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戦場に紅い重力の光とそれを冷徹に無効化する白光が交差する
「遅いよ中也、腰でも痛むのかい?」
「手前ッ…!黙ってろっつったろ!」
ロッカーから出た直後の戦闘はいつも以上に苛烈だった
中也は自身の内側に残る熱を振り払うように敵陣のど真ん中へと突っ込み、暴風の如き蹴りをたたき込む
太宰はその背後でまるで手向けの花でも散らすかのように淡々と敵の増援を無力化していった
数十分後
立ち並ぶ敵兵が凡て地に伏し静寂が夜を支配する
「…終わったな」
中也が荒い呼吸を整え乱れた髪を乱暴にかき上げた
首筋の「痕」を隠すように手で覆うがその仕草さえも太宰の視線を惹きつけて止まない
太宰はゆっくりと歩み寄り中也の隣に立った
ロッカーの中のあの逃げ場のない密着に比べれば今の距離はあまりに遠く、それでいてひどく特別だった
「中也」
「あぁん?」
「今日は特別、帰りの車は私が運転してあげよう」
「君膝が笑っているだろう?」
「うるせぇ………………頼むわ」
いつもなら「手前の運転なんか死んでもごめんだ」と返すはずの中也が力なく、だが拒まず鍵を放り投げた
それを受け止めた太宰の指先が中也の手の甲をなぞる
「続きは君の部屋でいいかな」
「…好きにしろ」
ぶっきらぼうな返事
けれど中也は太宰から視線を逸らしたままその繋がれた熱を振り払うことはしなかった
二人の影が月明かりの下で一つに重なり夜の帳へと消えていく
狭いロッカーから始まった熱狂は冷めるどころか夜の深まりとともに加速していくばかりだった
完
完結です
ここまでお付き合いありがとうございました