俺が久尾雨くんの相棒にさせられたのか。
俺が新人やから、誰も一緒に任務をしたがらずに空いてた久尾雨くんの相棒枠に都合よく入れたんや。
俺は、久尾雨くんの外面しか見えてなかったんやな……
「こーじ…」
向井を支えていた目黒が、話し終えて疲れた様子の向井の背中を優しくさする。
「めめ、ありがとな」
少し微笑みながら感謝を伝える向井。
「話してくれてありがとね。そっか、辛かったな。」
深澤が優しく向井に笑いかける。
他メンバーも優しく向井を見つめる。
「みんな、ありがとなぁ…」
ポロポロと向井が泣き出す。
その背中をいつまでも目黒は優しく支え続けた。
「こーじ、大丈夫?」
「おかげさまでな。」
ニコッといつもの調子を取り戻し始めた向井。
「じゃあ、改めて作戦会議!」
今回も阿部が仕切る。
「さっき会ったおかげで能力はわかってる。」
口角を上げ、阿部がそう言う。
前回書いたボードの文字を消して書き直す。
『dominator
ボス:真白、複数の能力を持つ可能性あり。
楓真、風の能力、体力は一番ある。
卓、スピード特化、近距離戦だと多分勝てない。
歩夢、毒、体に触れなければ特に意味は無い。
玲王、?
久尾雨、見えない針、要危険人物。』
「だいぶ情報は集まってる。ここから誰が相手をするか決めてこ」
少し自信に満ちて阿部が言う。
「はい!あべちゃんは俺と一緒の方がいいよね?」
佐久間が真っ先に手を挙げ、阿部を指名する。
「そうだね。じゃあ俺は佐久間と…あとは、舘さん、翔太。」
「「え?」」
「そこの2人もセット」
阿部が宮舘と渡辺をセットに指名。
「はあ!?」
渡辺が立ち上がり叫ぶ。
「なんで…?」
宮舘も困惑状態。
だが、阿部は有無を言わせないように
「だって、二人は能力の相性いいでしょ?舘さんはバラいっぱい持ってるから翔太は能力を使いやすいし、舘さんがこだわる美しい戦いは翔太と似通う部分がある。」
「「んぐぅ…」」
阿部の説明にぐぅのねも出ない二人。
じゃあ決定、と言って阿部がホワイトボードに書き込む。
「阿部」
「ん?照」
岩本が手を挙げる。
「俺は、そっちのボスとやる。」
確かな怒りを滲ませ、真白と戦うことを宣言する。
「照…」
隣の深澤はそんな岩本を見て少しだけ不安に思う。
だが、ここで何かを言っても岩本は折れない。それを知っているため、深澤は何も言わない。
「俺、は…」
そんな中、向井も小さく
「久尾雨くんと戦う…」
と呟いた。
「え?本当にいいの?」
阿部が心配そうに問いかける。
「さっきのお前!大丈夫じゃねぇだろ!」
渡辺も心配しながら向井を止める。
「こーじ…」
目黒も不安そうに向井を見る。
「久尾雨くんも俺と戦うつもりや」
だが、真っ直ぐと目黒の方を向き、
「俺は、ここで逃げたくない」
久尾雨と戦うことを決める。
「なんかあったら、すぐ助けるから。」
目黒も向井を真っ直ぐ見る。
「決まりだね。」
阿部がホワイトボードに書き込む。
「相性的にめめは颯馬かな?」
阿部が目黒を見る。
「うん。結構体力はあるし、全然いいよ。」
目黒は迷いなく承諾。
「あとは、俺と佐久間は卓にする?」
阿部が佐久間に問いかける。
「あべちゃんが戦いやすいのでいいよ!」
佐久間が笑顔でそう告げる。
「ありがと。じゃあ、舘さんと翔太が歩夢ね。ふたりは遠くから攻撃できるし、相手に触れることもないから。」
「わかった」
阿部の指示に宮舘は頷く。
渡辺はまだ不満のようだ。
「ん?じゃあ俺は…」
まだ名前の呼ばれていない深澤。
「ふっかは、こいつになっちゃうね。」
阿部が玲王、という文字を指す。
「なるほどね。まあ、俺の式神は色んなのいるし、能力がなんであれ対応できるしね。」
一切能力がわかってない相手だが深澤は納得したようにつぶやく。
「これで決定!」
阿部がペンを置き、改めてホワイトボードに注目する。
『dominator
ボス:真白、複数の能力を持つ可能性あり。
楓真、風の能力、体力は一番ある。
卓、スピード特化、近距離戦だと多分勝てない。
歩夢、毒、体に触れなければ特に意味は無い。
玲王、?
久尾雨、見えない針、要危険人物。
真白VS照
颯馬VS目黒
卓VS阿部、佐久間
歩夢VS舘さん、しょうた
玲王VSふっか
久尾雨VSこうじ』
「戦いは二日後。二日間任務はないから各自準備してくること。はい、解散!」
最後に岩本が締めくくり、解散となった。
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